欧州議会とEU理事会は6月7日(現地時間)、EU圏内で販売される小型・中型の電子デバイスの充電コネクタを統一することで合意した。夏期休会期間の後、議会とEU理事会で正式承認される見通し。早ければ2014年秋からUSB Type-Cの採用が義務づけられ、iPhoneの充電ポートにLightningを採用する米Appleの対応が注目を集めている。
対象となるのは、携帯電話、タブレット、デジタルカメラ、ヘッドホン/イヤホン、ポータブルゲーム機、ポータブルスピーカー、キーボードなど幅広い。発効から適用までより長い期間を設けてノートパソコンも対象にする。
新規定では、充電器から有線接続で充電するデバイスの充電ポートにUSB Type-C搭載を義務づける。EU圏内のみの規定になるが、複数の設計はコスト増になる上、電子ごみ問題への対応を求める声が世界的に強まっており、デバイスメーカーはEUのみの対応は避けると見られている。
新規定では、消費者が新しいデバイスを購入する際に充電器の有無を選べるようにすることも求める。欧州議会によると、未使用のまま廃棄される充電器は年間約11,000トンに上ると推測されており、EUの消費者が不要な充電器を購入しなくなることで年間最大2億5,000万ユーロの節約になるという。
合意内容が欧州議会とEU理事会に承認された場合、公示から20日後に発効し、24カ月後に規定が適用されるようになる。適用日前に発売された製品には適用されない。ノートパソコンについては発効から適用開始まで40カ月の猶予期間を設ける。
行政による充電コネクタの統一に関しては、技術の進化を遅らせる可能性が懸念されている。例えば、小型デバイスにMicro-USBが使われていた頃のUSBコネクタは使いづらく、端子の裏表を意識せずに挿入できるAppleのLightningの使いやすさがユーザーから支持され、同じように使えるUSB Type-Cが誕生した。1つの規格の採用が義務づけられると、その規格を超える技術が普及しにくくなる。欧州議会は今後のワイヤレス充電技術の成長を踏まえて、充電ソリューションの相互運用性に関して欧州委員会が委任法令を策定する権限を有することになるとしている。