DIにSCADAが有効なワケ
しかし、既存のタッチパネルやPLC(Programmable Logic Controlle)を用いてDIのデジタル化に対応しようとすると「ALCOA+への抵触」「膨大な開発工数の発生」といった課題があるという。
例えば、各工程のタッチパネルで貯めたデータを1つに集約する際に、テキストデータ(CSVファイル)にする必要があり、改ざん可能性などが出てきてしまう。また、各ユーザーの入力権限などを設定する場合、機器1台ずつの登録が必要なため、膨大な開発工数がかかる。
そこで、リンクスが提案しているのが、監視制御やデータ取得を行うシステム、SCADAを用いたDI対応だ。SCADAはもともと、さまざまな機器からのデータを収集し、プロセス制御と監視を行うシステムであり、DI対応にも適しているという。
リンクスは、2017年よりSCADAを軸としたプラットフォーム「zenon」を取り扱っている。zenonは、オーストリアのザルツブルグに本社を置くCOPA-DATAが開発し、リンクスが販売代理店を務める。
村上社長はzenonの優位性を「zenonはSCADAとHMIが同一の構造を持つシステムで、すべて同じソフトウェア上で動くことがメリット。それぞれのタッチパネルで集めたデータを1つのソフトウェア上で管理できる。ユーザーの権限設定なども同一ソフト上なので、タッチパネルごとに設定する必要はない」と説明する。
zenonでは、あらゆるイベントを監査証跡として必要な情報を網羅した形で記録し、改ざん不可能な電子記録として保存することができ、上限値などを設定することで、超えた際にアラームを通知し、その記録を残すこともできる。
また、zenonはDIだけでなく、MES(Manufacturing Execution System)やPLCの機能も取り込むことができるため、その先を見据えたDXへの対応も可能だとしている。また、ライン管理システムとしてデータの一括検索やレポート生成なども可能だ。
リンクスによるとzenonは、国内では、製薬メーカー10社前後に導入されており、そのうち数社が国内全工場への導入を行っているという。
製薬産業や電力産業では、常識になりつつあるDIへの対応だが、半導体といった他の産業にもこの動きが広まっていくとみられており、今後の規制当局や業界の動きに注目だ。