ブロッコリーは、栄養豊富な緑黄色野菜の代表格。食物繊維やビタミンC、カリウム、鉄、葉酸などの栄養素を含む、栄養価の高い野菜です。ブロッコリーの栄養素はつぼみだけでなく茎にも含まれています。つぼみだけ残して茎の部分を捨ててしまってはもったいないことに。
本記事ではブロッコリーの栄養素とその効果・効能についてくわしく解説。栄養を逃がさないためのおすすめの調理方法も紹介します。
ブロッコリーの栄養成分と効能・効果
ブロッコリーはアブラナ科アブラナ属で花芽を食べる野菜です。祖先は青汁で有名なケール。原産地は地中海沿岸で、ローマ時代から日常的に食べられていたと考えられています。日本では明治時代にカリフラワーと共に入ってきました。ほとんど野菜の栽培面積が減少している昨今でも、ブロッコリーはまだ栽培面積を伸ばしている人気の野菜です。
茹でたブロッコリー可食部100gあたりの成分について、七訂日本食品標準成分表で調べてみました。
- エネルギー:27kcal
- たんぱく質:3.5g
- 脂質:0.4g
- 炭水化物:4.3g
- コレステロール:0
- 食物繊維:3.7g
- カロテン当量:770μg
- ビタミンE:2.1mg
- ビタミンK:150μg
- ビタミンC:54mg
- 葉酸:120μg
- カリウム:180mg
- マグネシウム:17mg
以下に、ブロッコリーに含まれている主な栄養成分から期待できる効果や効能をみてみましょう。
葉酸
葉酸は水溶性ビタミンの1つ。造血作用のあるビタミンで、貧血予防につなげます。ほかにも、皮膚を健やかに保ったり、免疫力を向上させたりする作用も。葉酸はとくに妊娠中の方に推奨される栄養素です。
ビタミンC
ビタミンCは体の細胞間を結ぶコラーゲンの生成に不可欠な栄養素。抗酸化、つまりアンチエイジングの作用があるとして知られています。
ビタミンCは果物に多く含まれており、レモンが非常に有名です。ただ、ブロッコリー100gに含まれるビタミンCは、茹でた場合で54mg。レモン果汁100gが50mgなので、レモンよりも多いことがわかります。
カリウム
カリウムは体の余分なナトリウムや、水分の排出を促す作用があります。そのため、高血圧を防いで血圧を正常に保ったり、むくみの症状を改善したり予防したりすることに役立ちます。
鉄
鉄は、赤血球のヘモグロビンに多く存在するミネラル。体内で作ることができないため、食品から摂取する必要がありますが、鉄が不足すると全身に酸素が行きわたらない「鉄欠乏症貧血」となり、集中力低下や頭痛などの原因に。また、疲労感も感じやすくなります。
ブロッコリーは健康にいいの?
ブロッコリーは栄養価が高い野菜であることがわかりましたが、健康のためにはたくさん食べた方がいいのでしょうか。
低カロリーで糖質も控えめ
たくさん食べたい野菜となると、気になるのはそのカロリーです。茹でたブロッコリー100gは27kcalと、とても低カロリー。食べやすく中くらいにカットした茹でブロッコリー1個10gは、たった3kcalしかありません。
また、ダイエッターが気になる糖質量も控えめです。茹でた状態で100gあたり1.3gと低く、糖質制限中の人でも問題なく食べることができる野菜です。
毎日食べるとどうなる?
ご紹介してきたように、ブロッコリーは栄養価の高い野菜です。ビタミンやミネラルが豊富に含まれており、毎日食べても問題はないでしょう。ただし、ブロッコリーに限らず、食事はバランスが大切です。偏った野菜ばかり食べるのは避けた方がよいでしょう。
妊娠中におすすめ
ブロッコリーに含まれている葉酸は、DNAの合成や調整に関わるビタミンで、正常な細胞の増殖を助ける働きがあることから、妊娠前後の女性にとっては必須と言えます。このビタミンは胎児の成長に役立つため、普段の量の約1.7倍を摂取する必要があると考えられています。
また、葉酸が不足すると貧血を招く恐れがあります。普段から貧血気味な人は、特に妊娠中はブロッコリーなどの緑黄色野菜の摂取を心がけるとよいでしょう。
ブロッコリーの栄養を逃がさない調理方法
ブロッコリーに含まれるカリウムやビタミンCなどは水溶性のため、調理の過程で流出してしまう可能があります。洗う際はさっと短時間で済ませ、加熱はゆでるのではなく電子レンジ加熱がおすすめ。また、スープにすれば流出した栄養素もいただけるので、おすすめです。
茹でる
やりやすい加熱方法は「お湯で茹でる」ですが、水溶性のビタミンCやカリウムなどが流れ出てしまううえ、水っぽくなってしまう恐れもあります。そのため、ブロッコリー本来の栄養素をしっかりと摂取したいのであれば、茹でるという調理法は避けたほうがいいでしょう。
蒸す
フライパンに少量の水を入れて蒸し焼きにする「フライパン蒸し」も栄養を逃さない調理法です。フライパンに洗ったブロッコリーを並べ、100ccの水を加えて強火で加熱します。中の水が沸騰してから約2分で火が通ります。この方法だと、水分がほどよく残ってジューシーに仕上がります。
おすすめはレンジ加熱
「茹でる」「蒸す」以外の手軽な加熱方法として「電子レンジ加熱」があります。洗ったブロッコリーを小房に分けて、耐熱皿にのせ、大さじ1~2杯くらいの水をかけてラップをします。600Wで2分から3分半ほど加熱すればOK。すぐにラップを開けると硬さが残りやすいので、あとは余熱で蒸らしましょう。
茎にも栄養が豊富
ブロッコリーは柔らかく食べやすい花芽の部分を食べますが、実は茎の部分にも栄養が含まれています。そして、この茎にもビタミンCやカロテン、カリウムなどが多く含まれています。
「硬そうだから」と、調理の際にカットして捨ててはいませんか。茎の食感が気になる場合は包丁でまわりを薄くむいてから、料理に使ってみてください。甘みがあり、つぼみ部分とは違う歯ごたえを楽しめます。
ブロッコリーの栄養は冷凍するとどうなる?
たくさん食べたい野菜ですが、気候によって価格の幅が大きくなるのが悩ましいところ。そんなときに利用したいのが市販の冷凍野菜です。ブロッコリーもよく見かけられるひとつですが、栄養価は生と比べて違いがあるのでしょうか。主要な栄養価を比較してみました。
生ブロッコリー
- カリウム:460mg
- カロテン:900μg
- 葉酸:220μg
- 食物繊維:5.1g
- ビタミンC:140mg
茹でたブロッコリー
- カリウム:180mg
- カロテン:770μg
- 葉酸:120μg
- 食物繊維:3.7g
- ビタミンC:54mg
冷凍ブロッコリー
- カリウム:210mg
- カロテン:830μg
- 葉酸:120μg
- 食物繊維:4.3g
- ビタミンC:55mg
ブロッコリーの保存方法
買ってきてすぐに調理して食べるのが理想ですが、そうできないときもあるでしょう。しかし、ブロッコリーは常温でそのままにしておくと2~3日で変色してしまいます。フレッシュさをなるべく保ったまま保存する方法について調べてみました。
洗い方
ブロッコリーに豊富に含まれるビタミンCは水溶性なので、長時間水に浸したり茹でたりするとせっかくの栄養が水に溶け出してしまいます。それでも、さっと洗っただけでは心配という方は、以下の方法をお試しください。
大きめのボウルに水をはり、大さじ1のお酢を加えます。酢を加えると大半の細菌を除去できます。
ブロッコリー1株を房を下にして(つぼみ部分が全部浸るように)水に浸し、そのまま20分間浸けておきます。
20分経つとつぼみが開いてくるので、水中でブロッコリーを振り洗いします。これで、小さな虫や汚れを落とせます。そのままでも調理に使えますが、気になるようでしたら、流水で洗い流します。
小房に分けた状態のブロッコリーは、お酢入り水をポリ袋で入れて浸ける方法もありますが、切り口から栄養価が流れ出てしまうで、丸ごと洗う方法がおすすめです。
冷蔵保存する場合
ブロッコリーをキッチンペーパーで包み、さらにラップに包むか、ポリ袋の中に入れ、花蕾を上にして野菜室で保存します。保存期間はこの方法で4日くらいです。また、火を通したブロッコリーの水気を十分に切り、キッチンペーパーを敷いた密封容器に入れて冷蔵庫で保存しておくと、使いたいときにすぐに使えて便利です。
冷凍保存する場合
生のまま冷凍する場合は、3~4房ずつラップで包んで、ブロッコリー同士が重ならないように冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ入れます。つぼみ部分が崩れやすいので冷凍庫内が他の食品でいっぱいの場合は、保存容器に入れた方がいいでしょう。また、水気をしっかり取ることがポイントです。
火を通してから冷凍する場合も、火入れ時間を短めにすると解凍したときに食感が悪くなることを防げます。この場合も水気はしっかり拭き取ります。
ブロッコリーを使ったレシピで健康な体を目指そう
ブロッコリーは栄養価の高い野菜ということがわかりました。サラダでモリモリ食べるのもいいですが、スープや炒め物などいろいろな料理にアレンジしたり、ちょい足ししたりしてたくさん食べたいですね。
鮮度が落ちやすい野菜なので、保存方法には工夫が必要なようです。また、冷凍ブロッコリーを使う場合は、解凍せずにそのまま炒めたり、焼いたりすると水っぽくならずにおいしく食べられます。
熱したフライパンに油をひかず冷凍ブロッコリーを弱火で水分が飛ぶまでゆっくりから炒りすると、生ブロッコリーに近い歯ごたえを味わえます。試してみてはいかがでしょう。