日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’22』(毎週日曜24:55~)では、三重県松阪市に暮らす型破りな猟師に密着した『生かすと殺す ―狩猟する医師―』(中京テレビ制作)を5日に放送する。
猟師5年目の良雪さんは、罠にかかり突進を繰り返すイノシシに槍をひと突きし仕留める。獣害に苦しむ農家から駆除の依頼は絶えない。
そんな彼が狩猟を終えて向かったのは、松阪市内のクリニック。命を殺める猟師の顔から、地域住民の命を支える医師の顔に変わる瞬間だ。
院長を担うクリニックは、全国的に珍しい救急対応。当時ひっ迫していた救急医療を救うためだった。元日でも開院し、断らないことが理念。地域の医療を支えるため、患者宅をまわる訪問診療も行っている。
医療とは何か、狩猟を通して次の世代に伝えている。研修中の医学生と狩猟へ。シカを仕留めると地元の人から「ありがとう」とのねぎらいの声をもらう。
良雪さんが狩猟をはじめたのは、生きがいだった畑をイノシシに荒らされ、うつ病になった女性を助けるため。「目の前の1頭はかわいそうですけど、そうしないと人が住み続けられない」――女性を救うには医療ではなく、イノシシを倒すことだと考え、狩猟免許を取って仕留めた。「医療は手段であり最終的な目標は人間の幸福。手段はたくさんあっても悪くない」。
医師であるのに猟師として生きた命を殺すという、違和感。“生かすと殺す”の相反する命と向き合い気づいたのは、あまりにも今の世の中が「死」に対して“無関心”だということ。タブー視される死に、狩猟する医師が投げかける「生き方」の提案とは…。女優・夏木マリのナレーションで迫る。