インターネット上でよく見聞きする言葉のひとつに「残当」があります。本記事では、ネット用語「残当」の意味や由来・語源をご紹介します。また、「残当」の類語・言い換え・対義語や、「残当」を使った例文をご紹介します。
「残当」の意味とは?
「残当」は「ざんとう」と読みます。インターネット発祥のネット用語で、「なんJ用語」の一つです。
「なんJ」とは、2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)での「なんでも実況(ジュピター)」板の略称です。この「なんJ」から誕生した言葉は、「なんJ用語」といわれます。
「残当」の意味は「残念だが当然」
「残当」は「残念だが当然」を省略した言葉です。インターネットスラングに分類されます。予測していた事態が起きたときに、その感想として「残当」と使用されます。
また、「残念ながら当然」、「残念でもないし当然」の意味として使われる場合もあります。
ニュアンスとして「残念」というより、「そうなって当然」や「妥当である」に近いニュアンスで使用されることが多いようです。
※インターネットスラングとは
インターネットスラングは電子掲示板やチャット、メール、SNSで発生した俗語(スラング)です。省略した言葉や文字の誤変換、パロディ、顔文字など多様な種類が存在します。
インターネットスラングの一例として「リア充」や「ググる」、「コピペ」、「wktk(ワクテカ)」、「orz(がっかりした様子を描いたもの)」などが挙げられます。
「残業手当」ではない
「残当」は「残業手当」の略語ではありません。ビジネスシーンで使用される言葉ではないので、注意してください。
「残当」の由来・語源は?
ここでは、「残当」の由来・語源を解説します。
「残当」の由来は2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)
「残当」がインターネットスラングとして誕生したのは、大型のインターネット掲示板2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)のフェイクニュースがきっかけです。
2006年の日本プロ野球の試合において、ある投手が最終回で逆転負けを許してしまいました。この試合の後、2chの野球スレッドに以下のような内容の書き込みが現れました。
首都高4号線の外苑出口付近で〇〇投手が大型トラックに飛び込み死亡した。リリーフ失敗を苦にしたものとみられる。
▲▲監督の話「残念だが当然。男らしい最期といえる」
上記の書き込みはフェイクニュースで、該当する投手も自殺していません。また、監督が実際に「残念だが当然」という発言をしたこともないようです。しかし、「残念だが当然」というフレーズは掲示板を利用する人に気に入られて徐々に広まり、「残当」と省略して使用されるようになりました。
「残当」の類義語
「残当」の類語・言い換え表現をご紹介します。
妥当(だとう)
意味: 適切であること。実情によく当てはまっていること。そのさま
至当(しとう)
意味: 極めて妥当なこと。極めて当然であり適切であること。そのさま
適当(てきとう)
意味: ある目的・条件・要求にうまく当てはまること。ふさわしいこと。かなっていること。そのさま
自業自得(じごうじとく)
意味: 自分の行為の報いを自分自身が受けること。一般的に悪行の報いを受けることをさす。仏教から来た言葉
「残当」の対義語
「残当」の対義語もあわせて確認しましょう。
理不尽(りふじん)
意味: 道理に合わないこと。矛盾していること。筋が通らないこと。そのさま
不条理(ふじょうり)
意味: 筋道が通らないこと。道理に合わないこと。そのさま
無理(むり)
意味: 物事の筋道が立っておらず道理に合わないこと。そのさま
不合理(ふごうり)
意味: 理屈や道理に合っていないこと。筋の通らないこと。そのさま
納得できない(なっとくできない)
意味: 理解できず得心できない・腑に落ちないといった意味の表現
「残当」の使い方・例文
ここでは、「残当」の使い方をご紹介します。次の例文を参考にしてください。
「残当」の例文
- 信号無視による車両の自損事故は残当だといえる
- 私に接触してきた自転車が数メートル先で転んだ。心の中で残当だと思った
- 試験対策をしてなかったから試験に落ちたことは残当だし、この先不安しかない
- ネチネチと嫌味な課長が左遷されたこと、残当だと感じた社員は多いだろうね
- 主力選手ばかり放出しているチームの連敗記録は残当でしかない
- 拝金主義の〇〇球団は入場チケットや飲食物の価格を上げたことで、入場者数が減ったらしいよ。残当だよね
「残当」はビジネスシーンでは使用しない
「残当」はインターネットスラングです。あくまでもネットを利用する人に通用する言葉なので、ビジネスシーンでの使用は適していません。中にはインターネットスラングを仕事で使われることに不快感を覚える人もいます。
「残当」を使うときは、ビジネスシーンではなく個人間のやり取りに留めておきましょう。
「残当」の意味を理解しましょう
「残当(ざんとう)」は「残念だが当然」が省略された言葉です。インターネットスラングに分類されます。予測していた事態が起きたときに、その感想として使うのが「残当」です。ただし、「残念である」という意味ではなく、「そうなって当然」や「妥当である」というニュアンスで使用されています。
「残当」の由来は大型電子掲示板2chのフェイクニュースです。この機会に覚えておくのもいいでしょう。また、「残当」の使い方は例文を参考にしてください。
「残当」はあくまでもインターネットスラングなので、聞き馴染みがあってもビジネスシーンでの使用は避けてください。
本記事でご紹介した「残当」の類語・言い換え・対義語はインターネットスラングではないので、日常会話やビジネスシーンでの代替とするのもおすすめです。