年金を将来いくら受け取れるのか、興味を持つ方が増えています。夫婦で年金を月30万円受け取れたら、余裕のある生活を送れそうですね。
そこで今回は、月30万円受け取れる方の現役時代の年収の目安について調査しました。年金が少ない場合の対処方法についても解説しますので、参考にしてください。
■公的年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つがある
会社員は原則として65歳から、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類を受け取れます。老齢基礎年金は、満額で月額6万5,075円(令和3年度時点・未納や免除がゼロの場合)です。
65歳以降に受け取る場合の老齢厚生年金は、現役時代の収入金額と勤続年数を使い、以下の計算式で計算できます。
・平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(月数)
※平成15年4月以降の期間の場合
平均標準報酬月額とは簡単に言うと、厚生年金に加入していた間の報酬総額を、加入月数で割ったもの。賞与も含め、ひと月あたりいくらの報酬を得ていたのかを示します。
上記の計算式を使えば、老齢厚生年金から、平均月収を逆算で求められます。
■夫婦で年金を月30万円受け取るのに必要な年収の目安
月30万円を年間にすると360万円です。夫婦2人とも老齢基礎年金を満額受給できるとすると、2×6.5万×12=156万円となり、残り204万円を老齢厚生年金で受け取ることになります。
計算を分かりやすくするため、夫婦共働きで、2人とも厚生年金に加入し、同じ期間・同じ収入と仮定してシミュレーションします。
この場合で先ほどの計算式を使うと、平均月収がおよそ37万円・40年間の加入期間の場合に、厚生年金が1人あたり102万円となり、2人合わせて210万円です。
夫婦合わせておよそ年間880万円の年収があった場合に、年金が30万円になる計算です。
■実際に年金を30万円以上受け取っている世帯は少ない
年金を夫婦2人で30万円受け取るには、2人とも40年間の平均月収が37万円という計算結果になりましたが、実際にはこれより受給額が少ない世帯が多数ではないでしょうか。
厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(第1号)の平均的な受給額は146,145円です。 仮に夫婦2人が同じように稼いで、年金も同額受給できたとしても、29万円ほどです。
実際には妻が出産や育児のために一時的に仕事から離れたり、専業主婦だったりすることもあるため、受給額が29万円に達しないケースが多いでしょう。
■年金が少ないときの対処方法
年金が足りないときにどうすればよいのか、対処方法について解説します。
年金の繰り下げ受給をする
年金の受給額を増やす方法として、繰り下げ受給があります。65歳以降、1カ月繰り下げするごとに0.7%が加算され、70歳まで繰り下げると42%増額することになります。
女性は男性より寿命が長いため、妻の年金だけ繰り下げるのも1つの手です。
老後も働く
繰り下げ受給は経済面だけでなく、健康面も考慮しなくてはなりません。心身が健康で元気に働けることが前提です。
65歳以降に働く方法として、同じ会社に雇ってもらう再雇用制度、定年の年齢を伸ばす勤務延長制度のほか、別の会社に再就職する方法もあります。
シニアも応募しやすい仕事として、下記が挙げられます。
・タクシー運転手
・飲食店
・清掃
・家事代行
・クラウドソーシング(在宅ワーク)
ただし、再雇用制度でも再就職でも、年収が大きく落ちることがほとんどです。再雇用の場合、だいたいの目安として定年前より40%~60%ほど下がると考えておきましょう。
シニアでも高い収入を得られるのは、医師・弁護士・大学教授などごく限られた職種のみです。
家計をダウンサイジングする
現役時代と同じような暮らしをしていると、家計が火の車になってしまいます。
よって家計を徐々にダウンサイジングすることも始めましょう。具体的には、下記の取り組みが考えられます。
・交際費の見直し
・食費の予算管理(外食・中食の削減)
・格安SIMの利用
・電力会社の乗り換え
・保険の見直し
・あまり使っていないサブスクなどのサービスの解約
・不用品をフリマ等で売る
50代以下の方は資産形成を始める
50代以下の方は、年金受給まで時間がありますので、資産形成を開始しましょう。つみたてNISAやiDeCoは、少額の積立で資産形成ができるので、初心者でも利用しやすい方法です。
iDeCoは60歳までお金を引き出せませんが、その制限はむしろ老後の資産形成にはプラスに働きます。せっかく貯めてもつい使ってしまうという方にも向いていると言えます。