みなさんきっと一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。フェルメールの代表作「牛乳を注ぐ女」。その絵の中にグイグイと踏み込んでいった人物がいます。メディアアーティストの坪倉輝明さんです。坪倉さんが見た「牛乳を注ぐ女」の裏世界とは?

1枚の絵からBlenderで3Dモデル起こすの、まぁまぁ上手く行った。見えてない裏側を作る必要があるのでテクスチャが一番面倒だった。

  • (Twitter 坪倉輝明@メディアアーティスト@kohack_vより引用)

手前のバケットも、そこに盛られたパンも、その先の置かれた青い容器も3D映像として再現されています。まるで透明人間になって、17世紀オランダの厨房に踏み込んだような感覚です。そして「女」の背後に回ろうとすると…。

「これは、すごい」「オチのセンスがめちゃめちゃ好きです!」「スゲー(°Д° ) と思って観てたら、人間が…」「オチがあるとは思いませんでした」「最後ずるいwww」「途中まですげぇ~と思いながら見てたら女性が…」などなど。とりあえず動画のラストはみなさん自身で見ていただくとして、作者である坪倉輝明さんに制作動機などを伺いましたのでどうぞ。

■制作者さんに聞く

……なぜフェルメールの絵を3D化してみようと考えましたか

普段から美術館での作品展示を行っていますので、来場者の方が世界の名画の中に入って自由に写真撮影ができる作品を展示したいと思い3Dモデルの制作を進めていました。フェルメールの絵を選んだ理由は、日本で有名であること、メインの人物が居ること、写実的でパースがある程度正しく3D化しやすいこと、触れる位置に複数のオブジェクトがあり作品に動きが出しやすいことなど、複数の好条件が整っているので選びました。

……実際に3D化してみて感じた面白さと難しさは?

描かれていない物の後ろ側や立体的な形や位置関係などは想像で作るしかないのが大変だったのと、人や物の裏の描かれていない背景も無理やり作る必要があったので大変でした。また絵なので一部パースが正しくなく元絵と完全に一致させるのが難しい箇所もありました。

……今後3D化してみたいテーマは?

もともと他の名画のバージョンも制作する予定でしたので、今はレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」も制作を進めています。他にもいくつか候補はありますが、牛乳を注ぐ女ほど条件が揃っている絵画はなかなか見つからないです。

美術館の観客を名画の中に誘い込みたかったと語る坪倉さん。実は本作のほかに、ご自身が「牛乳を注ぐ女」の絵の中に乱入して大暴れしている作品も。必見です!

▼俺が牛乳を注ぐ女だ。

▼1枚の絵からBlenderで3Dモデル起こすの、まぁまぁ上手く行った。見えてない裏側を作る必要があるのでテクスチャが一番面倒だった。