パーソルホールディングスは6月7日、同社が実施したITツール導入・活用に関する実態調査の結果を発表した。これによると、5割以上の企業でテレワーク関連ツールの導入率が上昇し、6割強がITツール導入により生産性が向上したという。
同調査は4月8日から4月11日にかけて、全国の従業員30人以上の企業に勤務または経営していて、企業のITツール導入時の選定・決定に携わる25歳から69歳までの男女を対象にインターネットにより実施したものであり、サンプル数は1000人。
ITツールの導入・利用状況を尋ねると、全体ではWeb会議システムが56.2%で最も多く、勤怠・労務管理システムと給与計算システムがいずれも51.9%で続く。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大以降に導入したものでは、Web会議システム、勤怠・労務管理システム、チャット・コミュニケーション・ツールなど、テレワークに対応したツールが上位に挙がった。
今後導入を検討しているITツールでは、AI(人工知能)・IoTシステム(10.8%)、電子サイン・電子契約システム(10.6%)、RPA(業務自動化、10.0%)が上位に並ぶ。
企業規模別では、すべての規模でAI・IoTシステムが上位だったが、中小企業では人事評価・タレントマネジメントシステム、大手・中堅企業では電子サイン・電子契約システム、超大手企業ではCRM(顧客関係管理)・SFA(営業支援)・MA(マーケティング・オートメーション)ツールが上位となるなど、差が見られた。
ITツール導入のきっかけを聞いたところ、「生産性向上のため」が38.5%と最も多く、以下「デジタル化・DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進」(30.9%)、「働き方改革」(30.5%)が続く。
ITツール導入時の課題では、「既存システムからの移管が難しい」が25.6%で最多であり、「従業員が使いこなせるかわからない」が25.5%と僅差、これらに「セキュリティリスクの懸念がある」(23.9%)が続いた。
ITツール導入のための予算状況を見ると、中小企業の平均が911万3000円、大手・中堅企業が2259万4000円、超大手企業が4088万円で、金額差が見られた。中小企業の予算はコロナ禍以降、右肩下がりとなっているという。大手・中堅企業はコロナ禍で一時減少したものの、直近1年でコロナ以前を上回っているとのこと。超大手企業は、コロナ禍以前ほどではないが、直近1年で回復傾向が見られたとしている。
ITツール導入による生産性への影響を聞くと、「とても向上した」「向上した」の合計が65.1%であり、多くの人が生産性の向上を実感しているようだ。