全固体電池MOPでは、個社での開発が困難な電池内の界面解析技術、さらに新規固体電解質材料探索技術などが共通基盤技術に設定されている。電池内での界面構造の制御・解析技術は、酸化物型ASSBの開発に欠かせない要素であるものの、これらを構築するためには莫大なコストや時間が必要とされている。
このような背景のもと、20年以上にわたってASSBの研究に取り組んできたのがNIMSであり、今日の硫化物型ASSBの性能達成に貢献した界面構造の開発につなげてきたのと同時に、高度分析や計算科学の立場からも界面現象の理解を進めてきたという。
全固体電池MOPでは、これまでNIMSが蓄積してきたノウハウや豊富な装置群と参加企業10社の知を融合することで、協調して基盤技術を構築し、各社における研究開発の加速を支援するとしている。
設立から約2年、NIMSは参加企業10社と協議して定めた協調領域研究計画に則り、装置の導入や実験室の整備に加え、専属研究員配置などについても整備を行ってきたという。
また、ASSBに関係した講習会をオンラインで開催してきたほか、標準電池を対象とした界面解析のケーススタディを通して計測基盤技術の確立を進めるなど、コロナ禍により移動が制限される中、本格始動に向けて着々と準備を行ってきたともしている。
今後のオンサイト活動の本格化に先立ち、2022年6月7日に参加企業の代表がNIMS並木地区に集い、蓄電池基盤プラットフォームを中心とした高度分析装置群ならびにMOP参加企業用のオープンラボの見学を行うと共に、今後の本格的な連携・協働についての意見交換が行われたとのことで、これらMOPの活動を通じて、グローバル市場における日本メーカーの持続的な競争優位性確保に貢献していくとするほか、省エネルギー社会の実現、持続可能な社会の実現への貢献を目指すとしている。