どうも、オグチです。低温調理器と聞いて、「なんかそれ意識高そう」と思った、そこのアナタ! 低温調理器、全然意識高くないっす。むしろ手間なしで初心者向けという意味で、意識低いとも言えるんですよ。
料理は、プロでも主婦でも、技術と経験が物をいう世界です。加熱調理では、火がどのぐらい通っているか、初心者には分かりにくい。しかし、低温調理器では、設定するだけで一定の温度がキープされるので、技術も経験も不要で調理できます。なんせ、面倒くさがりのワタシですら、日常的に使ってますからね。意識低くても全く問題ありません。
というわけで、テスコムから出る低温調理器の新製品「芯温スマートクッカー TLC70A(以下、芯温スマートクッカー)」を、発売に先駆けレビューすることになりました。こちら、クラウドファンディングの「Makuake」で6月6日までのテスト販売。興味を持たれた方は、「あとで読む」ではなく、今すぐお読み下さい(笑)。
さて、芯温スマートクッカーは、食材の中心温度(芯温)を計測しながら加熱調理する低温調理器です。どうやって食材の中心温度を測るかというと、串のように食材に突き刺す温度計を使います。
意識低くても大丈夫! 手間いらずの低温調理器
本体は、ぱっと見、トースターのような形状とサイズ感。まあまあコンパクトです。一般的に低温調理器というと、棒状のタイプが連想されるかと思います。鍋などの容器に水を張って、そこに本体をさし込み、ヒーターの力で水とそこに入れた食材を加熱するものですね。
しかし、この芯温スマートクッカーは、本体の庫内に直接フリーザーバッグなどに入れた食材を入れて加熱する方式です。つまり、容器も水も要りません。もちろん使用後に水(お湯)を捨てる手間も発生しません。
本体のコンパクトさでネックになりそうなのは、庫内の幅(69mm、底部58mm)ですが、スーパーなどで販売される牛のモモブロック、豚の肩ロースブロックなら問題なく入るでしょう。iPhone(12や13)の幅が71.5mmなので、このぐらいになると入らない。お肉売り場で悩んだら、自分のスマホを当ててみてください。
製品には、レシピ冊子「大西哲也の低温調理の世界」が付属しています。これを元に、まずはチャーシューを作ってみます。
豚肩ロースが柔らかチャーシューに変身
まず、豚肩ロースのブロックに、塩とガーリックパウダーをまぶして冷蔵庫で30分寝かせ、フリーザーバッグに入れて温度計を肉の中心に刺します。庫内に入れてフタを閉じたら、温度や調理時間を設定します。
まずは「芯温調理モード」を選択し、芯温は65℃、庫内温度は80℃、調理時間を15分に。レシピによれば全体の調理時間は、約2時間といったところです(芯温に達してからの調理時間が15分。低温で熱を入れていくので、芯温に達するまでは時間がかかります)。設定が完了したら「スタート」ボタンをポチリ。
ちなみに、芯温を計測せず、庫内温度の設定だけで調理する「調理モード」も用意されていて、温度計を刺しにくい魚や甘酒など液体の調理に使えます。
調理中の音はほぼ無音、アラーム音も控えめ
調理しているとき、動作音は全くしません。棒状の低温調理器のように、モーターで水をかき回す音がないので、ほぼ無音です。完成したときのアラーム音も控えめです。
アラームが鳴ったらフリーザーバッグから肉を取りだし、フライパンで表面に焦げ目を付けます。この手順は普通の低温調理器と同様。
かたくなりがちな豚肉ですが、しっかり中心まで火が通っていながら、しかもやわらかいです。
鶏むね肉をしっとりサラダチキンに!
続いて、サラダチキンも作ってみました。わが家では、かなり頻度高く作るメニューです。鶏むね肉、安くてヘルシーですからね。
設定は、芯温調理モード、芯温70℃、庫内温度80℃、調理時間6分。調理時間の目安は1時間30分です。
70℃は高めな設定なせいもあり、比較的短時間で完成します。ちなみに、鶏肉は皮を付けたまま調理すると、内部が生っぽくなってしまうことがあり、わが家では皮を剥いで調理していましたが、芯温を測るこの製品なら、そうする必要もありません。63℃ぐらいに設定すれば、よりしっとりした仕上がりになります。
水に芯温計を挿して温泉卵が完成
レシピ集にはない温泉卵も作ってみました。庫内に直接水を入れることは想定されていないので、フリーザーバッグに水と卵を入れて加熱します。今回は温度計をバッグ内に入れて使用しましたが、調理モードを使ってもいいでしょう。
設定は65℃で30分。いろいろ試しましたがこれで、ちょうどよい温泉卵ができあがります(もちろん設定温度を変えれば、よりやわらかい・かたいを選択できます)。
失敗できない国産牛ももブロックがデパ地下の味に
最後に、国産牛ももブロックでローストビーフも作ってみました。
芯温調理モードで、芯温63℃、庫内温度68℃、調理時間30分。肉が冷えていたせいか、トータルの調理時間は3時間以上かかりましたが、そこそこ高い肉を使ったこともあり、「ああ、肉の香りってこんなに素敵なのね」という仕上がりになりました。わかりやすく言うと、デパ地下で買ったローストビーフの味です。
良い肉を失敗なく調理できる、この失敗しない点が、低温調理器の大きな価値です。しかし、今回のローストビーフも十分美味しかったんですけど、57℃、58℃ともっとギリギリを攻めてみたいところです。中心温度を計測しているので、攻めても失敗がないはずですから。温度を変えて味の違いを楽しんでこそ、この製品を導入した意味があるでしょう。正直、借りた製品を返却したくないなという気持ちになってます(笑)。