昨今、コロナの問題や世界情勢の影響で、アメリカをはじめ、世界では「金利を上げる」いわゆる「利上げ」が進んでいます。日本でも国債の利回りが上がる傾向が見えてきており、既に住宅ローンの固定金利は上昇を始めています。今回は、金利が上昇した場合、住宅ローンが家計に与える影響や、対応策について解説します。
様々な金利が上がり始めている
アメリカの利上げの影響により、日本の長期国債の金利も上がり始めています。資産運用に関しては、米国債の利回りがあがり将来の運用益が期待できるなどメリットもある一方で、住宅ローンを検討をしている方や既に返済中の方は、注意が必要です。
住宅ローンの固定金利も上がり始めている
住宅ローンの金利が上がることで、これから住宅ローンを検討している方や既に返済中の方に、大きな影響が及ぶ可能性があります。
例えば、これから住宅ローンを検討している方は、金利が上がることで毎月の返済額が増えてしまい、当初予定していた金額でローンが組めなくなってしまうケースがあります。
また、既に返済中の方は、変動金利で住宅ローンを組んでいる場合、金利が上がることでローン返済額が増えてしまい、日々の生活に支障をきたす場合もあります。
変動金利の場合、固定金利と比べて相対的に金利が低く、返済当初は毎月の返済額が低いなどメリットもある一方で、返済期間中に金利が上昇すると、固定金利よりも高い利息を支払わなければならないケースに陥ることもあるため、注意が必要です。
残債4000万円、残り期間30年、金利0.5%で金利が1%上がるとどうなる?
それでは、変動金利で既に返済中の方が、返済期間中に金利が上昇すると返済にどのような影響があるのでしょうか?住宅ローンの残債4000万円、残りの返済期間が30年、変動金利で当初の金利0.5%から1.5%に上がった場合で見てみましょう。
●金利0.5%が30年間続いた場合
毎月の返済額:119,675円
総返済額:43,083,107円
●金利1.5%が30年間続いた場合
毎月の返済額:138,048円
総返済額:49,697,092円
上記のように、返済期間中に金利が1%上昇すると、毎月の返済額が約2万円上がり、残り30年間の返済額は約650万円多く支払うなど、家計への負担も大きくなります。
家計に与える影響
住宅ローンは、基本的に、長い期間をかけて返済するため、金利が上昇して住宅ローンの返済額が上昇することで、当初予定していた教育資金や老後の生活資金などが準備できなくなってしまうといった影響があります。
今後、住宅購入を検討されている方は、住宅ローンを組む際に、返済期間中に金利が変動するタイプのローンを組む場合には、「将来、金利が上昇した場合に、どの程度返済額が変わるのか」など事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
対応策
住宅ローンを組む際に、返済できる余力がある場合でも、教育資金の増加、親の介護費用、収入の減少など想定外のことが起こる可能性もあります。そのため、毎月の返済額を抑えながら、「繰上返済」をうまく活用して、着実にローン残高を減らしていく方法が有効です。ローンを返済しながら、貯蓄もできると想定外の支出にも対応しやすくなります。
これから住宅購入を検討される方は、「固定金利」で住宅ローンを組むことも対応策のひとつです。固定金利の場合は返済期間中、金利が変動しないため、金利上昇局面でも返済額が一定である特徴のほか、返済計画も立てやすくなります。
変動金利で既にローンを返済中の方は、今後の金利の動き方によっては、固定金利への変更や借り換えを検討することも対応策のひとつです。ただし、借り換えをする際には、そのときの残債や金利によって借り換え後の金利など条件も変わるため、注意が必要です。
まとめ
住宅ローンの金利が上がることによって、これから住宅ローンを検討されている方や、既に返済中の方に与える影響や対応策について解説をしました。
「繰上返済」や「固定金利」で住宅ローンを返済するなど対応策について記載もしましたが、大切なのは、想定外のことにも対応できるよう今後の資金計画を立てることです。
将来、起こり得る支出の変化にも対応できるよう計画的に貯蓄ができると、万が一の場合にも対応しやすくなります。資金計画は、税金や社会保険料なども加味して計画できるとより対応策が明確になるため、計画を立てる際には、ファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
この記事を執筆したファイナンシャルプランナー
倉知洋平(くらちようへい)
所属:株式会社マネープランナーズ