俳優の坂口健太郎と女優の杏が、7月スタートのフジテレビ系ドラマ『競争の番人』(毎週月曜21:00~)でW主演を務めることが16日、明らかになった。現在同枠で放送中の『元彼の遺言状』と同じ、新川帆立氏の原作となる。
このドラマは、坂口演じる天才で理屈っぽくひねくれ者の小勝負勉と、杏演じる実直で感情のままに行動する元刑事の白熊楓が、公正取引委員会・第六審査、通称“ダイロク”の職員として、独占禁止法に関わる違反行為を取り締まり、経済活動における自由で公正な競争の場を守るために目を光らせる「競争の番人」として、談合やカルテルなど不正を働く企業の隠された事実をあぶり出していくストーリー。実際に公正取引委員会で撮影を行うなど、公正取引委員会の全面協力の元、丑尾健太郎氏、神田優氏、穴吹一朗氏、蓼内健太氏の脚本、相沢秀幸氏、森脇智延氏の演出でリアリティーあふれる作品を目指す。
小勝負(坂口)は、20歳で司法試験に合格。東大法学部を首席で卒業後、どの会社・官庁にでも就職できたのに、あえて公取委に就職したことで、まわりからは「もっといいところに入れたはずでは?」と度々疑問を投げかけられる。小勝負自身は公取委で働くことにこだわりがあるようで、「弱くても、戦わなきゃいけない」と使命感を燃やす様はどこか狂気じみている。その理由は小勝負の過去に関係が?他の審査官とは違う独特の視点や洞察力がある一方、人とは違う調査の仕方で周囲からは変わり者と思われている。
そんな小勝負の身勝手な行動に、いつも振り回されるのが白熊(杏)。理屈っぽい小勝負とは性格や考え方など、なにもかもが正反対。男勝りな性格で、警察官の父に憧れ、自らも警察官に。しかし、ある事件で犯人を目前で取り逃がしてしまい、そのことが問題視され公取委への異動を命じられる。異動して早々に、公取委が他の官庁に比べて、「弱小官庁」だと説明され、その実態に驚きながら、個性豊かな“ダイロク”のメンバーと共に、企業の不正を暴こうと奔走する。企業への立ち入り検査のほかにも、事情聴取や、張り込み・尾行など真実を突き止めるために、警察のようなことも行う一方、警察のような強力な権力を持たない公取委の捜査には、さまざまな障壁があり、白熊は公取委の実情にがく然とする。
コメントは、以下の通り。
■坂口健太郎
――月9ドラマ初主演を務めることについて
「僕は月9というと、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年)以来の出演になります。フジテレビ制作の作品も久しぶりですね。身が引き締まるというのはどの作品も同じなのですが、“月9枠で杏さんとW主演”というのは、もう一段上の気合が入った感じがします。今回、公正取引委員会の話だと伺った時は、正直良くわかりませんでした。もちろん、公正取引委員会という名前を聞いたことはありますが、弁護士ものや警察ものとは違いそうですし…。一体、どういう話になるんだろう?と思いましたが、台本をいただいて一読したら、ものすごく面白い話だったので、楽しく撮影に臨めそうだなと思いました」
――小勝負を演じて、意識されているところは?
「ストーリーの中で“悪”となる人物がいるんです。小勝負がそんな悪と対峙(たいじ)する時、そんな悪によって救われている人もいることも考えてしまうんです。ですので、小勝負としては100%の正義でポジショントークをしてはいけないと、どこかで思っています。そういったシーンを演じるのはすごく難しいですね。小勝負のパーソナリティーについては、全てが明らかになっていません。小勝負は、過去に何か深いものを抱えていそうなんです。それが何かわかるまでは捉えどころのない人物でいようと思っていますし、さりげなくポンッと放った言葉が相手に効くような存在になれたら良いですね」
――杏さんとの共演について
「小勝負は、杏さんが演じる白熊と一緒に行動することがすごく多いんですが、小勝負と白熊としての僕と杏さんの空気感は自然と出来上がっていきました。小勝負が所属するダイロク(公正取引委員会 審査局 第六審査)のみなさんとお芝居をするときは、そんな小勝負と白熊の雰囲気が一緒にいるみなさんにも伝わっているからか、現場の空気感がすごく心地良いです。現場の空気感は、どうしても作品に出てくると思いますので、心地良い空気感のある作品になっているんだろうなと思いますね」
――視聴者の方々へのメッセージ
「このドラマで描かれる公正取引委員会というのは、 “弱小官庁”なんです。僕自身、時には“戦わずに負けても良い”と思うことがあります。そんな中で、小勝負の“弱くても、戦わなきゃいけない”というセリフが僕は好きなんです。まだまだうっ屈とした世の中で、小勝負、白熊、そしてダイロクメンバーといろいろな人物が登場しますが、彼らがやっていることを見て、次の日のちょっとした活力やパワーにしていただけたらと思いますし、そんな作品になるのではないかなと思っています」
■杏
――『デート~恋とはどんなものかしら~』以来、7年ぶりの月9ドラマ出演および主演について
「フジテレビのスタジオに帰ってくるのも本当に7年ぶりでしたので、社会情勢もこの7年でガラッと変わった中で、また月9というエンターテインメントをみなさまに届ける枠に戻ってくることができたのはすごくうれしいし、演じる意義みたいなものを感じています」
――台本を読んでの感想
「公正取引委員会という組織には馴染(なじ)みがありませんし、セリフの専門用語も口にしたことが無さすぎて、難しいんです。でも、白熊として演じていると、実は私たちの身近な世界を扱っていることがわかってきました。私たちが普段触れる商品が、いろいろな競争を経て価格が決められて世に出されているんだということですね。企業間の正当な競争がないと、資本主義世界は回っていきません。そんな“競争の番人”、不正が起きないように審判として目を配る方として公正取引委員会があるということは新鮮でした。一方で、弱小官庁で…というエピソードもあるのが面白いですよね(笑)。実際に公正取引委員会の方に監修に入っていただいていますので、リアリティーがありつつ楽しい作品になっていると思います」
――白熊を演じて、意識されているところは?
「まずは、新しいことを始めるのに、今までにお見せしてきた私へのイメージを一度なくして、新しい役として見ていただくために髪をカットしました。白熊はもともと警察官だったのですが、いろいろとあって公正取引委員会に飛ばされた人物です。ですので、最初は不本意な気持ちでいますし、“なんなのここ?”という感じは、視聴者のみなさんと同じ目線で、寄り添いながら物語を進めていく存在になると思います。最初のうちは白熊は戸惑ったり、疑問を感じたりしています。ストーリーがどんどん進むにつれて、白熊が公正取引委員会で働く意義を見出(いだ)していきます。社会人としてある程度経験を積んだ上で、まるっきり違う職場に移る白熊ですが、そんな白熊のように30代半ばで転職される方も多いと思うので、まるっきり違う環境で仕事を始めるという白熊の気持ちは、多くの方々に寄り添っていただけて、応援していただけるのではないかなと思います」
――坂口さんとの共演について
「映画での共演はありましたが、タッグを組むようなお芝居をするという意味では初めてです。小勝負と白熊の関係も自分たちとかけ離れたイメージを持ち込むことなく、自然な感じで出来ていますし、年齢も近いので、考え方などにギャップを感じることもなく、一緒に演じるのは楽しいですね」
――視聴者の方々へのメッセージ
「この作品をきっかけに公正取引委員会の歴史はまだそんなに古くないことを知りました。商売の歴史はずっと続いているのですが、そこに“競争を守る”という概念を取り入れたのは戦後からということなんです。今の生活で販売されている水は何百、何千種類とあり、デザインなど全てが競争の中で取り扱われているんだと知って、スーパーに買い物に行った時のちょっとした目線が変わった気がします。そんな競争をジャッジするのが小勝負や白熊なのですが、その中でいろいろな人の人生と社会が混ざり合っていく様子が、上手(うま)く表現されていると思うのでワクワクしています。このワクワク感をみなさんにも味わっていただけたらと思います」
■原作:新川帆立氏
――ドラマ化決定を受けて
「原作は“令和版『HERO』”のイメージで、『Can You Keep A Secret?』を聴きながら書いたため、月9ドラマ化が実現してとてもうれしいです。公正な競争は社会にとって非常に重要なインフラです。競争を守り支える公正取引委員会の取り組みが、より広く知られるきっかけになればいいなと思います。主人公の2人はそれぞれに異なる想いを抱え、ときに衝突しながらも、悪に立ち向かいます。坂口健太郎さん、杏さんがどのようなコンビとして活躍してくれるか楽しみにしています」
■野田悠介プロデューサー
――企画意図
「“企業の不正を暴き、弱者を救う”。一度は聞いたことがあるけど、何をしているのかまではあまり知られていない公正取引委員会。警察や検察のように逮捕や強制捜査などの権力もない、税務署のように身近な存在でもない。ただ、公取委の方々は人知れず、競争を歪めようとする企業の不正と向き合い、消費者の方々に不利益を被らせないように努め、公正な競争を促進している。行なっている仕事は本当に地味かもしれませんが、新川先生の原作を読んだ時、立場の弱い人たちの背中をそっと押す、応援歌としてのメッセージも感じました。2クール連続で新川先生の原作をドラマ化させて頂くことは大変光栄で、新川先生からは“原作とドラマでどちらが面白い作品を作れるか競争ですね”と仰って頂いているので、視聴者の方々にも原作とドラマで2度楽しめるドラマに仕上げていきたいと思います!本作は働いている人なら誰しもが共感できる親会社と下請け企業、上司・部下の関係性、企業間などの横のつながり。いろいろなしがらみがある中で、公正取引委員会がどのように救っていくのか。そして第六審査に所属する6人のメンバーたちの個性豊かな掛け合いも本作ならではの魅力の一つです。ドラマ史上初めての公正取引委員会を舞台にした凸凹バディのエンタメ・ミステリーを、是非お楽しみに!」
――キャスティングについて
「このドラマを盛り上げるべく、今をときめくすてきな主演のお2人に参加して頂きます!坂口健太郎さんは小勝負勉という、誰に対しても物おじせず、他の人とは違う着眼点を持っている人物です。一見つかみどころのない存在だが、内に秘める芯の強さがあります。その原動力となった案件は何なのか?物語が進む中でそのベールが明かされていきます。柔らかさと芯の強さを同時に体現できるのは坂口健太郎さんしか思い浮かびませんでした。そして杏さんは白熊楓を演じて頂きます。実直で、頭より気持ちと身体で体当たりしていく性格。一直線な熱さを持つため自分のことは二の次。白熊というキャラクターを演じるため、杏さんは髪を切り、イメージを一新して役作りをして頂きました。杏さんが持ち合わせる前向きさ、ひた向きさ、立場の弱い人に対する寄り添い方など、白熊楓を体現して頂けると思いました。それぞれ性格もやり方も違う個性的な凸凹バディに、是非ご期待下さい!!」