待ち望まれていた両者の初のタイトル戦
藤井聡太棋聖に永瀬拓矢王座が挑戦する、第93期棋聖戦五番勝負第1局が、6月3日(金)に兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われます。開幕戦なので、藤井棋聖の振り歩先による振り駒が行われます。
前期の棋聖戦は藤井棋聖に渡辺明名人が挑戦、このカードは第91期に続く2期連続の対戦でしたが、藤井棋聖が3連勝で防衛し、渡辺名人のリベンジを退けました。そして91期、92期の挑戦者決定戦で敗れていたのが永瀬王座です。3度目の正直となった形で、藤井棋聖への挑戦権をつかみ取りました。永瀬王座が棋聖戦五番勝負に登場するのは第87期以来の2期目となります。
藤井棋聖は棋聖の他に竜王、王位、叡王、王将を合わせ持つ五冠です。当然多くのタイトル戦を指しているわけですが、永瀬王座とはこれまでタイトル戦での対戦がなく、今期のカードは両者のファンに待ち望まれていたカードと言えます。過去の対戦成績は藤井棋聖の7勝3敗で、またタイトル戦番勝負に次ぐ舞台とも言える各棋戦の挑戦者決定戦でも藤井棋聖の全勝(第91期棋聖戦、第61期王位戦、第34期竜王戦)ですが、直近の対戦では永瀬王座が2連勝中です。
本シリーズは相居飛車の戦いが多くなりそうですが、永瀬王座の裏芸には振り飛車もあります。対藤井戦では2局振った例があり、1勝1敗です。その1局である昨年の竜王戦挑戦者決定戦以降、永瀬王座は他の棋士との対戦を含めて飛車を振っていないのですが、今回のシリーズではどうでしょうか。振り飛車党を喜ばせるとっておきの順がみられるかもしれません。
第1局は藤井棋聖の先手となり、相掛かりに進みました。先手の藤井棋聖が角交換から角を手放して歩得を主張しました。対する永瀬王座は銀・桂を盛り上げて藤井棋聖が打った角を目標にするべく動いています。
ファンの待ち望んだ五番勝負は開幕戦から目を離せません。
相崎修司(将棋情報局)