社会人として多くの経験を積んだ40代、50代。これからさらにキャリアアップしたいと考えて転職を目指すなら、どのような資格を持っていると良いのでしょうか。
この記事では、40代、50代が転職の際、有利になる資格を3つご紹介します。「転職を検討しているけれど、どんな資格がいいの?」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
40代、50代が転職に有利な資格3選
40代、50代の転職では、これまでの経験や知識、スキルなどが重視されます。しかし、それに加えて転職先で役立つ資格を持っていれば、他の応募者と評価が横並びになったとしても、一歩抜きんでることができるでしょう。
どの資格が有利となるかは転職先の業種・職種によって異なることはもちろんですが、特に40代、50代の転職では、専門性の高い資格が求められる傾向にあります。
そこでここでは、「社労士」「日商簿記検定1級」「中小企業診断士」の3つの資格について解説します。
<社労士>
「社労士(社会保険労務士)」は、社会保険労務士法に基づいた国家資格者です。独立開業する人も多くいますが、社労士のうち約4割は企業に就職し、「勤務社労士」として活躍しています。
社労士は、人事・労務管理のスペシャリスト。健康保険や年金、労働保険、人事評価など、従業員の採用から退職までの幅広い業務を担当します。
特に近年では、働き方改革やダイバーシティーが推し進められ、企業にとって、労働環境の見直しは急務です。こうした社会情勢を反映し、社労士の担う役割はますます高まっていると言えるでしょう。
また、社労士は、女性からの人気が高い資格です。年度によって多少の違いはあるものの、毎年の社労士試験合格者のうち、ほぼ3人に1人は女性となっています。他の士業と比べても女性が多く活躍していますが、労務に関わる仕事のため、「出産や育児など自身の経験を生かしやすい」という理由もあるのでしょう。
ただし、社労士試験の合格率は約6%と、狭き門です。科目ごとに合否の出る科目合格制も設けられておらず、総得点と全科目で基準点に達する必要があります。
合格すれば必ず転職につながるわけではありませんが、実務経験にプラスして取得していれば、強力な武器となるでしょう。
<日商簿記検定1級>
日商簿記も人気の資格ですが、特に、「日商簿記検定1級」は簿記資格の中でも最高峰と言われ、取得していると大きなメリットが見込める資格です。
日商簿記1級の合格率は、毎回10%前後。取得が難しいぶん希少性が高く、また、高度な会計知識を有し、大規模企業の経理実務が理解できるレベルです。転職においても、「会計のスペシャリスト」「経営管理のプロ」として重宝されるでしょう。
ただし、合格率の低さにも表れているように、日商簿記1級は、2級までと比べて合格が非常に難しいとされています。1級では、簿記の本質を理解していることが求められ、丸暗記やパターン学習が通用しません。
だからこそ、ビジネスシーンで役立つ応用力、実践力が身に付きますが、日商簿記1級に合格するまでには、ある程度の学習期間が必要となることを心得ておきましょう。
なお、日商簿記1級はさらに高度な会計系資格の登竜門になるというメリットもあります。たとえば、日商簿記1級を取得していれば、税理士試験の受験資格を満たすことができます。
また、日商簿記1級の学習範囲は、後述する「中小企業診断士」試験の出題範囲の一部をカバーしていますので、中小企業診断士試験を受ける場合にも有利となるでしょう。
<中小企業診断士>
最後にご紹介するのは、「中小企業診断士」です。中小企業診断士は、経営コンサルティングで唯一の国家資格であり、「日本版MBA(経営学修士)」とも言われています。
中小企業診断士の仕事は、中小企業の経営状況を診断・分析し、より良い経営が行えるよう助言することです。企業の成長戦略のアドバイスが主な業務ですが、中小企業と行政・金融機関等をつなぐパイプ役も求められます。
中小企業診断士も社労士や日商簿記1級と同じく、合格が非常に難しい試験の一つ。試験は1次試験と2次試験から構成されますが、1次試験は科目数が7科目もあり、正解が40%未満の科目が1つでもあると、総得点で基準に達していても不合格となる厳しさです。
それ以上に難しいのが2次試験で、こちらは4科目の筆記試験と口述試験も実施されます。合格率は年によって違いますが、1次試験で約20~40%、2次試験で約20%弱です。
このように、合格は簡単とは言えない中小企業診断士ですが、これまでの社会人経験が生かしやすい資格でもあります。中小企業診断士の1次試験合格者のうち、その半数を40代以上が占めていることもあり、40代、50代が活躍しやすい資格の一つと言えるでしょう。
転職先で求められる資格を見極めよう
今回は、40代、50代が転職に有利な資格を3つご紹介しました。いずれも専門性・難易度ともに高い資格ですが、取得できれば、企業へのアピールポイントとなるでしょう。
ただし、難しい資格を持っていればいいわけではなく、転職を希望する業種や職種で求められる資格であるかどうかの見極めも肝心です。また、難関資格であれば、そのぶん取得するのに時間も労力もかかります。それでも挑戦する価値があるかどうかも、しっかり検討しましょう。