十五世名人出生の地で、十七世名人が立ち会う
渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する、第80期名人戦七番勝負(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)の第5局が5月28・29日(土・日)に岡山県倉敷市の「倉敷市芸文館」で行われます。手番は事前に決まっており、渡辺名人の先手です。
今期の名人戦はここまで渡辺名人の3勝1敗で、戦型は第1局から矢倉、角換わり、角換わり、相掛かりというものでした。斎藤八段が挙げた1勝は角換わりとなった第3局ですが、この将棋も中盤まで渡辺名人が優位に進めていた中、渡辺名人に一失がありそこを鋭く突いた斎藤八段が逆転勝利を収めたという内容で、シリーズを通して渡辺名人の円熟した戦いぶりが光る内容になっています。渡辺名人は本局を勝ち、防衛となれば名人戦3連覇を達成します。
対して苦しい星の斎藤八段、過去の名人戦で1勝3敗から大逆転を果たしたのは1例のみです。第50期の中原誠名人―高橋道雄挑戦者のシリーズで、追い込まれてから底力を見せた中原名人が通算15期目となる名人防衛を果たしました。
対局場のある倉敷市は大山康晴十五世名人の出身地で、また本局の立会人を務めるのは先日に永世名人を襲位した谷川浩司十七世名人です。2名の永世名人が見守る中、どのような勝負が繰り広げられるでしょうか。注目です。
相崎修司(将棋情報局)