ハードのみならずスパコンの使い方でも力をつけてきた中国
Yutong Lu教授は、エクサスケールのシステムでは、取り扱うアプリケーションの範囲が広がり、新しいモデルやアルゴリズムを扱う必要が出てきた。また、大規模でヘテロジニアスなソフトウェアスタックを扱うことも必要になってきた。2021年のGordon Bell賞では中国の4つの論文が候補に選ばれ、2022年のGordon Bell賞でもいくつかの論文がGordon Bell賞の候補となった。この点で、中国はスパコンのハードだけでなく、スパコンの使い方でも力を付けてきたと言えると評価した。
中国は国家HPCグリッドを構築しており、グリッドに接続するスパコンの数を増やし、各サイトのスパコンの性能を増強している。そして、アプリケーションのサービスグリッドも構築している。
このグリッドは8か所のハブを持ち、10か所のデータセンタクラスタが接続されている。このグリッドは中国のデジタルエコノミーのエンジンと位置付けられている。
正式の発表ではないが、Yutong Lu氏の口ぶりでは、中国のエクサスパコンは完成しており、稼働している感じである。なぜ、正式発表しないのか分からないがTop500に発表しなければならないというルールは無く、発表するしないは自由である。米国でもNSAなどの秘密度の高い政府機関はもっと大きいスパコンを持っているという噂は聞くし、石油採掘企業などがTop500に参加しないスパコンを持っている例はある。
将来の中国のHPC像であるが、単一システムで1-10ExaFlopsでHPC、Big Data、AIをすべてこなせるプロセサを目指しているという。そのためにはCPU、アクセラレータ、メモリ、インタコネクト、IOなどのハードウェアやモデル、アルゴリズム、フレームワークも見直してブレークスルーを達成しなければならないという。
さらに、コンピュータのネットワークも大幅な改良が必要であり、~100ExaOpsのネットワーク、ネット全体に跨るデータ共用、使いやすさを実現するサービスグリッドが重要となる。
そして、全てのレベルでコデザインを行い、いろいろな知識、スキルを持つ設計者のコデザインも重要である。と述べたが、何時頃になるのかは明らかにしなかった。