日本で売られるスマートフォンは、ドコモなどのキャリアが販売する「キャリアモデル」と、家電量販店などで販売される「オープンマーケットモデル」に二分されています。オープンマーケットモデルはSIMフリーモデルとも呼ばれますが、今はキャリアが販売するスマートフォンもSIMフリーなので、最近はオープンマーケットという言い方もするようです。なおMVNOキャリアは両方を扱うケースもあります。

オープンマーケットモデルはシャオミやOPPOなどから多数の製品が販売されています。ソニーのXperiaも一部モデルはオープンマーケットで購入可能です。サムスンのGalaxyシリーズはこれまで大手キャリア、MVNOキャリアから販売されるキャリアモデルばかりでしたが、2022年4月に、契約不要で自由に購入できるオープンマーケットモデルとして「Galaxy M23 5G」が発売になったのです。

  • サムスンの実質的に日本初となるオープンマーケットモデル「Galaxy M23 5G」

    サムスンとしては実質的に日本初となるオープンマーケットモデル「Galaxy M23 5G」

Galaxyシリーズはカメラのすごいハイエンドモデルから、MVNOで手軽に買えるエントリーモデルまで様々な製品がラインナップされています。ではGalaxy初のオープンマーケットモデルとなったGalaxy M23 5Gはどのレベルの実力なのでしょうか? 実際に購入して使ってみました。

Galaxy M23 5Gの本体カラーはディープグリーンとライトブルーの2色。販売はAmazon.co.jpや家電量販店のオンラインストアと、Galaxyのショールームである東京・原宿の「Galaxy Harajuku」店舗(地下1階)で行われていて、価格は約4万円です。スペックはいわゆるミドルレンジで、チップセットはSnapdragon 750G 5G、メモリ6GB、ストレージ128GB(microSDカード対応)。ディスプレイは6.6インチでフルHD+、リフレッシュレートはiPhone 13 Proと同じ120Hzと、意外と高性能。フロントカメラは800万画素を内蔵しています。

  • ミドルレンジながら120Hzの高速駆動ディスプレイを搭載

5G通信に対応しており、国内キャリアのSIMを入れてすぐに使うことができます(もちろん海外で海外キャリアのSIMで使うことも可能)。5Gエリアで電波状況が良ければ1Gbps=ギガビットの超高速通信も可能です。

  • 5Gを掴めばギガビット通信も可能だ

5G NRの対応周波数はn77とn78の2バンド。4G LTEはB1、B2、B3、B4、B5、B8、B12、B17、B18、B19、B26、B28、B38、B40、B41、B42に対応します。SIMトレイはnanoSIMカード2枚とmicroSDカード1枚を同時に利用可能です。

  • 3つのカードが同時利用可能な便利なSIMトレイ

本体サイズは165.5x77x8.4mmで重さは198g。画面の大きさを考えると妥当なところでしょう。ディスプレイはフラットな形状で側面に指が当たることもなく持ちやすく、背面のマット処理も落ち着いた印象を受けます。ミドルレンジモデルですがSNSの利用やブラウザを起動しての検索やショッピングなど、普通に使っていて速度や反応に不満はありません。

  • 本体の質感は悪くない。動作も遅くなく普通に使うことができる

カメラ周りは主張を抑えて画素数などの表記もなく、本体と台座のつながりもなめらかな曲線になっています。カメラをあえて目立たせないというデザインは悪くないでしょう。

  • カメラ部分のデザインは目立たない

さてカメラはメインの広角が5,000万画素と十分すぎる性能です。この他に800万画素の超広角、200万画素のマクロを搭載。動画は2Kまでの撮影に対応、また手振れ補正も搭載しています。ナイトモードもあり日常のシーンを撮影するのにGalaxy M23 5Gのカメラで困ることはあまりないでしょう。

  • 5,000万画素を含むトリプルカメラを搭載

カメラのユーザーインターフェースは、撮影モードが「ファン」「ポートレート」「写真」「動画」「その他」と並びます。ファンはSnapchatと提携しており、顔に眼鏡をかけたり全体にハートをちりばめるなど、凝ったエフェクトの撮影が可能です。ポートレートはボケと美顔撮影が可能。写真ではデジタルで最大10倍の撮影が可能。その他からはいちどの撮影で静止画やショート動画を撮れる「シングルテイク」、マニュアル撮影の「プロ」、夜景用の「ナイト」そしてマクロカメラへの切り替えの「マクロ」などが選べます。

  • カメラのUI。写真の倍率を押すと10倍まで選べる。その他に様々なモードがある。「ファン」からはエフェクトが楽しめる

実際にGalaxy M23 5Gで撮影を行ってみました。広角が0.5倍のため風景を撮影するときもワイドに撮ることが可能です(写真は1,200x900ピクセルに縮小)。

  • 標準の1倍で撮影

  • 0.5倍だとかなりワイドに撮れる

もっと寄りたいときはデジタル2倍や4倍でも画面で見る分には十分いけます。10倍は粗さが出てくるので、記録を残したいとき用にしたほうがいいかもしれません。

  • 2倍で撮影するとだいぶ寄れる

  • 4倍でもスマホ画面なら十分な印象

普段よく使う食事の撮影はどうでしょうか。標準のカメラでは近寄れるのは5センチくらいまで。食事そのものを撮るなら十分でしょう。作例のような「もっと近寄りたい」というときはマクロに切り替え、3センチ程度まで寄れます。ただしマクロは画素数が低いため暗くなりがちなので、両者を使い分けると良さそうです。

  • 食事を撮影。標準ではこれくらいの距離で撮影できる

  • マクロならかなり寄れる

ナイトモードは綺麗に夜景を撮影できます。ライトの光っている部分や夜の空の暗さなど、標準撮影よりナイトモードにした方がよりしっかりと写してくれます。

  • ナイトモードで夜景も綺麗に撮れる

Galaxy M23 5Gは派手な機能はないものの、日常的に使う分には十分なスペックを持っています。「万人向け」という言葉が似合うスマートフォンかもしれません。そしてキャリアの店舗で契約をする必要もなく、買いたいと思った時にすぐ買えるのも大きな魅力です。今までキャリア販売のGalaxyミドルレンジモデルを使っていて、そろそろ買い替えようかという人には同じシリーズの製品ですので新たに覚える操作も少なくて済みます。またフィーチャーフォンからの乗り換えにも悪くないでしょう。Galaxy初のオープンマーケットモデルは、かなり使える実力派モデルと言えそうです。

  • 万人にお勧めできるバランスのいいスマートフォンだ