アップルが新しいMacBook Airを発表しました。新開発の高性能CPU「M2」をいち早く搭載したこと、本体デザインを一新して使い勝手を高めたこと、スピーカーやマイク、カメラの性能を高めたこと、充電まわりの装備を改良したことなど、注目点の多い1台に仕上がっています。基調講演後にお披露目されたMacBook Airを実際に試したところ、さまざまな点が進化していると感じました。
【デザイン】伝統のくさび形デザインをやめ、フラットな仕上げに
新しいMacBook Airでまず注目したいのが、一新した本体デザインです。MacBook Airの象徴でもあった先端が細くなる「くさび形デザイン」を卒業し、2021年秋に登場したMacBook Pro 14インチ/16インチと共通のフラットで直線的な仕上げになりました。全体の厚みはわずか11.3mmに抑えられているので、携帯性が損なわれた印象はまったくありません。上位シリーズと同じデザインになったことで、存在感が高まったように感じます。
処理性能の高いM2チップを搭載しながら、ファンレス構造を継承したのも評価できます。底面には排気口が一切見当たらず、とてもスマート。どんなに負荷の高い処理を実行しても無音のまま静かに使えます。
ちなみに新しいMacBook Air、本体の底面を含め、どこにも「MacBook Air」という機種名が書かれていません。周りの人に「MacBook Proを買っちゃった」と言っても、よほど詳しい人でなければバレないかもしれません。
【カラバリ】ブラック系の「ミッドナイト」が美しい
実機を目にすると、2色の新色を含めた4種類のカラーバリエーションもいいなと感じました。新色はブラック系の「ミッドナイト」と淡いゴールドのような「スターライト」の2色ですが、特にミッドナイトは注目。スペースグレイよりも圧倒的に黒いカラーは美しく、同系色のキーボードとマッチして“カタマリ感”が上々だと感じます。濃いカラーなので指紋が目立ちやすいかな…と感じましたが、MacBook Proにもない存在感があり、MacBook Proユーザーもうらやむ1台となりそうです。
【キーボード】MacBook Proと同じ構造に、打ちやすさも上々
キーボードやディスプレイなど、入出力デバイスの進化も見逃せません。
キーボードは、MacBook Proと同じMagic Keyboardになり、フルサイズのファンクションキーやTouch ID搭載の電源ボタンを備えました。タッチの感触はMacBook Proと同等で、強めにタイプしてもたわんだりすることはありません。薄型軽量のモバイルノートPCでもキーボードの仕上げに妥協しない点は大いに評価できると感じました。
【ディスプレイまわり】表示性能が向上、カメラも進化
13.6インチのLiquid Retinaディスプレイはわずかな大型化にとどまっていますが、パネルが狭額縁化したことで、数字以上に大きくなった印象を受けます。ディスプレイ上部のカメラは解像度や画質を向上した新タイプになり、室内などの薄暗い状況でもノイズを抑えたきれいな映像がキャプチャできます。マイクやスピーカーなどのオーディオまわりも改良されたことで、オンライン会議でも自分の表情や声をきれいに送れます。
【充電まわり】MagSafeが復活、新型ACアダプターのデキもよい
充電まわりの劇的な改良も見逃せません。
MacBook Proと同様に充電用のMagSafe端子が復活し、コネクターを近づけるだけで吸い込まれるようにくっついて充電が始まる軽快な使い勝手が得られます。ちなみに、付属のMagSafeケーブルやコネクターは本体と同色のものが付属し、細かい部分まで色を揃えて使えます。
新設計のACアダプター「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」が付属する点も見逃せません。指でつまめるコンパクトサイズながら2つの出力端子を備えていて、iPhoneなどのデバイスも同時に充電できます。特にいいなと感じたのが、収納式のACプラグ。先端がわずかにはみ出していて、この部分に指を引っかけて軽く力を入れるだけでACプラグが90度回転して接続できる状態になります。このACプラグの動きが実に絶妙かつスムーズで、まるでバネが入っているかのように「パチン!」と小気味のよい音を立てて瞬時に出し入れできるのです。
ちなみに、このACアダプターは10コアGPU搭載M2と512GBストレージを選択した場合のみ付属し、それ以外のモデルはこれまでと同じ30W USB-C電源アダプタが付属します。
M2チップを搭載しつつ上位機種のMacBook Proで好評の要素を惜しみなく盛り込んだ新MacBook Air。これまでMacBook AirやMacBookを使ってきた人だけでなく、MacBook Proユーザーも選べる実力派モデルになったと感じます。円安を受け、日本での価格は164,800円からと高めになりましたが、不満を感じず長く使える佳作になりそうです。7月の発売が待ち遠しくなりました。