日本語はちょっとした言い回しの違いで言葉の意味が変わってしまうことがあります。ビジネスシーンではささいな言葉の行き違いが大きなトラブルに発展する恐れもあるため、伝えたいことを正確に伝えられる正しい日本語の使い方をマスターしておきたいところ。

なかでも「てにをは」は誤用してしまいやすく、使い方を間違えることで言葉の意味が変わってしまうことが多いです。本記事では、「てにをは」の意味や、正しい使い方についてくわしくご紹介します。

  • 日本語における「てにをは」とは?

    「てにをは」を正しく使い分けるようにしましょう

「てにをは」とは? 助詞なの?

日本語で当たり前に使われている「てにをは」。日本語が母国語であれば、自然に使っているので意識したことがないという方も多いかもしれません。

しかし、「てにをは」は使い方を間違えると意味が変わってしまうこともあるため、コミュニケーションにおいて誤解を生まないように注意が必要です。

ここではまず「てにをは」についてくわしく解説します。

「てにをは」の意味

「てにをは」とは日本語特有の表現で、助詞・助動詞・接尾語などを含めた言葉の総称で、主に助詞・助動詞を指しますが、近年では特に助詞のことを指します。

「てにをは」そのものが意味を持つのではなく、文章や言葉に関係性を持たせたり、文章のなかでニュアンスを表現したりするために使われます。

また、助詞を指すことから転じて、言葉遣いや文章能力を指すこともあります。文章が整っておらず、わかりにくいことを「てにをはが合わない」というように表現します。

「てにをは」の使い方が難しい理由

前述の通り「てにをは」は日本語特有の表現で、しばしば「日本語が難しい理由」の一つとして挙げられます。例えば英語などにはそもそも格助詞が存在しないため、日本語を英訳する際に「てにをは」の扱いに困るというケースがあります。

「てにをは」の由来

「てにをは」の由来は「ヲコト点」にあるといわれています。「ヲコト点」は漢字の四隅や上下などにふられ、漢文を読む際に用いられていたものです。四隅に記されていたのが「て」「に」「を」「は」だったため、助詞を「てにをは」というようになりましたが、他の助詞の「が」や「も」なども「てにをは」に含まれます。

  • 日本語における「てにをは」とは?

    「てにをは」の意味をしっかりと頭にいれておきましょう

「てにをは」の使い方を間違えるとどうなるの?

「てにをは」は使い分けが難しく、誤用してしまうことも少なくありません。さらに「てにをは」の1文字を間違えるだけで意味が変わってしまう場合もあります。ここでは「てにをは」を使用する際の注意点をご紹介します。

1文字でニュアンスが変わってしまうケース

1文字でニュアンスが変わってしまうケースについて、例文を挙げながらご紹介します。

・ビールでいいです

・ビールがいいです

飲み会などの席でよく使われる言葉です。ほぼ同じ表現ですが「で」を使うことによって妥協した上での選択、あるいは投げやりな選択をしているようなニュアンスになってしまいます。

一方で「が」を使うことによって自分の意思で選択したというニュアンスになるでしょう。相手によっては「で」を使うことによって失礼に感じられてしまう可能性があるため注意が必要です。

1文字で意味が変わってしまうケース

次に1文字で意味が変わってしまうケースについて、例文を挙げながらご紹介します。

・コーヒーはいいです

・コーヒーがいいです

「は」と「が」を置き換えると、意味が変わってしまうことがあります。「は」と表現することで「コーヒーは結構です」「コーヒーは要らないです」といった意味に受け取ることができます。

一方で「コーヒーがいいです」と表現すると、「コーヒーをください」という意味に受け取れますよね。

このように「てにをは」が変わることで、ニュアンスのみでなく反対の意味になってしまう場合もあるため注意が必要です。

誤用しないためにそれぞれの意味を理解する

「てにをは」を使用する際にはそれぞれの文字がどのように言葉をつなげるのかを正しく理解することが大切です。

前後の言葉で意味合いやニュアンスが変わってしまうため、それぞれのシーンで適切に使い分ける必要があります。より正しく使い分けができるようになるためには、さまざまな人とコミュニケーションを取ったり本などを読んでインプットしたりすることが大切です。

  • 「てにをは」を使用する際の注意点

    正しく言葉を使い分けるにはインプットが重要です

「てにをは」の使い方を例文で解説

「てにをは」を正しく使いこなせるようになるためにはできるだけ多くの表現をインプットすることが大切です。ここからはより具体的に「てにをは」の使い方、使い分けを例文とともにご紹介します。

【てにをはの使い方】「は」と「が」の使い分け

「は」と「が」は近い意味合いで使われることが多いため、使い分けが難しいものの一つです。それでは例文を挙げながら使い分けの方法をご紹介します。

・チョコレートは甘いです

・チョコレートが甘いです

一見すると同じような意味の文章だと思えるかもしれません。文章の内容としては「チョコレート=甘い」ということをどちらも表しています。

しかし、「は」と表現することで「他のものと比較してチョコレートは甘い」と客観的に述べているようなニュアンスになる可能性があります。一方で「が」と表現することによって、「チョコレート」という主語を強調しているように受け取れます。

【てにをはの使い方】「に」と「を」の使い分け

「に」と「を」も近い意味合いで使われることが多いため、使い分けが難しい表現にあたります。それでは具体的に例文を挙げながら使い分けの方法をご紹介します。

・栃木に訪れる

・栃木を訪れる

どちらの表現もその場所に行ったという意味の文章です。しかし「に」を使う場合、単純にその場所に行った、偶然そこにたどり着いたというニュアンスで受け取れます。それに対して「を」を使うことによってその場所を目指してたどり着いたといったニュアンスになります。

細かいニュアンスの違いであり、どちらを使ったからといって間違いというわけではありません。しかし、より目的意識を持ってその場を訪れた、選んだといったニュアンスを強く表現したいのであれば「を」を選ぶようにしましょう。

【てにをはの使い方】「で」と「を」の使い分け

「で」と「を」はビジネスシーンでも使われることの多い表現で、しっかりと使い分けたい言葉です。こちらも具体例とともに使い分けの方法をご紹介します。

・紅茶でお願いします

・紅茶をお願いします

一見すると「で」の方が丁寧な表現のように思われるかもしれません。しかし「で」を使うことによって、「他の選択肢でもよかったけれど紅茶でいい」というニュアンスで受け取られる可能性があります。

相手によっては失礼な表現に感じられる可能性があるため、ビジネスシーンなどでは「を」を使うのがおすすめです。

  • 「てにをは」の正しい使い方を例文で

    例文とともに正しい使い方を身につけましょう

「てにをは」を正しく使いこなして円滑なコミュニケーションを

「てにをは」は日常会話も当たり前に使われている表現の一つです。それだけに意味や使い方をしっかり考えたことがないという方も多いでしょう。しかし、使い方を間違えると、ニュアンスや意味が変わってしまう可能性があります。

今回は「てにをは」の使い分け方を例文付きでご紹介しました。毎日のように使う表現なのでしっかりと意識して使い分けるようにしましょう。