1年中、手に入れやすいじゃがいもは、煮る、焼く、揚げるのどれをとってもおいしく楽しめる野菜。栄養もしっかり含まれていると知っていても、「じゃがいもはカロリーが高めかも」と気になっている方もいるかもしれません。

実は、じゃがいもは芋類のなかではカロリーは低め。そしてビタミンCやカリウムといったビタミン、ミネラル類を豊富に含むため、フランスでは「大地のりんご」と呼ばれることもあるそうです。

今回は、じゃがいもの栄養と効能について解説し、栄養を活かす簡単なレシピなども紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

  • じゃがいもの栄養素の効能を解説します

じゃがいもの栄養成分・効能

じゃがいもに含まれる栄養成分は以下のとおりです。

<じゃがいも>※皮付き・生・可食部100gあたり
エネルギー: 51kcal
水分: 81.1g
・たんぱく質: 1.8g
・脂質: 0.1g
・炭水化物: 15.9g
・食物繊維: 9.8g
・葉酸: 20μg
・ビタミンC: 28mg
・カリウム: 420mg
・カルシウム: 4mg
・マグネシウム: 19mg

じゃがいもは主食になりながらもビタミンやミネラルも豊富なことから、フランスでは「大地のりんご」と呼ばれることもあるそう。

じゃがいもに含まれる主な栄養素はビタミンC、カリウム、食物繊維などです。ここからは、これらの栄養素の効能をご紹介します。

抗酸化作用のあるビタミンC

じゃがいもに豊富に含まれるのがビタミンCです。意外にもほうれん草やみかんと同じぐらいたくさん含まれています。

ビタミンCには老化の原因となる活性酸素の発生を抑えたり取り除いたりする、抗酸化作用があるとされています。また、コラーゲンの生成を促して肌を健康に保ったり、免疫力向上につなげたりするなどの効能も。

ビタミンCは水に溶け出たり熱で壊れたりしやすい栄養素ですが、じゃがいものビタミンCはでんぷん質に守られ、損失しにくいとされています。

高血圧やむくみ予防につなげるカリウム

じゃがいもはカリウムも豊富です。カリウムは体の余分なナトリウムを排出して血圧を正常に保ち、高血圧を防ぐ効能があります。ほかにも、体の余分な水分を排出しながら、むくみ予防につなげるという効能も。

デトックス効果のある食物繊維

食物繊維には、血中コレステロール値を抑えたり糖質の吸収を抑えたりする水溶性ものもと、便秘の症状を改善して予防する不溶性のものがあります。じゃがいもにはこのどちらの食物繊維も豊富。体の中の不要なものをすっきりさせ、デトックスにつなげます。

引用:
文部科学省「食品成分データベース」

  • じゃがいもにはビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富

じゃがいもと新じゃがで栄養素は変わる?

春先に出回る新じゃがは、「新じゃが」というじゃがいもの品種ではなく、収穫からの保管期間が短いもの。そのため損失されやすいとされるビタミンCが、普通のじゃがいもより多く残っています。

新じゃがはみずみずしく皮ごと食べることが多いため、皮や皮付近の栄養素までしっかりと食べることができます。

じゃがいものカロリーはどのくらい?

じゃがいものカロリーは高いのか低いのか、気になる方も多いでしょう。同じ芋類と、そしてパンやごはんなどの主食と比較してみます。

<芋類とのカロリー比較>※皮付き・生・可食部100gあたり
じゃがいも: 51kcal
里芋: 53kcal
長芋: 64kcal
大和芋(山芋): 119kcal
さつまいも: 127kcal

上記の数値から、じゃがいもは芋類のなかでカロリーが低いことがわかります。

続いて、ごはんやパンといった主食と比較してみます。

<主食とのカロリー比較>※100g当たり
じゃがいも: 51kcal ※中サイズ1個の目安は約150g
ごはん: 342kcal ※ごはん茶碗1杯は約150g
食パン: 248kcal ※6枚切りの食パン1枚は約60g
スパゲッティ(乾): 347kcal ※1人前は約100g

じゃがいもは主食にする国もありますが、上記の数値からはごはんやパンなどその他の主食に比べるとカロリーが低いことがわかります。

炭水化物や糖質の量は?

炭水化物は三大栄養素のひとつで、体のエネルギー源として欠かせない栄養素です。ただし、炭水化物は糖質と食物繊維の総称で、つまり炭水化物が多いとその分、糖質も多いということ。糖質は取りすぎると肥満につながってしまうので、注意が必要です。

ではじゃがいもの炭水化物の量を、ほかの主食と比べてみます。

<炭水化物>※100g当たり
じゃがいも: 15.9g ※中サイズ1個の目安は約150g
ごはん: 37.1g ※ごはん茶碗1杯は約150g
食パン: 46.4g ※6枚切りの食パン1枚は約60g
スパゲッティ(乾): 73.1g ※1人前は約100g

じゃがいもは主食にする国もありますが、上記の数値を比較すると、私たちが主食とするごはんより炭水化物の量は少ないことがわかります。ダイエット中の方は、ごはんの代わりにじゃがいもを主食にするのもいいですね。ただし、食べすぎには注意しましょう。

  • 炭水化物の糖質は、とりすぎると肥満の原因に

じゃがいもの栄養素を活かす調理方法

じゃがいもの栄養素をできるだけ効率よくとるための調理方法を紹介します。

水に長時間さらさない

じゃがいもは調理時に水にさらす方もいると思いますが、ビタミンCやカリウムは水溶性のため、水に流れ出てしまいます。せっかくの栄養素を失わないためにも、じゃがいもはできるだけ水にさらさず、さらすとしても短時間にとどめるのがおすすめです。

ゆでるより、電子レンジ加熱がおすすめ

水溶性の栄養素をしっかり残すには、ゆでるより電子レンジ加熱がおすすめです。水でしっかり洗ったら、水気が残った状態のままラップで包み加熱します。目安はじゃがいも1個につき3~5分程度ですが、途中、竹串などで様子を見るのがおすすめ。皮ごと加熱したほうが、しっとりと仕上がります。

調理は皮ごとのほうが栄養の損失は少な目

じゃがいもの皮は、食感が気になるからとむく方も多いでしょう。しかし皮が付いたままの状態で加熱したほうが、栄養素の流出は防げるとされています。

ソラニンやチャコニンに注意

じゃがいもの芽や緑色の部分には、ソラニンやチャコニンという天然毒素が含まれていることが多くあります。これらの毒素は吐き気やおう吐、下痢などを引き起こすとも言われています。皮ごと食べる場合でも、芽や緑色の部分は必ず取り除きましょう。

参照: 「農林水産省「ジャガイモによる食中毒を予防するために」

  • じゃがいもの栄養素を効率よくとるために工夫しよう

じゃがいもの栄養素を活かすおすすめレシピ

ここで、簡単なおすすめレシピを紹介します。

  • カリカリ、もっちりの「ガレット」
    よく洗ったじゃがいもを、皮ごと千切りにする。油を熱したフライパンに敷き詰め、塩こしょうや粉チーズなどで調味し、両面がカリッとなるまで焼けば出来上がり。好みでベーコンなどを加えて焼いても。

  • とろ~り「ポタージュ」
    じゃがいもは皮ごとラップで包み、電子レンジで加熱する。ミキサーでなめらかにつぶしたら鍋に入れ、水とコンソメを加えて煮込む。仕上げに牛乳を加えて塩こしょうなどで調味すれば出来上がり。ミキサーがない場合にはフォークでつぶしてもOKですが、その場合は皮はむいたほうが食感や見た目もよく仕上がります。

じゃがいもの適切な保存方法

じゃがいもは基本的に常温保存します。暗く風通しの良い場所を選びましょう。冷蔵庫に入れる場合は、キッチンペーパーや新聞紙などで包み、冷気が直接あたらないようにして野菜室へ入れてください。

冷凍保存には向かない

じゃがいもは冷凍保存には不向きな野菜として知られています。そのまま冷凍すると水分が抜けて、解凍したときにポソポソとした食感になってしまいます。 冷凍したい場合は、ゆでてマッシュポテトにしてから、チャック付きの冷凍袋に平らにして入れるのがおすすめです。

  • じゃがいもは皮ごと食べたほうが、栄養価は高くなります

じゃがいもはビタミンやミネラルが豊富!

じゃがいもの栄養素と効能について紹介しました。じゃがいもの主な栄養素はビタミンCやミネラル、食物繊維など。カロリーは芋類の中では低めで、炭水化物もほかの主食と比べると少な目です。ただし、油をたっぷり使うフライドポテトやポテトチップスなどは当然ながらカロリーも増えます。

じゃがいもに含まれる栄養素は水や熱で損失してしまうものもあるので、水にはできるだけさらさず、ゆでずに電子レンジ加熱にするなど、調理を工夫して楽しんでください。