普段何気なく使っている言葉でも、正しい使い方や例文がさっと出てこないと、ビジネスや目上の方とのやりとりに困ることがあるかもしれません。この記事では「必須」について言葉の意味や使い方について紹介します。必至との違いや、必要、不可欠などの類語について正しく知りたい場合にも参考にしてください。

  • 必須の言葉の意味や使い方を例文とともに解説します

    必須の言葉の意味や使い方を例文とともに解説します

必須とは

まず必須の言葉の意味を正しく押さえましょう。

必須の読み方

必須は「ひっす」と読まれることが多いですが、「ひっしゅ」「ひっすう」と読まれることもあります。

必須の意味

必須とは、「なくてはならない」「絶対に必要なこと」という意味の言葉です。必須の「必」の字は「必ず」、つまり「決まって例外がないこと、間違いなく」という意味を表しています。必須の「須」の字は「すべからく~べし」という義務や命令の意味で使われます。二つを合わせた「必須」は必要であることを強調するニュアンスが含まれているのです。

  • 必須は絶対に必要な場合に使う表現です

    必須は絶対に必要な場合に使う表現です

必須の使い方

「必須」の品詞は、名詞、形容動詞です。他の名詞と組み合わせる方法に加えて、「必須だ」「必須な」「必須に」などと使う場合もあります。以下では必須の例文についてご紹介します。

例文

・本求人への応募は、営業職としての3年以上の経験が必須条件です
・会員登録フォームに必須項目を入力して申し込む
・この学校における受験の必須科目は国語と算数だ
・暑い時期には、エアコンや扇風機が必須だ
・テントはキャンプに行く場合に必須なアイテムです
・健康維持には規則正しい食生活が必須になります

必至との違い

必至(ひっし)とは、「必ずそうなること、必然」という意味です。「至(いた)る」には「ある場所や段階に行きつく」という意味があります。

・この状況では不合格が必至だ
・改革が必至の情勢だ

必須が「絶対にそうしなければならない」という条件を表すのに対し、必至は「そうなるだろう」という予想を表しています。響きは似ていますが、別の意味です。

  • 例文などを参考に、必須の使い方を覚えましょう

    例文などを参考に、必須の使い方を覚えましょう

必須の類語や言い換え表現

必須には似た意味の言葉もあります。別の表現がふさわしいのかどうかを判断するためにも、必須の類語を例文と合わせて見ておきましょう。

必要

必要(ひつよう)とは、「なくてはならないこと」「どうしても要ること」という意味です。文字通り「必ず要る」という場合に使われます。なお「必要」の対義語は「不要」です。

・旅行に必要なものを買いそろえる
・問題について話し合う必要がある

必須と必要は非常に似た意味の言葉ではありますが、必須の方がより「絶対に、必ず」という点を強調しているといえるでしょう。

所要

所要(しょよう)とは、「あることをするのに必要なこと・もの」という意味です。

・目的地までの所要時間は約30分です
・所要の手続きを行った

なお、同音異義語である「所用」は、外出など何かの行動をするための「用事」という意味がある別の言葉のため、誤記に注意が必要です。

不可欠

不可欠(ふかけつ)とは、「欠くこと(足りない状態)ができないこと」「どうしてもなくてはならないこと」という意味です。「欠く(かく)」とは「(必要なものを)持たない」などの意味があるため、必要なものを持たないという状況が「不可」であるという意味が含まれます。

・勝負に勝つには人一倍の努力が不可欠だ
・○○は交渉において不可欠な条件だ

必需

必需(ひつじゅ)とは、「どうしても必要なものやこと」「なくてはならないこと」という意味です。なお「需」には「求める」「必要とする」という意味があります。

・スマートフォンはもはや生活の必需品だ

重要

重要(じゅうよう)とは、「非常に大切なこと」「特に大事なこと」という意味です。

「重」の字には、「重い」という意味のほかに「大切な」など複数の意味があり、特別なものであることが強調されています。

・会社の重要な地位に就く
・重要な書類を置き忘れた

  • 必須の類語からそれぞれの意味の違いを押さえましょう

    必須の類語からそれぞれの意味の違いを押さえましょう

必須の対義語

ここでは必須とは反対の意味を持つ言葉について紹介します。

不要

不要(ふよう)とは、「いらないこと」「今のところ必要がないこと」という意味があります。必要の対義語のため、対応や持ち物の説明などでよく使われます。

・不要不急の行動は慎むべきだ
・今日はいい天気なので傘は不要だ

任意

任意(にんい)とは、「思うまま、つまりその人の意思や判断に任せる」という意味です。

・本説明会への参加は任意です
・この中から任意に一つをお選びください

随意

随意(ずいい)とは、「思いのまま」「自由」という意味です。気ままで勝手な状態であり、制限がないことを示す場合に使われます。

・随意の題で作文を書く

  • 必須とは逆の意味を持つ言葉から、必須の意味の理解を深めましょう

    必須とは逆の意味を持つ言葉から、必須の意味の理解を深めましょう

必須の英語表現

ここでは必須の英語表現を例文とともにご紹介します。

required

requiredとは、「~を必要とする」という意味の「require」の過去分詞であり、「必修の」「必須の」という意味の言葉です。

・Username is required.
(ユーザー名は必須です)
・These are required items.
(これらは必須の項目です)

necessary

necessaryとは、「必要な」「なくてはならない」という意味の単語です。

・Food is necessary for life.
(食べ物は生活に必要です)
・It is necessary immediately.
(大至急、必要です)

must

mustはさまざまな意味がある単語です。必須にあたる意味では、「~しなければならない」「~すべきである」などと訳されます。

・You must bring your photo ID to take the exam.
(試験を受けるには、写真付き身分証明書を持参する必要があります)

essential

essentialとは、「(~にとって)不可欠の」という意味の単語です。

・Problem-solving skills are essential for business people.
(問題解決スキルは、ビジネスパーソンにとって不可欠です)

なお最近よく見聞きする言葉としてessential worker(エッセンシャルワーカー)があります。このエッセンシャルワーカーとは、社会インフラの維持に必要不可欠な職種の人たちを意味する言葉です。医療従事者や介護・福祉の分野で働く人たちの他、配送ドライバーや公共交通機関の職員、公務員、食料品店の店員などもエッセンシャルワーカーとされることが多いようです。

mandatory

mandatoryとは、「命令の」「義務的な」「必須の」という意味の単語です。「a mandatory clause(必須条項)」などのように少し硬い表現で用いられることもあります。

・Bringing a dictionary is mandatory.
(辞書の持参が必須です)

  • 必須を英訳する機会がある方はぜひ押さえておきましょう

    必須を英訳する機会がある方はぜひ押さえておきましょう

必須の意味を理解し、状況に応じ使い分けよう

必須には「絶対に必要」という意味があるため、任意でもよい場合に使うのは誤りです。必須の読み方や意味に加えて、類語や対義語、英語表現を押さえることで、正しい表現を使い分けましょう。