アシックスは「15分9秒の運動で、メンタルにポジティブな影響をもたらすことができる」という独自の研究結果のもと、運動の習慣化を応援する「15:09 Uplift Challenge」キャンペーンを実施している。
6月5日にはアシックス直営店「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」(東京都千代田区)で、ランニングセッション「ASICS RUNNING CLUB:15:09 Uplift Beginner Event」を開催。ビギナー向けにランニングシューズの選び方や履き方、ストレッチの方法や正しいランニングフォームを身につけるメソッドが紹介された。
ランニングシューズ、最初の一足の選び方
創業理念「Sound Mind,Sound Body」(健全な身体に健全な精神あれかし)のもと、さまざまな研究を行うアシックスはこの4月、世界16カ国18歳以上の3万7,000人を対象とする運動とメンタルヘルスの関係についての調査「State Of Mind Index」を発表した。
ポジティブな精神状態を10項目に分類した調査では、世界的に運動が不足しがちな世代とされる18〜24歳のスコアが最低に。国別では運動が少ない傾向にあるという日本のスコアが、16カ国中で最も低かったという。
また、同調査では15分9秒の運動で精神的にポジティブな影響があるといった結果もあり、同社ではとくに日本の若い世代へスポーツの意義を伝える取り組みを展開している。
今回の「15:09 Uplift Beginner Event」はランニングの魅力や心へのポジティブな影響を体感してもらうビギナーランナー向けイベント。アシックスランニングクラブコーチの小谷浩氏が、楽しく健康的にランニングを続けるメソッドをレクチャーした。 小谷氏がまず紹介したのは、ランニングを始めるにあたって悩む人が多いというシューズの選び方。
アシックスのランニングシューズには足の保護に注力した「PROTECT」、省エネで走りやすい「ENERGY」、早く走ることに特化した「SPEED」といったカテゴリが存在する。アシックス直営店では足型を測り、自分の足の特徴に合ったシューズ選びが可能だが、ネットなどで買う場合はこうした特徴を理解して、目的に合ったシューズ選びが大切となる。
衝撃緩衝材などがついているシューズはそれだけサポート力が高く、トランポリンのように弾む感覚が楽しめる「NOVABLAST」シリーズなどは、ランニング初心者にもすすめやすいモデルのひとつのようだ。
「クッション性や軽さなど、それぞれのカテゴリごとにバランス配分に特徴があります。上級者ランナーの方も走る距離やその時の気分に合わせて、いろいろなタイプを履き分けるのも楽しいと思います」
ストレッチは大きな筋肉を重点的に
レンタルシューズを豊富に用意する「ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHI」では、ビギナーも気軽にプロ選手が履くレーシングシューズをレンタルし、ランニングイベントに参加できる。
「レーシングシューズは初めての一足としてはおすすめしにくいですが、1回履いて走ったからといって怪我をするようなものではありません。トップ選手のシューズと履き比べると、他のシューズの特徴がより体感しやすいと思います」
ただ、どんなシューズでも正しい履き方をしないとその性能を十分に発揮できない可能性がある。
「つま先の方はあまり強く締めず、履くときは踵をシューズに合わせて固定させるように結びます。つま先から締めすぎると、紐が食い込んで痛みが出やすくなり、着地の際の衝撃などでマメもできやすくなります。下から4〜5つ目の穴ぐらいから、上の方へ紐を引っ張るようにして締め、最後は紐を縛る前に2本の紐を持ち、張らせた状態で1回きゅっと引っ張りましょう」
紐を締める際は何回も紐を引っ張ると、かえって緩みやすくなるため、1回で力を入れて引っ張るのがコツだとか。
「片足で立ってもキツくなく、指先の自由が利くように調整できていれば問題ありません。ランニングではジャンプして片足で着地することになるので衝撃で足が広がります。そのため、あまりピッタリさせると爪が傷むなどのトラブルが起きやすいです。逆に紐を結んだまま脱げるようだと緩すぎです。脱ぐときはベロが傷まないよう、上から2つ目の穴ぐらいまで紐を緩めましょう。靴の中の風通しも良くなりますし、むくみなど足の状態もその時々で変わるので、ランニングを行う都度、結び直すようにしてください」
その後、参加者たちは屋外へ移動してストレッチを実施した。ストレッチは少しの時間でも毎日なるべく継続するように心がけ、無理のない範囲で大きく動かしながら行うことがポイント。ランニングは全身運動のため、上半身もしっかりストレッチすることも大切だという。
「筋肉は腹筋・背筋など体の中心に近いほど大きい筋肉になります。ランニングでは小さな筋肉よりも大きな筋肉を使って走るイメージを持ちましょう。なので、ストレッチも上半身では二の腕や肘の先より肩甲骨周り、下半身では膝から上の太もも周りやお尻を重点的に行います。ふくらはぎなどのストレッチも大切ですが、ふくらはぎばかり使って走らないように意識して走りましょう」
ランニングの基本となるフォームづくり
続いては正しいランニングフォームづくり。3ステップドリルではランニングフォームを「上半身」「下半身」「着地」の3つに分解して練習する。
「重要度としては「上半身」が7割、「下半身」が2割で、残りの1割が「着地」というイメージです。上半身で肝心なことは力まずリラックスさせて、大きな腕振りを心がけること。腕振りと同じ回数だけ脚も動き、腕振りが小さくなると下半身の動きも小さく、腕振りが硬いと下半身も硬くなります。腕振りは後ろへ肘を真っ直ぐ引くような感覚で、身体の横や前のほうで一生懸命に振らないように。肩甲骨周りから先をリラックスさせ、自然な肩の位置をキープして腕を振ります」
2つ目はダブルラインドリルという下半身の大きな筋肉をしっかり使うための練習だ。脚を骨盤の真下にセットし、つま先から真っ直ぐ平行に伸びる2本の線に向かって、骨盤から足を振り出すようにしてウォーキングする。
「立った時につま先が内側や外側に向いていると、走る時も女の子走りやガニ股走りになってしまいます。上半身がリラックスできていれば腰の位置が高くなるので、その腰の位置をキープして走るイメージです。3つ目のスタンプドリルは重心の真下を足の裏全体でハンコのように押し込む練習ですが、着地に関してはあまり難しく考える必要はありません。つま先から伸びた2本線に向かって真っ直ぐ振り出した足を、体の重心に近いところへ足裏全体を素直に置いていきましょう」
接地時間が短いトップ選手はストライドを大きくとるためにつま先で着地するが、体がスピードについてきていない状態で遠くに着地すると、踵から着地してしまいブレーキがかかってしまうという。
正しいランニングフォームを長距離・長時間キープするには筋力なども必要になり、各ポイントを意識しながら、正しいフォームで走れる時間や距離を伸ばすことがランニング練習の基本と言える。
ストレッチやウォーキングだけでもメンタルへのポジティブな運動効果は十分期待できるそうだが、今回のイベントでは丸の内周辺約2キロのコースをランニング。会話ができるゆったりペースで15分ほど走り、「MIND UPLIFTER」を使って運動が心に与えるポジティブな効果を体感した。
「MIND UPLIFTER」はエクササイズの前後で自分の顔をスマホカメラでスキャンし、質問項目に答えることで心の状態を数値化するツールだが、はたから見ていても参加者の表情は運動前より柔らかくなった印象だ。
「ASICS RUNNING CLUB」は平日も含めてこうしたランニングイベントを積極的に実施しているとのこと。三日坊主になりそうなビギナーランナーも、こうした機会を活用すると継続しやすいかもしれない。