東京・芝浦エリアで、野村不動産とJR東日本が共同で推進している「芝浦プロジェクト」。このほど記者発表会で計画の詳細が発表された。
オフィス・ホテル・商業施設・住宅の一体開発
このプロジェクトでは、野村不動産が保有する「浜松町ビルディング」(東芝ビルディング/東京都港区芝浦1-1-1)の建替事業として、ツインタワーの建設を予定。JR東日本が保有する「東海道貨物支線 大汐線用地」と合わせて区域面積約4.7ha、高さ約235m、延床面積約55万m2のオフィス・ホテル・商業施設・住宅を含む、約10年間に及ぶ大規模複合開発となる。ツインタワーS棟(地上43階 地下3階)は2025年2月、N棟(地上45階 地下3階)は2030年度竣工予定。
「東京湾岸部における最大規模の開発。この浜松町エリアは本プロジェクトにより日本を代表し世界に発信できる街として成長し続けると確信している。グループの総力を上げて取り組んでいく」と野村不動産ホールディングス代表取締役社長兼グループCEOの沓掛英二氏。
もとより物流を担う重要な埠頭だった、浜松町・竹芝・芝浦エリア。高度経済成長期に入り、羽田空港につながる東京モノレールが開通し、貿易センタービルをはじめとする多くのビルが集積。1984年には東芝の本社社屋として浜松町ビルディングが竣工、日本経済の成長を支えてきた象徴的なエリアだった。また、ウォーターフロントとしてディスコなど80年代には多くの若者が集う一面を見せるエリアでもあった。
2008年に東芝不動産が野村不動産ホールディングスグループ入りし、今回のプロジェクトがスタート。2018年3月には「国家戦略特別区」に認定されている。 世界的建築家である槇文彦氏を設計者に迎え、東京湾岸部の新たなシンボルとして国際ビジネス・観光拠点創出を目指す。
「立地の最大の特徴は、空と海が眼前に広がり圧倒的な解放感が得られること。加えて開発によりツインタワーの足元は運河の親水空間と緑地空間に囲まれる。東京の利便性と心休まる環境を同時に享受できる稀有な街。都心でありながらWell-beingという本来両立しがたいものが、このロケーションだからこそかなう」(野村不動産ホールディングス代表取締役副社長兼グループCOO兼野村不動産代表取締役社長の松尾大作氏)。
この環境で実現する今の時代に寄り添う新たな働き方として「TOKYO WORKation(トウキョウ ワーケーション)」 を提案。事業主体の一つである野村不動産グループも、 本プロジェクトS棟へ本社機能を移転することが決定している。
また、S棟上層階には欧州最大手のホテルグループであるアコーが手がけるラグジュアリーホテルブランド「フェアモント」 が日本へ初進出。「フェアモント東京」として2025年度開業予定だ。
周辺には、竹芝でJR東日本が手がける「ウォーターズ竹芝」、ソフトバンク本社が移転した東急不動産の「東京ポートシティ竹芝」、浜松町駅前で世界貿易センタービルの解体工事が始まった「浜松町駅西口地区開発計画」などがある。事業者間で連携し、エリアマネージメントも強化しているという。
変わりゆく東京湾岸
海上からも開発予定地周辺を見学してきた。
浜松町・竹芝・芝浦エリアはもちろん、東京湾周辺がこの10年でどんな進化を遂げるのか楽しみだ。