住宅のスタイルとしてリビングダイニングが増え、生活空間の中でキッチンの存在感が高まってきました。すてきなキッチンは家事の気分を盛り上げてくれます。

パナソニック ハウジングソリューションズ(以下、パナソニック)は2022年4月、新しいキッチンブランド「Caresa - Crafted by Panasonic(以下、カレサ)」を発表しましたが、今回はその実物を見てきました。

カレサは、キッチンを住宅設備ではなく「家具」としてとらえたシリーズ。パナソニックが培ってきたキッチンの技術やノウハウを生かし、プロダクトデザイナーの深澤直人氏と共同で企画・デザイン。インテリアショップのアクタスで展示販売を行います。

  • カレサのマルキーナ ブラック。左から、アクタス 代表取締役社長 休山昭氏、ロダクトデザイナー 深澤直人氏、パナソニック ハウジングソリューションズ 代表取締役社長 山田昌司氏

    カレサのマルキーナ ブラック。左から、アクタス 代表取締役社長 休山昭氏、プロダクトデザイナー 深澤直人氏、パナソニック ハウジングソリューションズ 代表取締役社長 山田昌司氏

アクタス新宿店では2階のキッチンショールームをリニューアルし、6月2日からカレサを展示。カレサを含めて、ドイツの「poggenpohl(ポーゲンポール)」、イタリアの「Poliform(ポリフォーム)、アクタスのオリジナルプロダクト「+10(プラステン)」など、ラグジュアリーなキッチンコーナーを展開します。

ひとつの塊になるようなキッチン

カレサは、「現代社会において、家(Casa)の中に、素顔に戻れたり、自分を癒やせたりできる(Careできる)場所を提供したい」という想いを込めて名付けられたキッチンブランド。

「アクタスではおもに海外のシステムキッチンを扱ってきました。今回、パナソニックという日本を代表するメーカー、そして同じように日本を代表するプロダクトデザイナーの深澤直人さんという、まさにメイドインジャパンの製品を扱うことができ、誇りに思いますし、意味のあることだと考えています」(アクタス 代表取締役社長 休山昭氏)

住宅の業界的には、キッチンは設備、家具はインテリアと分かれていますが、リアルな人々の住宅では近年、キッチンやリビングといった空間が一体になってきています。

「(家具とインテリアの)業界の壁と取り外すという役割と可能性を示す実験のような試み。カレサを発表することが、人々の豊かな生活に良い提案をしていくチャンス。大きな可能性を感じています」(休山氏)

  • カレサ。明るい色合いのレユールホワイト

  • 同じくカレサ。マルキーナブラックとウォールナットの組み合わせ

    同じくカレサ。マルキーナブラックとウォールナットの組み合わせ

カレサは、キッチンを「ひとつの塊」として極限まで要素をそぎ落としたフォルムが特徴です。素材を厳選し、水晶を使ったクォーツストーンや天然木の突板などを採用しています。美しいたたずまいは空間に溶け込みます。

パナソニックとともにカレサの共同企画・デザインを担当したプロダクトデザイナーの深澤直人氏は、「隅やフチを整えることで空間をキレイに見せます。海外で同じようなものを作ると家が一軒建つくらいの価格になりますが、日本の技術によって適正な価格で世界レベルのものに仕上がりました」と話します。

パナソニックの担当者によると、「縁の素材を斜めに合わせていくので、寸法など精度を高く仕上げることが要求され、大変でした」とのこと。細部まで徹底的にこだわったことで、石の塊のようなキッチンができあがったことが伺えます。

  • 縁の素材を斜めに合わせていくため、ちょっとでも寸法が違ったり出っ張ったりすると、とたんにかっこ悪くなってしまいます。各所を整えるのが大変だったそうです

マルキーナブラックとレユールホワイトのカレサでカウンタートップを見ると、天然石のような模様が入っているところがデザインのアクセント。この模様は人工的にデザインしたものです。

天然素材の石だと同じデザインは量産できませんが、クォーツストーンを使ったからこそ、狙ったとおりにパターンを配置できます。しかも、扉の表と裏、天面と扉の模様がしっかりとつながった仕上がりです。

  • 左右の扉の模様がつながっています

  • 扉の表と、縁の模様もつながっています

収納にも工夫が凝らされています。コレクションのように道具を整理できる引き出し、使い終わったらフタを閉めて存在感を消せるシンク、そしてカップボード類は扉を閉めると壁のよう。冷蔵庫やオーブンレンジといった家電もカップボードに収まります。

壁の収納は、扉を開けると照明の効果で印象的な空間に。お気に入りの食器をディスプレイするのもよさそうです。

  • 道具を整理しやすい引き出し

  • 使わないときはシンクにフタを

  • カップボードの扉を閉めれば壁に溶け込みます

  • 扉を開ければ、照明がアクセントに。お気に入りの道具や植物などを飾ってみたいですね

  • 一見するとただの棚みたいですが……(左)、中は冷蔵庫になっています(右)

  • 食器洗い乾燥機は操作部が扉の内側に。閉めてしまえば存在感がなくなります

カレサのキッチンプランとしては、アイランドプラン背面収納タイプ、アイランドプラン背面パネルタイプ、壁付けの3種類のプランを用意。

扉の素材はクォーツ(マルキーナブラック、レユールホワイト)、マットホワイト、オークブラック、ウォールナット、オークから選べるなど、好みに合わせたコーディネートに迷いそう。コンロはIHとガスが選べます。どちらも2口タイプだけでなく、3口を横並びにしたタイプもあります。

  • 壁付けタイプのキッチン。リフォームで導入しやすそうなタイプですね

カレサの価格はプランやオプションの組み合わせにもよりますが、キッチン部のみで430万円からです(アイランドプラン背面パネルタイプ)。

最高級のキッチンはこれまで輸入品が多く、導入の準備が整うまでに何カ月も待つことがありました。深澤氏は、「カレサは日本の技術力で作った世界レベルのもの。それを手に届く価格で取り寄せやすいのです。(キッチンのように)日常的に使うものを上質にすることで、生活の質も上がります」と語りました。

そう言われてみると、キッチンは毎日使う場所。何かとモノが増えてごちゃごちゃしがちですが、カレサのように収納性も美しさも備えたキッチンなら、毎日の忙しさの中で、ほっとひと息つけるかもしれません。カレサの実物を見て、クォーツストーンの美しさに感動しました。アクタス新宿店を訪れてみてはいかがでしょうか。