東京にいながら、全国各地の魅力を知ることができる47都道府県のアンテナショップ。その中の1つ、鳥取県・岡山県の共同アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」にて、「岡山地酒メディアセミナー」が開催された。
JR新橋駅銀座口から徒歩約1分の場所にあるとっとり・おかやま新橋館は、1階に鳥取県・岡山県それぞれの特産品などを販売するショップ、2階では鳥取・岡山の旬の食材を使った料理で、おもてなしならぬ"ももてなし"(桃と梨)をしてくれる「ビストロカフェ ももてなし家」が営業しており、訪れた人たちに両県の魅力を伝えている。
今回のセミナーは、"酒米王国"岡山の風土と地酒、食などを、メディアを通して多くの人に知ってもらおうという意図で実施されたものだ。
■県知事自ら岡山の魅力を語る
セミナーの開始にあたり、あいさつで登壇した岡山県知事 伊原木隆太氏は、冒頭から酒米(酒造好適米)の話題に触れ、「『山田錦』は美味しい上に造りやすく、バランスが良いので日本中で使われている。ただ、味ということで言えば『雄町米』だったんだよなあ、ということで今は岡山県内で雄町米が復活して広がっています。今日は雄町米、山田錦、朝日米、それぞれで造った日本酒の良さを飲み比べてみてください」と、岡山の地酒について熱弁。
また、7月~9月に開催される「岡山デスティネーションキャンペーン」についても触れ、「この期間に岡山にお越しいただくと、美味しい桃とぶどうもばっちり食べられますし、いろんなイベントも楽しめますので、ぜひよろしくお願いします!」と、短い時間ながら終始熱く岡山の魅力をアピールして次の公務へと向かって行った。
■"酒米王国"の理由とは?
続いて、岡山市在住でSSI認定きき酒師、ライターの市田真紀さんが登壇。オンラインゲストとして白菊酒造 渡邊秀造社長を迎えてトークが行われた。
日本酒専門ライターとして地元岡山で取材活動をしている市田さんによると、岡山県は良質な日本酒原料米が豊富に得られる「酒米王国」で、酒造好適米の生産量は、兵庫県、新潟県に次ぐ全国3位を誇っていると言う。
四大酒米(山田錦・五百万石・美山錦・雄町)のうち、雄町は全生産量の95%が岡山県産、山田錦は兵庫県に次ぐ全国第2位の生産量となっている(※令和3年産米の農産物検査結果令和4年3月31日現在)。
また、岡山県産の日本酒原料米「朝日」も、近年県外の酒蔵による使用が増えている。朝日は一般米では最も歴史のある品種の1つで酒米とはまったく違う性質があり、コシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなどのルーツとなっている品種。寿司のシャリ米としても好まれており、食べてよし、お酒にしてもよしのお米なんだとか。
■お酒とおつまみを試食!
現在、「ビストロカフェ ももてなし家」では「岡山県の日本酒deマリアージュ」として、岡山県産の米で造られた日本酒と、岡山県産食材の料理を楽しめるメニューが提供されている。
セミナー後半では、その中から日本酒の「5種類飲み比べセット」(900円)と「千屋牛のローストビーフ」(1,000円)、「蒜山チーズのミニグラタン」(680円)のマリアージュが試食することができた。
「5種類飲み比べセット」を左から順番に、おつまみと共に飲んでみた。
利守酒造「赤磐雄町 純米大吟醸」
雄町米を復活させて造り上げた純米大吟醸。ひと口目の味わいがやわらかく、ローストビーフの赤身肉の旨味を最大限に引き出してくれる。周囲の声を聞いても、今回の飲み比べでも好評の様子だった。
辻本店「御前酒 純米 美作」
立ち昇る穏やかな香りとしっかりした味わい、舌に雄町米の旨味が残る。ローストビーフに塩麴のソースを少々かけるととてもマッチしていた。
十八盛酒造「十八盛 山田錦 純米」
岡山県産山田錦を100%使用した純米酒。上品な味わいが、まろやかなホワイトソース、チーズ、じゃがいも、カリカリのじゃこが乗った「蒜山チーズのミニグラタン」とのマリアージュでより鮮明に感じられる。濃厚なチーズの香りと味わいを消すことなくより引き立たせる上質なお酒。
菊池酒造「燦然 純米吟醸 朝日」
岡山特選米「朝日」を使用して醸した純米吟醸酒。朝日ならではの口当たりがやわらかく、そっと膨らむ感じの味わい。
白菊酒造「大典白菊 トリプルA」
岡山県産の朝日、アケボノ、アキヒカリの3つを組み合わせた純米酒で、頭文字をとってトリプルAと名づけられている。精米歩合 73%と、あまり磨かずに造られており、米の旨味が楽しめる。ひと口でパッと明るく華やかな味わいを感じるお酒。旨味はあるが軽やかに飲むことができる。
岡山の風土はあまり雨が降らない「晴れの国」ということで、安定した気候で栽培される米と個性豊かな水質の違いもあることから、多様な味わいの酒を生み出している。5種類を試飲して、その味わいの違いがはっきりと感じられた。
日本酒飲み比べセットには、他にも「純米飲み比べ」「品種別飲み比べ」「雄町飲み比べ」「吟醸飲み比べ」が、各600円で楽しめる。
料理もフルーティな純米大吟醸に合う甘酸っぱい珍味「しゃりしゃりレモン」(480円)、旨味たっぷりな牡蠣で純米酒がススむ「日生牡蠣のしぐれ煮」(680円)、そのほか「岡山食べ比べセット」(1,500円)など、岡山ならではのメニューが取り揃えられている。
東京在住のビジネスパーソンにとっては、なかなか出張に行く機会もなかったここ数年だけに、まずは新橋に立ち寄って地酒とおつまみで岡山の魅力を体感してみてはいかがだろうか。
■Information
とっとり・おかやま新橋館
【場所】港区新橋1-11-7 新橋センタープレイス