初任給や昇給・昇格など、年度が変わって間もないこの時期は、自分の年収が世間と比べてどうなのか気になるものではないでしょうか。そこで本記事では、年代ごとの平均年収を紹介します。各年代で、いわゆる高額所得者といわれる年収1,000万円以上の人がどれくらいいるのかについても併せて見ていきましょう。

20代から70代にかけて平均年収はどう変わる?

国税庁が公表している「令和2年分 民間給与実体統計調査」によると、令和2年12月31日現在の給与所得者の平均年収は433万円(1年を通じて勤務した給与所得者)。年代別では次表で示すように、20代から50代にかけて上がっていき、60代、70代と下がっています。50代後半で年収ピークを迎え、その平均額は518万円という状況です。

  • 年齢階層別の平均年収

どの年代でも前半(例:20~24歳)と後半(例:25~29歳)で金額差がありますが、特に金額差が大きいのが20代で102万円の差。前半では高卒の人や大卒で入社間もない人が多いけれども、後半では入社後数年が経過して基本給や手当・賞与が増加したものと考えられます。

一方、60代でも前半と後半では83万円も差があります。これは、定年後の継続雇用が65歳で終了したり、65歳で定年を迎えたりする人が多いためであると推測できます。

平均年収の変わり方は男女ともに同じ?

次に男女別でも見てみましょう。

  • 年齢階層別の平均年収(男女別)

男女では平均年収の変わり方に大きな差があります。男性は先に見た全体の平均年収の変わり方と同じ動きをしています。一般的な定年年齢である60歳前まで平均年収が一貫して上がり、その後は下がり続けます。

一方、女性は、年代が上がっても平均年収は300万円前後で大きな変化はありません。あくまで「1年を通じて勤務した給与所得者」の平均ですから個人差はありそうですが、見方を変えれば、リタイア年齢を迎えた後も働き続けていれば大きく年収が下がることはないとも考えられそうですね。

年収1,000万円以上の人はどれくらいいる?

年代が同じでも、個別に見れば年収額には差があるものです。ここからは、ちょっと気になる「年収1,000万円以上の人」がどのくらいいるのか見ていきましょう。

残念ながら先に紹介した国税庁の調査では年代ごとの高額収入者の割合を知ることはできません。そこで、厚生労働省の「令和3年 賃金構造基本統計調査」を元に年収1,000万円以上の人の割合を推測してみましょう。ただし、当調査でも公表されている給与額は1カ月分の給与であるため月給が80万円(年計960万円)以上の人をピックアップして紹介します。

  • 各年齢階層の給与所得者に占める高額収入者の割合

当調査によると、各年齢階層別の給与所得者に対して最も高額収入者が多いのは50代後半の男性。割合で見ると4%未満ととても少ないことがわかります。ボーナスを含めると年収1,000万円以上となる人はもう少し増えることも考えられますが、多くの人にとって、年に1,000万円以上の給与収入を得るのは難しいのかもしれませんね。

ただ、男女ともにどの年代でも高額収入者がいることもわかります。若くても、女性でも多くの収入を得られる可能性があることは収入アップに向けて励みになるかもしれませんね。

給与以外の収入増にも努めてみよう

今回、20代~70代まで、年齢階層別の平均年収額や年収の変化のしかた、各年齢階層でどれくらいの割合の人が1,000万円以上の高額年収を得ているのかなどについて紹介しました。

年収アップを目指すときに、一般的に高額収入ラインと言われる1,000万円を目標としている人もいるかもしれません。ただ、給与収入だけで1,000万円という高額収入を得ている人は少ないのが実情です。スキルアップやキャリアアップで年収アップに努めることは大切なことですが、給与だけで1,000万円を得ようと考えるだけでなく、株式投資や不動産投資の運用益など、他の方法で副収入を得ることにも努めてみるのもおすすめです。早いうちから長く続けることで、平均給与のカーブよりも早く高収入を得られるようになるかもしれませんね。