この1年間に発売されたカメラや交換レンズのなかから優れた製品を選ぶ「カメラグランプリ2022」の贈呈式が、「写真の日」にあたる6月1日に開かれました。2019年以来3年ぶりの開催となる贈呈式には、大賞をはじめとする賞を受賞したメーカーの開発担当者らが出席し、受賞の喜びを語りました。
今回、大賞とあなたが選ぶベストカメラ賞のダブル受賞に輝いたのが、ニコンのフルサイズミラーレス「Z 9」。開発を担当したニコンの大石啓二氏は「Z 9は、単にカタログスペックを高めるのではなく、ユーザーの使い方に思いを馳せて開発したカメラです。開発の途中、このレベルまでできればいいかと妥協することなく、内容によっては思い切ってやり直すこともありました。4月に公開した新しいファームウエアでプリキャプチャなどの新機能を追加したことからもお分かりの通り、ニコン自身も製品を出して終わりとは考えていません。カメラマンやユーザーの方から指摘された内容を参考に、今後もユーザーと一緒にZ 9を育てていきます」と語りました。
ニコンの村上直之氏は、「Z 9はフィルム一眼レフやデジタル一眼レフの一ケタ型番の高性能モデルを使ってきた人も満足できるように仕上げました。特にこだわったのがファインダーの視認性で、センサーが捉えたデータをライブビュー用と記録用の2系統に分けて同時に処理するデュアルストリームの技術を搭載したことで実現できました。感性に訴えるカメラになったのではないかと思います」と語ります。
レンズ賞に輝いたのが、ソニーのEマウントレンズ「FE 50mm F1.2 GM」。ソニーの岸政典氏は「この4年間でレンズ賞を3度も受賞できました。F1.2の大口径だとAFが遅くなりやすいのですが、このレンズはスムーズで静かなAFに仕上げています。AFだけでなく、MFの使いやすさも重視して設計しました。小型軽量の設計と合わせ、新しい撮影体験を提供できると思っています」と語ります。
カメラ記者クラブ賞【技術賞】に輝いたのが、キヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R3」。キヤノンの浄見哲士氏は「スポーツなどの厳しい環境でも新たな可能性を提供するカメラとして、プロのみなさんに評価していただけたのがうれしいです。1992年に投入したEOS 5以来となる視線入力AFを搭載しただけでなく、さまざまな新しい機能や装備を盛り込みました。商品の供給でお待たせしている状況が長く続いているのが心苦しいのですが、一刻も早くお届けすべくキヤノンも一丸となって頑張っています」と語りました。
カメラ記者クラブ賞【企画賞】 に輝いたのが、ニコンのAPS-Cミラーレス「Z fc」。ニコンの大石啓二氏は「大賞を受賞したZ 9も振り切った商品として企画しましたが、Z fcも別のベクトルで振り切ったカメラです。フィルム一眼レフカメラをオマージュしたスタイルは、FM2を知る人だけでなく、若年層にも支持されています。撮影はしないけれどZ fcを持ち歩いている、という想定外の使い方をしている方もいらっしゃるそうです。ダイヤルを回して設定し、ファインダーを覗いて撮影する、というスマホにはない撮影を多くの人に体験してもらえたらと思います。今後も、まだデジタル一眼の世界に入っていない人を楽しませる工夫を盛り込んでいきます」と語りました。