社会人にとって、必須のビジネスマナーである名刺交換。訪問先や会議などで初対面の人と名刺交換をする際、正しくできているのか不安になることもあるでしょう。
そこで今回は、名刺交換の順番や基本的なマナーについて詳しく解説します。また、名刺交換後の名刺の置き方や、訪問先で気をつけたい注意点などもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
名刺交換の基本
ビジネスシーンにおける名刺交換は初対面の挨拶であり、そこでその人の第一印象が形成されます。
まずは名刺交換の基本を知るためにも、名刺交換の役割や方法などを確認しておきましょう。
名刺交換の役割
氏名・社名・部署・肩書きなど、ビジネスの上で重要な情報が記載されている名刺。
名刺は持ち主の顔や分身、身分証明書ともいえるものであり、名刺を交換する行為はお互いの社会的信用を担保することにつながります。
また、「話をするきっかけが作れる」という意味でも名刺交換は重要です。挨拶の役割もある名刺交換を行うことで、相手と打ち解けやすくなりコミュニケーションが円滑になるでしょう。
その後の商談やミーティングをスムーズに進めるためにも、ビジネスにおいて名刺交換は大きな役割を持つと考えられます。
名刺交換のやり方
社会人にとって、大切なビジネスマナーの一つである名刺交換には、基本的なやり方や流れがあります。
名刺交換をする際は、まず名刺をすぐに取り出せるように準備しておき、相手の姿が見えたら立った状態で名刺を手に持ちます。この時、名刺は名刺入れの上にのせておきましょう。
その後相手に名刺を差し出すタイミングで、前傾姿勢になりながら相手の目を見て、社名や所属、自分の氏名(フルネーム)などを伝えます。
相手から名刺を受け取る際は、「頂戴いたします」と言いながら両手で丁寧に受け取ります。名刺を受け取ったら必ず氏名の読み方を復唱して確認しましょう。
以上が名刺交換の基本的なやり方です。
名刺交換の順番やマナーとは?
基本の名刺交換のやり方は、慣れてしまえばそこまで難しくはありません。
しかし、相手と自分の立場の関係や同時に名刺交換する人数などによって名刺交換のマナーや順番は変わるため、状況によっては難しく感じる人もいるでしょう。
そこでここからは、さまざまなケースにおける名刺交換の順番やマナーに関して解説していきます。
訪問した側から先に渡す
名刺交換をする時に覚えておきたいことの一つに、「立場が下の人から先に渡す」というルールがあります。
例えば取引先を訪問している時など、自分が仕事をもらう側や依頼を受ける側である場合は、お金を支払うのは相手です。つまり、お金を出す側(発注側)である相手が上の立場、お金をもらう側(受注側)である自分が下の立場ということになります。よって、自分が先に名刺を渡す必要があることを理解しておきましょう。
複数人の場合は上司から先に交換する
名刺交換をする際に複数人で行うことは珍しくはありませんが、その場合は役職の序列を意識しておく必要があります。
複数人の場合は基本的に上役から交換していくため、例えば自分と上司で相手先を訪問した場合は、上司から名刺交換することを覚えておきましょう。相手先にも上司と部下がいる場合は、下記のような順番で名刺交換を行います。
- 自分の上司と相手先の上司
- 自分の上司と相手先の部下
- 自分と相手先の上司
- 自分と相手先の部下
同時交換の場合は左手で受け取る
名刺交換をする際、相手と自分が同時に名刺を交換するケースもあります。その場合は右手で自分の名刺を差し出し、左手は相手がその上に名刺を載せやすいように、名刺入れを水平に保持します。
名刺交換をスムーズにする覚え方は右手に名刺、左手に名刺入れを持った「右側通行」です。名刺入れは名刺の「座布団」だと思ったうえでやり取りしましょう。
相手の名刺を左手の親指で名刺入れと挟むように受け取った後は、すぐに右手を添えて、両手で持ちます。
先に渡された場合はひとこと添える
名刺交換において、自分が先に名刺を渡さなければいけない立場であるにも関わらず、相手が先に名刺を出してくることも少なくありません。
そのような場合は、ひとまず「頂戴いたします」といって相手の名刺を受け取り、「申し遅れましたが」と一言添えて自分の名刺を渡せば問題ありません。
名刺交換後の置き方や並べ方
名刺交換後は着席をして商談やミーティングを始めますが、その際に悩んでしまうのがもらった名刺の扱い方です。
置き方や並べ方を間違うと失礼な印象を与えるため、基本的な取り扱い方を理解しておきましょう。
ここからは、名刺交換後の名刺の置き方や並べ方に関するマナーを解説します。
もらった名刺は自分の名刺入れの上に置く
もらった名刺をすぐに名刺入れにしまうのはNGです。テーブルがある応接室などの場合は、椅子に座ったタイミングでテーブルの上に置きます。名刺入れは「座布団」です。名刺をテーブルの上に直接置かず、名刺入れの上に載せた状態で、自分の左側手前に置きましょう。
名刺入れを座布団に見立てることで相手への敬意を示すことになります。テーブルの上に出しておくことによって、商談中に相手の名前や役職を忘れてしまった時にも確認することができます。
複数人の名刺は座席順に並べる
複数人と名刺交換を行った場合は、すべての名刺を名刺入れの上に置くことはできません。
そこで、相手側の役職が一番高い人の名刺のみを名刺入れの上に置き、あとの名刺は座席順にテーブルに並べておくようにしましょう。
座席順に並べておくと相手の氏名を確認しやすくなるため、商談やミーティングを滞りなく進められます。
名刺交換で注意すべきポイント
挨拶やコミュニケーションツールの役割を持つ名刺を交換することは、ビジネスシーンにおいて重要な行為です。
相手に不快感を与えず今後の取引をスムーズに行うためにも、NGとされる行為や注意点は押さえておきたいものです。
そこでここからは、名刺交換をする上で注意すべきポイントを紹介していきます。
相手の名刺は丁寧に扱う
名刺はその人の分身ともいえるため、相手の名刺の扱い方には十分注意する必要があります。
例えば、相手企業のロゴや社名、氏名を隠すように指を重ねるのはたいへん失礼です。相手を軽視しているという印象を与えかねません。名刺を受け取る際などは余白部分を持つようにし、丁寧に取り扱うことを心がけましょう。
また、「相手の名刺は相手の顔」ですから、受け取った名刺を折り曲げたり弾いたりすることや、忘れて帰ることもたいへん失礼な行為です。
特に、新社会人のうちや転職したてで慣れない場合などは気が回らず、上記のような行為をしてしまいがちです。落ち着かないからといって名刺をむやみに触ったり、焦って訪問先から立ち去ったりすることは避け、誠実に対応することを心がけましょう。
名刺をポケットや財布から出さない
名刺交換をする際、名刺を財布や手帳、首から下げる身分証明書の裏、さらにはポケットから直接出す人がいますが、名刺入れを使わずに直接名刺を渡す行為は相手に不躾な印象を与えます。
ポケットなどに入れておくと折れたり曲がったりしている名刺を渡すことになってしまいますし、お金と一緒に財布に入れている場合は、衛生面も気になります。
「自分の名刺は自分の顔」ですから、どこに出しても恥ずかしくないよう、名刺入れでしっかり管理した綺麗な状態の名刺を渡すようにしましょう。
十分な枚数の名刺を用意しておく
名刺交換のマナーとして一番守らなければいけない点は「自分の名刺を切らさないこと」です。
想定以上に多くの人と名刺交換する場合は発注が間に合わないこともあるかもしれませんが、初対面の人と挨拶をする際に名刺交換ができないなどという事態は避けなければなりません。
名刺をかなり多く使うことが予想される日は、名刺の箱ごとバックに入れておき、都度名刺入れに補充するなど、常に名刺を切らさないよう注意しましょう。
名刺交換の順番やマナーを理解しておこう
名刺交換は、お互いの社会的信用を担保することにつながるもので、マナーを身につけていないと相手に不快感を与えてしまいます。
一枚の名刺交換によって、相手と打ち解け、その後のより良いコミュニケーションをはかるためにも、正しい名刺交換の順番やマナーを理解しておく必要があります。
名刺交換後の名刺の置き方や並べ方、注意すべきポイントなどもあわせて確認しておき、取引先などと良好な関係を築いて、人生の大きなチャンスにつなげていきましょう。