雑談力とは、親しい親しくないに関わらず、会話するときに間を持たずに雑談ができる能力です。 たとえば、エレベーターであまり話したことがない顔見知りと二人だけになってしまったときや、顔は知っているが話したことがない人とばったり出くわしたとき、パーティーや会議で初対面の人と親しく話す場ができたときなどがあげられるでしょう。
このような、ビジネスシーンで起こりうる場面を上手に乗り越えることができるのが雑談力です。本稿では雑談力に関する詳しい内容を紹介していきます。
雑談が苦手な人の特徴
雑談が苦手な人は共通の話題が無い人とどのような会話をすればいいのか困ってしまう人たちです。無理に会話をしなくてはいけないシーンでは、本当につらいと感じてしまうこともあるでしょう。この雑談力が欠如している原因は何にあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
会話のネタが無い
雑談力に悩む人は、相手と何を話せばいいのかまったくわからないため、会話のネタが思いつかない、またはすぐに途切れてしまいがちです。このような人々は、常日頃からあまり人と会話をしていない人が多いのではないでしょうか。人は雑談をするとき、重要な話はせずに、たわいのないネタから自分たちの共通の話題へ自然に内容が移行していきます。思っている以上に、意外と会話のネタは転がっているのかもしれませんよ。
会話中の沈黙
会話が途切れやすく、会話の沈黙が怖くて雑談ができない人もいることでしょう。話の途中の沈黙ほど怖いものはありません。特に人見知りをする性格の人にとっては、会話そのものが子どもの頃から苦手だという可能性があります。 緊張感でさらにぎこちない会話になり、そのことがストレスになります。焦ってますます会話が続かなくなり、目を逸らしたり無愛想になったりしてしまい、相手に不快感を与えることもあります。
興味のない話
自分の得意分野にしか興味がなく生きている人も、雑談力に悩んでいるかもしれません。自分が好きな分野にしか関心がないため、それ以外の分野のトークとなると会話を広げにくことが理由として考えられます。
雑談力がビジネスにもたらすメリット
ビジネスシーンにおいても、雑談力がプラスに働くことが多くあります。
取引先との関係性の構築において「雑談」は必要なスキルです。営業をする場面では、初対面や面識のない相手からいきなり自社のサービスを説明するよりも、なんてことない雑談で場の空気を和ますだけで、営業がスムーズになります。
社内の同僚との会話でも雑談力があれば、自分との会話が相手に楽しいと思ってもらえれば好印象ですし、そこで関係性が深まれば、仕事においても連携しやすくなるでしょう。
雑談力を上げるコツ
雑談はコツさえ修得してしまえば、誰でも雑談力に優れた人間になれます。雑談力が無いと悩んでいる人は、小さい頃からいろいろな立場やさまざまな年齢の人と交流の機会が少なかった人によく見られます。同じような境遇や年齢の人とばかり話をするよりも、世代あるいはまったく職種が異なる人たちと話をする努力をしていきましょう。
相手の話を聞く話すよりも聞き上手を目指す
聞き上手が雑談力への近道です。何か話そうとするよりも、相手の会話を広げるほうが応用がききやすいので、聞くことから始めましょう。雑談力が無いと悩む人は、話そうと努力をしてしまいますが、よほど面白い話がない限り、聞き役に回った方がよいでしょう。話というのは、聞きたいより聞いてほしいという欲求の方が強く、自分の話を興味深く聞いてもらって、気を悪くする人は少ないでしょう。
相づちを打つ
雑談力のコツは「うん」や「はい」だけではなく、「お~」や「知りませんでした」などと、うまく相づちを打つことです。人の話を黙って聞いているだけでは、相手も自分の話がわかっているのだろうか、もしかしたら面白くないのかもしれないと、不安になってしまう可能性があります。相手の話をオウム返しするだけでも、良い印象を持ってもらえることも多く、その際に相手の話の内容を要約し、質問してみるのもよいでしょう。
相手を褒める
挨拶と同時に相手をほめる一言を加えるとスムーズに雑談のきっかけがつくれて、雑談力が上がります。ほめられて嫌になる人は多くはないでしょう。髪型でも服装でも、仕事に関することでもよいので、相手を一言ほめてみましょう。
疑問形の会話
会話はキャッチボールだといわれています。相手から投げられた会話というボールを、「お好きなのですか?」のように疑問形で返すと会話が弾んでいきます。その際に「~なんですね」と言い切る形で返答すると会話が広がらないので、聞き返す形を繰り返すことで、雑談が進むでしょう。
姿勢や表情を意識
しっかり相手の目を見て温和な表情で話せば、相手に「会話を楽しんでもらえている」という印象を持ってもらいやすいので、姿勢や表情も意識して雑談力を磨いていきましょう。 話し相手というのは、意外とこちらの様子を観察しています。相づちがうまいだけではなく、誠意を持って相手の話を聞くという姿勢を見せないと、雑談力を向上させることは難しいでしょう。
雑談におすすめのネタ3選
雑談力を上げるため、あらかじめ会話のネタを考えておくことも必要です。雑談の合間に沈黙が訪れてしまったときは、とっておきのネタを出して話を弾ませましょう。
ネタ1:天気・季節の話題
雑談の鉄板ネタとして有名なのが、誰にでも関係する無難なテーマである天気や季節の話題です。そこから話をいろいろな方向へ広げていくことができるからです。 また、ニュース記事や時事ネタなどのタイムリーな話題も雑談のネタになり、あたりさわりのない返答でその場を乗り切ることができるでしょう。
ネタ2:地域情報
地域周辺のお店の話題や、道が混んでいたなどの交通情報なども雑談のネタになりえます。普段から地域の情報を収集しておくことがポイントです。おいしいランチや裏道情報など、話題にはことかかないでしょう。また、自分の出身地の地域情報などを雑談のネタにすると、相手の出身地と共通の話題が見つかるなど、話が広がっていく可能性が高いでしょう。
ネタ3:変化したこと
昨日と違う点や前回会ったときの印象から大きく変わったことなどを話題にすると、雑談が盛り上がるでしょう。髪形や服の趣味、アクセサリーなどを話題にし、嫌みのないよう上手にほめることがポイントです。 相手が変化に気づいてほしそうな部分をほめられればいいですね。そのために、普段から周囲の人々やトレンドについての情報を収集して、観察力を養っておくことが重要でしょう。
おすすめしない雑談ネタ4選
一方で、雑談のネタにしない方がよい話題も、覚えておくとよいでしょう。話題になりそうになったときは上手に避けられるからです。お互いよく知っている関係でなければ触れるべきでないことや、一般的に思えても人を選ぶネタがあるので、詳しく解説していきます。
ネタ1:宗教
宗教はビジネスシーンでは触れるべきではないデリケートな話題で、最も避けるべき雑談ネタです。特に悪口は絶対NGです。信仰している人にとって宗教はとても神聖なものだからです。人としての礼儀を、雑談の中でも忘れないようにしましょう。
ネタ2:悪口や人の噂
悪口や噂話は「他のところでは自分が悪く言われているのでは」と相手に不安を抱かせてしまうためNGです。また、悪口はまわりまわって自分のところにくるとよく言われており、自分が悪口を言ったことが本人にバレる、もしくは今度は自分が噂の対象になるなどの可能性があります。
ネタ3:家族の話題
家庭環境は人それぞれなので、家族の話題を雑談に持ち込むのはやめましょう。たとえ自分の家庭の話題だったとしても、噂になってしまう可能性があります。家庭の話はデリケートな問題が多いので、雑談の際は気をつけましょう。
ネタ4:スポーツや芸能
スポーツや芸能の話題は人によってまったく興味がないことがあるうえ、相手の好きなチームや芸能人などを意図せず悪く言って不快にさせてしまいかねません。相手に関する趣味嗜好を熟知している場合は別ですが、それでも好みは変遷するので、話題にしない方が無難です。こちらが何とも思っていないスポーツや芸能の話題が、相手にとっては深い意味を持つ可能性があるからです。
雑談力の鍛え方・トレーニング方法
雑談力を鍛えるには、やはり場数も重要です。ここでは明日からできる雑談力の鍛え方をご紹介します。
「あいさつ+ひと言」で場数を踏む
出社時、「おはようございます」などのあいさつをしないことはほぼないでしょう。もし今あいさつだけで会話が終わっている方は、ぜひ、「あいさつ+ひと言」を試してみましょう。
「あいさつ+ひと言」は、その言葉の通り、あいさつに加えてひと言雑談を挟むというものです。
【例】
- おはようございます。昨日はすごく寒かったですね。
- おはようございます。髪切ったんですね!
普段しているあいさつに雑談のきっかけとなるひと言を添えることで、会話が広がります。雑談が苦手な方はまず、「あいさつ+ひと言」から始めてみてはいかがでしょうか。
適度な雑談がコミュニケーション能力アップのポイント
会話は慣れることが大切と言われており、小さい頃にあまり他人と話す機会が少なかった人にとっては、苦痛でしょう。しかし、社会人として話のコツをつかむことは豊かなコミュニケーション能力へとつながっていくでしょう。慣れてしまえば雑談が楽しくなるので、あらゆるシーンでさまざまな人と会話をしてさらに雑談力を磨いていきましょう。