JR東海は、2023~2026年度にかけて19編成のN700Sを東海道新幹線に追加投入すると発表した。新たに投入するN700Sでは、車いす利用者の利便性向上や新幹線車両のアルミ部材のリサイクルによる環境負荷低減を実現している。追加投入は2023年に2編成、2024年に7編成、2025年に7編成、2026年に3編成を計画している
N700Sのおもな特徴として、地震時のブレーキ距離短縮、状態監視機能を強化した安全性・安定性の向上、バッテリ自走システムの搭載・防犯カメラの増設・客室通話の機能強化といった異常時対応力の強化、フルアクティブ制振制御装置による乗り心地向上、コンセント全席設置による快適性・利便性の向上、N700Aタイプと比較して消費電力を7%削減した環境負荷の低減、7・8号車への「S Wi-Fi for BIZ」導入によるビジネス環境の整備が挙げられる。
新たに導入されるN700Sでは、車いす利用者の利便性向上として、車いすスペースのコンセントの位置を利用しやすい高さに変更したほか、車いす利用者が多目的室に乗車した際、車いすのままでも景色を楽しめるように、窓の位置を変更している。
また、アルミ部材のリサイクルによる環境負荷低減として、廃車となる新幹線車両の車体に使用されたアルミ部材をリサイクルし、N700Sの内装部品の一部に使用している。
これに加え、アルミの選別工程を確立することによって、強度が求められる新製車両の車体材料として使用するための信頼性・品質を確保。これにより、新幹線で初めて車体の一部に再生アルミ部材を使用することが可能となった。再生部材の使用により、車体に使用するアルミを製造する際のCO2排出量を約2%、1編成あたり50トン削減するという。今後は新幹線車両におけるアルミ部材のリサイクルをさらに推進し、適用範囲を広げるなど、さらなる環境負荷の低減に取り組んでいく。