働き方の多様化により、会社や組織に属さず個人で仕事を請け負う「フリーランス」という働き方を選択する方が増えています。

本稿では、フリーランスエンジニアを経てオンラインスクール「デイトラ」を運営する大滝昇平氏が、「副業」や「独立」におけるメリット・デメリットについて、数多くのフリーランスを輩出してきた教育者としての目線で分かりやすく解説していきます。

  • 「フリーランス」という働き方

副業・独立のメリット

まず、副業・独立におけるメリットを以下に紹介します。

・収入が青天井に増える可能性がある
・会社だけでは得られない学びや社会的なつながりが増える
・事業に関わるものを経費にできる
・自分の力で稼ぐことにやりがいや充実感を持てる
・自分で仕事の裁量を持てる
・ライフスタイルに応じて働き方を変化させやすい

中小企業庁の調査結果によると、フリーランスとして働いている理由の約7割が「仕事をする場所や時間の自由度がある」という結果でした。

  • 出典:中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」

年齢に応じて結婚や出産、両親の介護などライフステージが変化していくことを考えても、時間や場所に制限の少ない働き方はメリットとなり得ます。

収入面においても、毎月決まった給料が支払われる会社員に対し、フリーランスは仕事の対価を自分自身で決められます。収入額が自分の能力に比例する傾向にあるため、努力次第では大幅な収入アップが期待できるでしょう。

副業・独立のデメリット

副業や独立は柔軟な働き方を実現させやすい一方、それ故に以下のようなデメリットも存在します。

・会社員に比べると収入が不安定
・確定申告等、税金の支払いを自分で行う必要がある
・努力に対する成果が見合わない場合もある
・自己管理能力が問われる
・育成の場が少なくスキルアップにつながりにくい
・仕事とプライベートの境目がなくなりやすい

ランサーズによる「フリーランス実態調査2021」によると、全体の約4割が自由な働き方の障壁として「収入が安定しないこと」を挙げています。

  • 出典:「フリーランス実態調査 2021」

フリーランスは自由度が高い代わりに、仕事におけるすべての責任を自分で負う必要があります。給与の保証がある会社員と比較すると、フリーランスは収入面において安定性が高いとは言い難いでしょう。また、自分で仕事量やスケジュール管理を徹底しなければ、時にオーバーワークになる可能性も否めません。

副業・独立に向いてる人の特徴

副業や独立に向けて厳しい現実が立ちはだかりますが、実際にフリーランスとして仕事が成り立っている人達には、以下のような共通点があります。

・副業や独立をする目的が明確
・成果を出すために自ら行動できる
・スキル向上のために努力を欠かさない
・短期・中期・長期ゴールを立てられる
・自分の弱点を理解している
・自分が「事業の代表」であることを自覚できている

会社という看板を背負わずに働く場合、求められるのは個人の信用力です。個人としての能力を示しクライアントの信頼を得るためにも、短期的な数字を追い求めるのではなく、責任を持って仕事に取り組む覚悟が求められるでしょう。

副業・独立に向いてない人の特徴

会社員とフリーランスにはさまざまな違いがあるため、当然ながら向き・不向きがあります。副業や独立に向いていない人の特徴は以下です。

・他責思考
・独立・副業をゴールだと考えている
・自発的な行動が伴わない
・自ら意欲的に学習ができない
・営業ができない
・お金だけを目的としている
・仕事とプライベートをしっかりと区別したい

フリーランスにおける自由とは、場所や時間に縛られずに働けたり、受ける仕事を自分で選べたりと「働き方の裁量」があることです。

自由という言葉の裏には、仕事の責任がすべて自分にあることや、セルフマネジメント力が問われることなど、表には見えづらい苦労も多く存在します。こういった現実を受け止めて、向上心を持ち努力を継続できる方がフリーランスに向いていると言えるでしょう。

副業・独立に備えて準備しておくべきこと

会社員とフリーランスにはこれまで述べたような違いがあるからこそ、副業・独立を目指すなら以下のような準備が必要です。

・副業である程度の実績を持つ
・前職の会社や取引先から仕事が取れる状態にする
・SNSやコミュニティを活用して人脈を広げる
・1年間は無収入でも暮らせる程度の貯蓄をする
・なるべく固定費をかけないようにする

副業や独立を選択する方が増える一方で、誰もが必ずしもフリーランスとして結果が出せるかと言えば難しく、各々がそれなりの努力や覚悟をして挑む必要があります。

ただし、ある程度の実績や人脈、貯金などセーフティーネットを持っておくことで良いスタートを切れる可能性は高まります。成功の確率を高めるためにも、最低限の準備をしてから目標に向けて着実に進むことが大切です。