日本市場で今年3機種目の新製品となる「Redmi Note 11 Pro 5G」とあわせて、日本のユーザーと一緒に製品開発に取り組む「Xiaomiモノづくり研究所」の発足を発表したシャオミ。Twitterで告知された募集には1日で500件を超える応募があったという。なぜシャオミは後発ながらその端末がキャリアに採用され、日本のユーザーから熱い支持を集めることができたのか。シャオミ東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏とシャオミ・ジャパンでプロダクトプランニング本部長を務める安達晃彦氏に話を聞いた。
――「Redmi Note 11 Pro 5G」は、シャオミにとってどのような位置づけの製品なのでしょうか。
ワン 「Redmi Note 11 Pro 5G」はFelica(おサイフケータイ)だけでなく、5GやeSIMにも対応しています。日本ではすでにこれらの機能が、スマートフォンの必須要件となってきているからです。我々はこのような日本向けの製品に求められる機能を、すでにグローバルのポートフォリオにも組み込んでいます。「Redmi Note 11 Pro 5G」は、その最初の製品のひとつになります。
安達 我々が「Redmi Note」シリーズで追求しているのは、「フラッグシップ級の満足感」です。「Redmi Note 11 Pro 5G」では、その考え方がガラス製の背面の質感や金属フレームの光沢感など、デザインの細部にまで落とし込まれています。カメラは上位モデルである「Xiaomi 11T Pro」と同じ108メガピクセルで、ディスプレイはOLED。さらにステレオスピーカー搭載など、大画面でエンターテインメントをお楽しみいただくのに最適な製品で、5Gとも相性が良い。67WのACアダプターが同梱されていて、急速充電にも対応しています。これはユーザーにとって特に、ベネフィットの高い機能となっています。
――今回の「Redmi Note 11 Pro 5G」は楽天モバイルでも販売されますが、採用された理由を教えてください。
ワン 理由はぜひ先方に聞いていただきたいですが、ミッドレンジにおいてベストなユーザー体験を提供できる、高品質でコストパフォーマンスに優れた製品だと自負しています。また、おかげさまで「Redmi Note」シリーズは、日本市場で非常に好調です。Amazonの販売ランキングのほか、MVNOの販売数でも1位になっていますし、BCNランキングでも上位に入っています。ここまで日本市場でしっかり基礎固めをしてきたことも、評価されたのではないかと思います。
また楽天モバイルさんと我々には、共通点も多い。どちらも後発で市場に参入した新参者で、低コストで一番良いものを提供したいという目標を持っています。実はこれまでにもユーザーから、楽天モバイルのネットワークに対応してほしいという声が多く寄せられていました。そうした背景もあって、今回このようなパートナーシップが実現したと考えています。
――シャオミは最後発ながら、かなり早いスピードで日本市場に受け入れられていますよね。その理由をどう考分析していますか。
ワン 日本市場でビジネスを展開するには、日本のユーザーの目線に立ったものづくりが欠かせません。当初からそうわかっていたので、Felicaと防水・防塵にはかなり早い段階から取り組んできました。当時私自身は海外にいて、なかなか日本に来られなかったのですが、こうした取り組みが市場でポジティブな評価をいただき、手応えを感じることができました。
さらに次のステップとして、日本の消費者やシャオミのファンの方々がどういった製品を欲しているのか、もうちょっと踏み込んで意見を聞き、研究したいと思っています。そこで今回新たに「Xiaomiモノづくり研究所」を発足させました。これはファンとの交流を深め、今後の製品開発に活かしていく取り組みです。
安達 実はTwitterで研究員募集を告知してから、24時間経たないうちに500件を超える応募をいただきました。申請時にアンケートに記入いただいているのですが、みなさん熱い思いを持って応募いただいていて、とてもうれしく思っています。
――シャオミがユーザーの声を聞くことにこだわるのはなぜですか?
ワン 消費者との間にできるだけ距離をなくしたい……このことはシャオミのDNAに刻まれています。なぜなら我々もみなさんと同じようにITの技術が好きで、ガジェットが大好きだからです。すでにSNSを通して気軽にコミュニケーションがとれるようになっていますが、もっと近いところでひとりひとりの声を聞きながら、製品開発を進めたいと考えています。
たとえばFelicaにしても、必要だという人もいればそうでない人もいます。実際に使っているのは、スマートフォンユーザーの30%程度とするデータもあります。実は私自身、駅に出向いてリサーチをしたことがあるのですが、そのときも利用率は高くありませんでした。この機能が必要な人がいる一方で、機能を削ってもっと安くしてほしいというコストセンシティブな人もいる。バランスをとるためには、両方のニーズに応えていかなければなりません。
これはほんの一例ですが、特に日本ではカスタマイズが必要な要素が多いので、今後どんな機能を取り入れて、どんな機能を省くのか、機種ごとに細かく研究や検討を重ねながら決めていく必要があります。そのために日本のファンの方々の意見を聞かせてほしい。そう考えて「Xiaomiモノづくり研究所」を発足させました。
――「Xiaomiモノづくり研究所」ではどのような活動を予定しているのですか。
ワン アンケート調査のような量的なアプローチと、実際に顔をあわせて意見を交換するような質的なアプローチ。通常の研究開発のプロセスと同じように、両方のアプローチが必要になってくると思います。オンラインでのコミュニケーションだけでなく、ひとりひとりの意見をしっかりが伺える、オフラインのイベントなども開催してきます。
スマートフォンに詳しく、スマートフォンを使いこなしているファンの方々からいただくフィードバックや意見・感想は、我々のモノづくりにとって非常に価値の高いもの。また熱心なファンの方々にフィールドテストやベータテストを協力してもらうことができれば、それだけより良い製品にすることができます。両方の面でぜひ、「Xiaomiモノづくり研究所」に参加いただければと思います。
――熱心なファンの中にはハイエンドモデルを求める人も多いと思います。一方で、今国内の主戦場はミッドレンジに移っていると思うのですが、今後のラインナップはどうなっていくのでしょうか。
ワン まず、ハイエンドモデルが注目されるのは、ハイエンドなチップセットが搭載されているからではありません。ディスプレイやカメラ、バッテリーなどに、最新の技術が使われているからです。たとえば「Redmi Note 11 Pro 5G」はミッドレンジモデルですが、67Wの急速充電という新しいテクノロジーを採用しています。
今後ももちろん、ハイエンドモデルは作り続けていきますが、その際に重要なのはチップセットではなく、最新の技術で新しいユーザー体験を提供することです。またハイエンドモデルであっても、ユーザーに負担を強いることがないように、グローバルなサプライチェーンの強味を活かして、しっかりとコストダウンをはかっていきます。
日本市場は今、確かにハイエンドからミッドレンジ中心へと変わってきています。しかし今までハイエンドモデルを使っていたユーザーは、やはりハイエンドならではのユーザー体験を重要視していたり、楽しみにしていると思います。我々はハイエンドモデルではもちろん、ミッドレンジでもハイエンド並みのユーザー体験を提供していく。ファンの方々の協力をいただきながら、そのための努力を続けていきます。