現在放送中のTBS系日曜劇場『マイファミリー』(毎週日曜21:00~)。5月29日放送の第8話では、鳴沢友果と三輪優月の誘拐の犯人であることを涙ながらに告白した東堂(濱田岳)だが、一方で阿久津実咲の誘拐は否定。鳴沢温人(二宮和也)と東堂の関係性を怪しんだ阿久津晃(松本幸四郎)はついに警察に連絡し、事件解決に向け大きな展開を見せた。そんななか、物語序盤から一貫して誘拐事件解決に異常なまでの執着を見せる神奈川県警捜査一課の葛城圭史は、信念に基づき事件解決に迫る。SNS上では“怪しい”という声もあがるなか葛城を演じる玉木宏は、どんな形で役へアプローチをしているのだろうか――。
■執念深い葛城「ブレずに演じている」 共感する部分も
玉木演じる葛城は、5年前に起きた部下である東堂の娘・心春が誘拐された事件で犯人逮捕に至らなかったことを強く後悔し、鳴沢友果誘拐事件が起きたときは、執拗なまでに犯人逮捕に固執した刑事だ。そのやり方はときに強引であり、その強い執着は、視聴者から“怪しい”と思われることもある。
「物語が進むにつれ、登場人物のいろいろな顔が見えてきますが、葛城に関しては、最初にいただいたキャラクター設定が細かく書かれた紙に、一貫して信念を曲げず、事件を追う執念深い男と記されていたので、その部分はこれまでずっと変わっていません。ある意味その執念深さが、なにかあるのでは……と葛城犯人説みたいな部分に繋がっているのかなと思っていますが、そこはブレずに演じています」。
鬼気迫る表情でストイックに事件に向き合う葛城。やり方には強引なところがあるが、玉木自身、共感できる部分は多いという。
「当然自分が演じる役なので、受け入れて近づこうとするのは当たり前なのですが、それを差し置いても、仕事に対してまっすぐな部分は、すごく共感できます。そこには5年前に心春さんを救えなかったという事実が心のなかに残っている。それでも責任感や同じことを絶対に繰り返さないというストイックさが、葛城の原動力だと思います」。
■「二宮くんたちは本番の2秒ぐらい前までしゃべっている」
葛城が事件解決に執着を見せるなか、微妙な関係性として立ちはだかるのが二宮演じる温人だ。
「二宮くんに関しては、今回が4作目の共演なのですが、最初に出会ったのは10代。嵐結成前だったのですが、そのときから第一線でやっていて、当時から現場を引っ張る感じの立ち振る舞いは変わっていないです。お芝居の上手さはもちろんですが、頼りがいのある座長です。今回共演して、さらに進化しているなと感じました」。
常に周囲を盛り上げ、大らかに現場を引っ張っているという二宮。しかし物語が進むにつれ、玉木との関係性も、さらにシリアスさが増していく。
「難しい警察用語が出てくるので、セリフの量が多いときは、頭のなかを整理しておかないと、スッと出てこないんです。でも本当に二宮くんたちは本番の2秒ぐらい前までしゃべっているので、こちらはそこに引きずられないように気をつけないといけない。結構、心のなかでブレーキをかけながらやっているんです(笑)」。
連続ドラマへの出演は枚挙にいとまがない玉木。オンエアと並行する撮影のときは、反響なども考えて役を自分なりにアレンジすることもあると話すが、本作では一切ないという。
「脚本から読み取ったなかで、葛城という人物に一貫して変化がない。人間的なユーモアが非常に少ない堅物なので、視聴者の反応を感じながら変化をつけようにも、なかなか難しい。そんな部分が葛城の魅力だと思うので、ストレートに演じています」。
今後も息をつかせぬ展開が続くが「重厚な作品を作る日曜劇場。脚本の面白さはもちろん、非常にパワーのある物語で、士気も高まっています」と語った玉木。ラストに向けて「ノンストップファミリーエンターテインメントという本作のキャッチコピーの意味が、ようやく分かってきました」と物語のヒントを与えてくれた。
1980年1月14日生まれ、愛知県名古屋市出身。1998年にドラマ『せつない』で俳優デビュー。2001年映画『ウォーターボーイズ』で注目を浴び、2003年にNHK連続テレビ小説『こころ』で朝ドラ初出演。2006年NHK大河ドラマ『功名が辻』に初出演。2006年フジテレビ『のだめカンタービレ』で幅広い世代へと知れ渡り、2007年エランドール新人賞を受賞。近年の主な出演作はカンテレ・フジテレビ『竜の道 二つの顔の復讐者』(2020)、日本テレビ『極主夫道』(2020)、映画『HOKUSAI』(2021)など。現在、映画『極主夫道 ザ・シネマ』が公開中。『キングダム2 遥かなる大地へ』が7月15日公開予定。
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