自転車の進化が止まらない。Eバイクやシェアリングサービスが普及し、デザイン的にバイクのようにカッコいい自転車も続々と登場。密も渋滞も避けられる移動手段として、最近は特に都市部での人気が高まっている。
そんな中、5月18日、19日の2日間にわたって、自転車や電動モビリティを活用した街づくりを考える「BICYCLE-E・MOBILITY CITY EXPO 2022」が東京ドームシティのプリズムホールで開催された。
会場には最新のEバイクから今後販売予定の未来の自転車までズラリと勢揃い。今回は、イベントの模様をハイライトでご紹介しよう。
「世界のカワサキ」、次の一手は「電動3輪ビークル」
会場には55の企業や団体が出展。自転車やEバイク、電動キックボードなどの「電動モビリティ」を活用した環境に優しい街づくりや、未来志向で安全な交通システムの構築を掲げ、最新モビリティに基づく新しいライフスタイルを来場者に向けて提案した。
どのブースも賑やかだが、バイクでよく知られる「カワサキ」のブースは特に多くの注目を集めていたようだ。
カワサキは同社の最新技術を詰め込んだ電動3輪ビークル「noslisu」を展示。電動アシスト自転車仕様とフル電動仕様の2種を披露した。
カワサキモータースの企画本部・今井雄一郎さんによると、「どちらも肝になるのは"前二輪"の構造です。三輪の安定性は限りなく活かしながら、操作性はあたかも普通の二輪と同じような乗り物を目指しました」とのこと。
「我々は車体と一体になって操作する喜びや、風を切る楽しみ、移動することで得られる人生の喜びを皆さまにお届けしたいと思っています。しかし、その感動をバイクユーザーにしか届けられないのはもったいない。じゃあ、普通自動車免許を持っている人にお届けできないか……ということで、このnoslisuを開発しました」
さらに、普通自動車免許を持っていない人でも乗れるよう、フル電動仕様だけでなく、電動アシスト自転車仕様も開発するに至ったのだという。
実際に会場で試乗してみると、これがまさに快適そのもの。
まずはこちらの電動アシスト自転車仕様の「noslisu」。前の二輪はサスペンション仕様になっているので、曲がるときも身体を倒すだけでちょうどいい具合にホイールが傾斜してバランスを取ってくれる。「操作性はあたかも普通の二輪と同じような乗り物を目指した」ということだが、まさにそのイメージどおり。
続いてフル電動仕様の「noslisu」。こちらは右手のハンドル付近にあるスロットルレバーでスピードを操作。足を動かす必要はないので、ちょっと不思議な感じというか、まさに新体験である。
電動アシスト自転車仕様車は航続可能距離が約50km、充電時間が約5時間。フル電動仕様車は航続可能距離が約65km、最大速度が時速40km弱、充電時間は約7時間となっているようだ(いずれも参考値)。
昨年行ったクラウドファンディングではそれぞれ50台が限定販売されたものの即完売。2023年春から一般販売を開始する予定だと言う。
コスパ最高のファットEバイクも発見!
会場内にはスタイリッシュな自転車もゴロゴロと並んでいた。例えばこちらは流行りのファットバイク仕様のEバイクである。
このEバイクは主に駐輪場の管理機器などを展開する「東海技研」の完全オリジナル。ルックスの良さもさることながら、驚くべきはそのコストパフォーマンスの高さだ。
東海技研管理本部の二瓶光邦さんは次のように説明する。
「ファットバイクタイプのEバイクは一般的に40万円前後から販売されています。しかし、この『FAT-E』は税抜価格で19万8,000円とかなり安く設定しています。この価格は、我々のオリジナルメイドであることや、利幅を調整することで実現できました。また、山でも使えないわけではありませんが、あくまで競技用ではないので、そういう部分でもコストを抑えられています」
FAT-Eは北海道や新潟県の一部の道の駅でレンタルすることもできるらしい。確かに、この極太タイヤであれば、雪上も走れるに違いない。一回の航続距離は100km、そしてなんとフル充電までわずか2時間という短時間であることも魅力的である。
ちなみに、俳優の哀川翔さんとのコラボモデルも発見!
このコラボモデルも実際に購入できるそうなので、ファンの皆さんはぜひチェックを。
イタリアの超オシャレEバイクにウットリ!
どれもこれも魅力的で目移りしてしまうが、やはり「イタ車」の美しさは自転車でも健在だった。
こちらはイタリアのバイクメーカー「ファンティック・モーター」が、最新技術と優れたデザインを融合させて作り上げたというEバイク、イッシモ。ヨーロッパではさっそく大人気となっているようで、本格的なアウトドア仕様にも耐えられるという。特に目を引くのが独特なフレームの形だろう。
輸入総代理店のモーターリストのセールス担当・加藤大智さん曰く、「このフレームはオリジナルの『アルミ・ダイキャストフレーム』と言って、デザインだけでなく、軽量化という意味もありますし、強度も高まっています」
ちなみに、このアルミ・ダイキャストフレームは世界的権威である「ユーロバイクアワード2019」を受賞。
また、別売りのフレームカバー(10色展開)を付けることで、見た目のアレンジも楽しめる。Eバイク自体は4時間の充電で100kmの航続距離を走るそうだ。
会場では他にも、makuakeの電動バイク分野で歴代最高応援金額を達成したという次世代型電動モビリティ「COSWHEEL」や、今ホットな電動キックボードなども多数展示されていた。
地球に優しく、免許不要のものが大半を占めるEバイクや電動モビリティの数々。自転車の購入や交換を考えている人は、ぜひ令和の最先端にある新技術に触れてみてほしい。きっと、これまでのライフスタイルをより一層豊かにしてくれるはずだ。