今日、企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める中で、データ活用は必要不可欠な要素となっている。とはいえ、データ活用は容易ではなく、自社の業績向上に役立てるまでには至っていない企業も多い。

そこで、今年5月にSAS Institute Japan 代表取締役社長に就任したシュクリ・ダバギ氏に、企業が効果的なデータ活用を実現するためのポイントについて聞いた。同氏は、米SASのEMEA Emerging and Asia Pacific 担当シニアバイスプレジデントも兼任している。

  • SAS Institute Japan 代表取締役社長 シュクリ・ダバギ氏

企業はデータ活用のメカニズムを構築すべき

SAS Institute Japanは日本でビジネスを初めて37年になるが、ダバギ氏は「お客さまがデータを活用することで、意思決定を促進できるようになることが重要と考えている」と語る。

ここ数年、さまざまなところでデータの重要性が語られているが、ダバギ氏は「多くの企業がデータを収集してDWHを作ってきたが、データだけでは役に立たない。データは意思決定のドライバーでなくてはいけない」と指摘する。

ある調査によると、組織のデータの73%が活用されていないという結果が出ているが、その理由は「テクノロジーがないからではなく、レガシーな仕組みが足枷となっている」(ダバギ氏)という。

「企業は長年にわたり、知識を蓄え 意思決定を行ってきたが、それらは今の新しい世界では生きていない。また、企業は組織としてデータを活用してバリューを生み出すというメカニズムを構築できていない。これが問題となっている」と、ダバギ氏は、データ活用における企業の課題を明らかにした。

アナリティクスは意思決定のど真ん中になる

そして、ダバギ氏は「SASは、アナリティクスは意思決定のど真ん中になるものと捉えている」と話した。SASはアナリティクスのCoE(センターオブエクセレンス)をドライブしようとしているという。同氏はその意図について、「データからアナリティクスを行い、テクノロジーに流すことで、CoEにおいて統一性がある最高の判断ができるようにする」と説明した。

具体的には、アナリティクスはあらゆる人が使えるもの、どこででもできるもの、エコシステムによって拡張されるものであるべきだという。「アナリティクスは、専門家や頭のいい人たちだけが使うものではなく、民主化が進んでいる」(ダバギ氏)

  • アナリティクスは、あらゆる人がどこでも使え、エコシステムによって拡張される

アナリティクスがどんな場所でもできるようになるかはクラウドがカギとなる。「現在、複数のクラウドプラットフォームを世界で使える状況にある。クラウドがあるからこそ、SASの存在意義がある。これまで、データを集めることに80%の時間を使っていた。しかし、クラウドにデータを集約することで、データ収集に割いていた時間をデータの活用に振り向けることが可能になる」とダバギ氏。