太陽生命保険は6月9日、「歩行・思考・会話」する長期の活動が、認知症リスクの低下につながる可能性があることを発表した。同社子会社の太陽生命少子高齢社会研究所とMCBIの共同研究によって明らかになった。
共同研究は2021年1月より開始し、2024年度の完了を目途に実施している。研究では、70~80代の同社従業員1,488人の「MCIスクリーニング検査」の結果を、同時期の他の受検者9,445人と比較した。
その結果、同社従業員の免疫力が高く、認知症発症リスクが低いという傾向があることがわかった。MCIリスクが低いとされるA判定とされた割合は、その他の受検者より同社従業員の方が10pt以上高い。一方、MCIリスクが中程度・高いとされるC判定、D判定とされた割合は、同社従業員の方が低かった。
研究対象となった70~80代の同社従業員はすべて営業職員で、提案活動やアフターフォローといった営業活動により、認知症予防に効果的とされている、「歩く」「頭を使う」「コミュニケーションをとる」ことを、長年にわたり日常的に行っている。こうした行動が、「認知症発症リスクが低い」という結果の一因であることが示唆された。
今回の結果を受けて、筑波大学医学医療系精神医学教授・新井哲明先生は「認知症やその前駆段階のMCIは、物忘れなどの頭の病気と思われがちですが、最近の研究によって、体全体の病気ととらえられるようになっています」とコメント。糖尿病や高血圧などの循環器病は認知症の明らかなリスク因子ということがわかっており、これらの病気の予防は認知症の予防にもつながることから、海外では「血管にいいことは脳にもいい」といわれているという。また、認知症の予防には栄養も大切とのこと。
「高齢者の方は、これらに加えて社会参加が大切です」と新井先生。趣味や友人・家族との付き合いで、現役時代と変わらないアクティビティを維持することが、人生100年時代を健康に生きる秘訣であるとしている。