「この製品がわが社の今後を占う試金石となる」など、ビジネスシーンでもよく耳にする「試金石」という言葉。この記事では「試金石」の意味や類語を、例文を交えてわかりやすく解説します。英語表現も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 「試金石」の意味について解説します

    「試金石」の意味について解説します

「試金石」とは

まずは「試金石」の基本的な意味を見ていきましょう。

「試金石」の読み方

「試金石」は、「しきんせき」と読みます。特に難しい漢字ではありませんので、ごく素直に読めば問題ありませんね。

「試金石」の意味

「試金石」には大きく2つの意味があります。1つ目は「金など貴金属の品質を鑑定するために用いられる、黒色の硬い石」という意味です。具体的には、石の表面にサンプルとなる金と、標準の金をそれぞれこすりつけたときの条痕(じょうこん)の色や、薬品処理を行ったときの色を比較し、純度を判定します。

そして2つ目は「物事の価値や人の力量などを計る基準となる材料や方法」です。

「試金石」の由来

そもそもの「試金石」は前者の、金などの純度を調べるために使用される鉱石を意味しています。そこから転じて後者の「物事の価値や人の力量などを計る基準となる材料や方法」という意味で用いられるようになりました。日常生活やビジネスシーンでは、主に後者の意味で使われます。

「試金石」の使い方と例文

「試金石」の主な使い方である、「物事の価値や人の力量などを計る基準となる材料や方法」について、例文をご紹介します。こちらを参考に使い方をマスターしましょう。

・今回のプロジェクトの成否は、わが社の今後を占う試金石となるだろう
・韓国支社の開設が、今後の海外展開施策の方向性を決めるための試金石となります
・彼の海外への単身赴任は、彼女との愛を確かめるための試金石となった
・次の選挙結果が、現政権の政策の妥当性を判断する試金石となるでしょう
・新型コロナウイルス感染症への対応が、結果としてリーダーとしての資質を判断するための試金石となった
・新しい働き方のための試金石となる取り組みとして、裁量労働制が導入された
・実店舗開店へ向けた試金石として、渋谷にポップアップストアをオープンする
  • 「試金石」の意味と用法を知って、正しく使いましょう

    「試金石」の意味と用法を知って、正しく使いましょう

「試金石」の類語

言葉の意味をより深く理解するためには、類語や言い換えを確認することも大切です。

「試金石」の持つ「物事の価値や人の力量などを計る基準となる材料や方法」という意味について、類語を見ていきましょう。

基準(きじゅん)

「物事の基礎となる標準のもの」、また「満たさなければならない一定の要件」という意味を持ちます。

規格(きかく)

「判断の基準となるような、一般的な標準」という意味です。「工業製品や工程などに対して定められた基準」という意味もあります。

物差し(ものさし)

「物の長さを測る文房具、定規」の意味の他、「物事を評価する際の基準や尺度」といった意味を持ちます。

テストケース

「先例とするため、試験的に行う事柄」という意味があります。他には、法律関係で「判例となる訴訟事件」という意味でも使われます。

リトマス試験紙(しけんし)

本来の「酸性・アルカリ性を判別するためのもの」から転じて、比喩的に「意見、方策などの是非、真偽、価値を判定する基準や手掛かりとなるもの」という意味を持ちます。「今回の新商品は、わが社の今後を占うリトマス試験紙となる」といった形で使用します。

ベンチマーク

英語の「bench mark」からきており、「物事の基準点、指標」を指す言葉です。また、ビジネス分野では「他社の優れた点を基準にして、自社の経営や業務を改善する方法」の意味もあります。例えば「先行するA社の製品をベンチマークとして、自社の既存商品をバージョンアップした新商品を開発する」という形で使われます。

マイルストーン

もともとは西洋で道路のわきなどに1マイルごとに立てられた「里程標」や、「画期的な出来事、事件」を意味する英語「milestone」をカタカナにしたものです。

その他、プロジェクト管理やシステム開発においては「最終目的までの進行上で特に重要な節目」という意味や、成果物そのものを指すこともあります。

メルクマール

ドイツ語「merkmal」由来の「メルクマール」は、「物事を判断するための基準や、その指標」のことをいいます。特に「最終目的を達成するまでの中間指標」という意味で使われることが多い言葉です。

「試金石となる」の言い換え

次に、「~の試金石となる」の言い換えとしてはどんな表現があるのか、いくつかご紹介しましょう。

真価が問われる

「真価が問われる」は、「本当の価値や値打ち、能力などを改めて試す」という意味を表します。

力量が試される

「力量が試される」は、「物事を成し遂げる能力、腕前の程度を実際に確かめる」という意味です。「力が試される」「能力が試される」「実力が試される」など、さまざまなバリエーションでの言い換えが可能です。

実力が判断される

「実際に持っている能力が見極められること」を表します。「能力が判断される」といった言い換えも可能です。

「試金石」の英語表現と例文

「試金石」を表す英語は、「touchstone」が挙げられます。以下に例文を紹介しますので、使い方を確認しておきましょう。

touchstone

「touchstone」は、「真価を試す基準、試金石」を意味する名詞です。

This work was the touchstone of my ability.
(この仕事は、自分の手腕を試す試金石だった)

「試金石」の意味を知って正しく使おう

「試金石」は、もともとの「貴金属の鑑定に用いる石」という意味から転じて、「物事の価値や人の力量などを計る基準となる材料や方法」を表す言葉としてよく使われています。

ビジネスシーンでも頻繁に使われる表現であり、新規プロジェクトのスタートや新製品発売の際などに、今後の展開を判断するための材料として「試金石となる」といった言い回しで使われることが多いでしょう。また、人材の能力を判断する際に、ある事柄に対するその人の振る舞いなどを「試金石」とする場合もあります。

このように、ビジネスシーンにおいて「試金石」はとても重要な表現となっています。皆さんもこの記事を参考に、「試金石」という表現を正しく使いこなしてみてください。