JR東日本は27日、砕石輸送用電気式気動車GV-E197系、事業用交直流電車E493系の量産先行車を報道関係者らに公開した。両形式とも2021年に新造された量産先行車に続き、量産車を新造して2023年度から順次、運用開始する予定となっている。
電気式気動車GV-E197系は、砕石輸送や砕石散布作業用での使用に加え、非電化区間における車両の入換作業や回送車両等の牽引用としても使用される。GV-E197形(牽引車)2両、GV-E196形(ホッパ車)4両からなる6両編成で、量産先行車は高崎エリアで先行投入された。GV-E197形の車体寸法は全長21.6m、全幅2.8m、全高3.41m。GV-E196形の車体寸法は全長15.7m、全幅2.7m、全高2.90m。従来の機関車・砕石用貨車の最高運転速度は75km/hだったが、GV-E197系の最高運転速度は100km/hに向上している。
気動車方式の採用により、電化区間・非電化区間を問わず走行可能。機関車・貨車からの置換えによる効果として、GV-E197系は編成の両端に運転台を有するため、方向転換時に機関車の付替え作業が不要となり、安全性の向上と効率的な砕石輸送が可能になること、駆動システムと操縦方法を電車・気動車と統一することにより、機関車固有の操縦方法が不要になることを挙げている。機関車の場合、複数のハンドル操作が必要で操縦に熟練を要したが、GV-E197系はひとつのハンドルで加速・ブレーキの操作を可能にするなど、操縦の簡素化を実現している。
腐食に強いステンレス製の車体に加え、GV-E197形(牽引車)においてシンプルな構造であるボルスタレス台車を採用。従来の機関車と比べて台車の部品点数が大幅に削減され、製造費の低減と保守の簡略化、台車の軽量化も実現している。駆動システムの省メンテナンス化も図り、主変換装置に半導体を使用。電車と同様のシステムで動力を伝達する。VVVFインバータや誘導電動機の採用に加え、変速機や推進軸といった機械部品の使用も大幅に削減したという。
報道公開では、GV-E197系とE493系の量産先行車が並ぶ中、JR東日本運輸車両部車両技術センター所長の菊地隆寛氏が、「GV-E197系・E493系を導入し、これまで砕石輸送や回送車両の牽引などに使ってきた機関車を置き換えることとしました」と挨拶。「今回は量産先行車をご覧いただきましたが、量産にあたっては量産先行車のフィードバックを行い、若干の改良を加えることになります。ただ、基本的には量産先行車の性能を確認できたため、大きく変えることなく量産車を投入していくと思います」と述べた。
GV-E197系は今後、量産車として砕石を搭載する車両(ホッパ車)を含む6両編成を6編成、牽引用の車両を2両新造する予定。量産先行車と同様、ぐんま車両センターに配置する計画となっている。なお、量産車は量産先行車の仕様を踏襲しつつ、コストダウンが図られる。量産車の登場後、量産先行車も量産車に合わせた仕様変更を行う予定だが、具体的な変更内容等は検討中とのことだった。