賞与(ボーナス)は企業によって支給回数やタイミングは異なりますが、転職する際にボーナスをもらってから退職したいと考える方も多いと思います。タイミングによっては支給の対象にならないこともあるので注意が必要です。では、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか。
すぐ転職するのに賞与をもらうのは非常識?
「ボーナスをもらってすぐに転職というのも、なんだか申し訳ないような気がして……」と気後れするかもしれませんが、そこは考えなくても大丈夫。賞与はこれまで頑張ってきた成果に対して支給されるものなので、支給後に退職することは後ろめたいことではありません。賞与支給後は退職者が増える時期なので、その前後で求人を出す企業も多くあります。
確実に賞与を受け取ってから転職をしたいなら、まずは在籍している企業の賞与算定期間・賞与支給時期など「賞与支給規定」を確認しましょう。通常は就業規則に記載されているので、従業員であればすぐに確認できるようになっているはずです。支給日が分かったら、応募から内定、転職先への入社までにかかる時間を意識し、逆算して転職活動のスケジュールを組みましょう。
転職先から内定をもらった後、しっかりと余裕を持った退職日と最終出社日を伝えてスムーズに退職できるようにしましょう。その際に引継ぎ期間も考慮しておくと尚よいのですが、長くかかりそうであれば、転職活動中にできるだけ準備を進めておくと最終出社日が近づいてから引継ぎ業務に追われることもなくなります。
現職が多忙で時間が取れないなど、辞めてから転職活動したいという方もいると思いますが、離職期間がある場合はその期間の収入がなくなるので、生活を維持しながら転職活動するためにも、賞与は確実にもらっておいたほうが安心です。
賞与支給の対象となるには?よくある間違い
気をつけたいのは退職届の日付がいつになっているかということ。最終出社日ではなく、退職届の日付が在籍期間となるため、賞与支給日よりも前に退職日を設定しないように注意しましょう。例えば賞与の支給が6月30日だった場合、その時点で会社に在籍していなければいけないということになります。
<仮に6月30日が賞与支給日の場合>
●OK例
5月31日を最終出社日にして6月中に有給休暇を使って6月30日に退職 ⇒6月30日に在席していることになるので支給されます●NG例
6月1日が新しい会社の入社日のため、5月15日が最終出社日で5月31日に退職 ※6月30日に在席していないので支給されません
多くの企業では支給日に在籍することが条件になっていますが、まれに「5月末在籍従業員に対し、6月10日に賞与を支給する」といった形の就業規則を設けている企業も存在しています。就業規則により、支給日に在籍していなくても支払われるケースもありますので、損をしないためにも現職の就業規則は必ず確認しましょう。
入社日の相談にのってくれる企業も多い
仮にボーナスをもらった後の7月から入社したいと考えていても、転職先の企業から「すぐに入社してほしい」と言われると、それより前に入社しないといけないと考えてしまうかもしれませんが、断ることで印象が悪くなるということはなく、入社時期については相談にのってくれる企業が多いと思います。
ボーナス支給後に退職する方が多いというのは転職先の企業も理解していますので、理由を伝える際にあえて賞与の話をする必要はありません。「業務の引継ぎが6月末までかかるので7月1日入社にしてください」というように、業務上の都合を理由とした交渉の仕方をするとスムーズです。面接の段階で入社可能日を聞かれることが多いので、確実に入社できる日を伝えましょう。
大きなプロジェクトで中途入社時期を揃えるケースなど、チャンスを逃さないためにも賞与を諦めて転職するという選択もあるかもしれません。その場合、賞与は在籍した日数や月数に応じ、日割または月割で計算する仕組みのため、転職先の賞与算定期間が長くなるというメリットもあります。
“確実にボーナスをもらってから辞めたい”、“新しい職場に1日でも早く馴染みたい”など、自分が何を重視したいかによって決めてみてはいかがでしょうか。
必要な準備期間は一人ひとり異なるので、業務の区切りや引継ぎ期間などを計算し、自分に合った転職時期を決めることが大切です。「タイミングを間違えてボーナスをもらえなかった」とならないようにスケジュールをしっかり引いてから転職活動をしましょう。