5月31日に発表された富士フイルムのミラーレス一眼「X-H2S」。注目の最新フラグシップモデルにいち早く触れる機会を得たので、同時に発表された新レンズとあわせて実機写真をお届けします。
高速化された第5世代フラグシップ「X-H2S」
X-H2Sは、新フラグシップモデルにして第5世代Xシリーズの初号機でもあり、新開発の裏面照射積層型センサー「X-Trans CMOS 5 HS」(HSはHigh Speedの意)を搭載します。画像処理エンジンも「X-Processor 5」に刷新し、高速化を図りました。一言でまとめるなら、動体撮影向きのAF/連写性能や動画機能を強化した機種です。
ボディ形状は「X-H1」(2018年3月発売)のフォルムを踏襲しており、クラシカルな雰囲気の機種が多いXシリーズとしては珍しく、機能性を重視した現代的なデザインです。大型のレンズを装着しても安定感のある深めのグリップを持ち、右肩にはX-H1やラージフォーマットのGFXシリーズと同様にサブ液晶を備えます。
先代のX-H1は約139.8×97.3×85.5mm(最薄部39.5mm)/約673g、X-H2Sは約136.3×92.9×84.6mm(最薄部42.8mm)/約660gということで、サイズ感はほぼ変わりません。
APS-Cミラーレスとして見ればやや大きめかもしれませんが、高度なAF性能や動画性能に特化したフラグシップ級の機種としてはむしろ小柄で、後述の望遠レンズ「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」を装着してみても、しっかりと握れる大型グリップの効果もあってか、機動性の高い機材だと感じました。
X-H2Sは7月14日に発売予定で、6月から7月にかけて東京/大阪/名古屋/札幌/福岡の5会場で予約制の体験イベントが開催されます。執筆時点で東京会場の予約はすでに埋まっており、家電量販店やショールームで気軽に触れられるようになるまではもうしばらくかかりそうです。なお、今回は6月7日~8日に開催された写真映像ビジネスに関する展示会「PHOTONEXT 2022」の会場で特別に許可を得て撮影させていただきました。
映像用パワーズームレンズ「XF18-120mmF4 LM PZ WR」
Xシリーズをお使いの方なら、X-H2Sの写真を見て「何やら見慣れないレンズが付いているぞ」とお気付きかもしれません。今回、X-H2Sと同時に発表された2本の新作レンズも目撃しました。
まず1本目は、9月発売予定の「XF18-120mmF4 LM PZ WR」。すでにXマウントには本レンズと近い焦点距離をカバーするズームレンズがありますが、こちらは滑らかなズーム操作を必要とする映像撮影に適したパワーズーム(電動ズーム)仕様となっていることが特徴です。
18-120mm(35mm判換算27-183mm)というオールラウンドに使える画角で、開放絞りが全域でF4通しとなっている点も動画向きです。最大径77.3mm×全長123.5mm/約460gということで、手動ズームの「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR」と比べてもわずかに軽いほど。動画性能に配慮したレンズとしては小型軽量と言えるのではないでしょうか。
ズームリングを動かした際に電動で滑らかにズームしていくのはもちろん、レンズ側面のボタンを押すと、おしゃれに編集された動画でよく見るような「ゆっくり少しずつ寄っていく/引いていく」表現を自動で行ってくれるのも便利そうだと感じました。
超望遠レンズ「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」
もう1本の新作レンズは「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR」。7月14日にX-H2Sと同時発売される望遠レンズです。
Xマウントの高性能ズームレンズの証である、いわゆる“赤バッジ”が付く上位レンズ。「XF200mmF2 R LM OIS WR」に続いて採用された白い鏡筒が目を引きます。生で見ると純白ではなくマットシルバーに近く、この塗装には屋外で活躍する大型レンズゆえの温度上昇を防ぐ役割もあるそうです。
焦点距離は150-600mm(35mm判換算229~914mm)。さらに1.4倍/2倍のテレコンバーター(別売)に対応し、最大で35mm判換算1,828mmという超望遠撮影ができます。
最大径99mm×全長314.5mm/1.605gと、大きなレンズではありますがフルサイズ機よりは軽装で超望遠の世界に足を踏み入れられます。ボディとの組み合わせによっても感じ方は大きく変わると思われますが、X-H2Sとの組み合わせであれば(縦位置グリップ装着・テレコンバーター未装着)、グリップも手ぶれ補正も十分手持ち撮影に耐えうると感じました。