……ちょ待てよ。誰だって二度見するでしょ、こんなの。
ええ、かつやですよ、かつや。その店頭に貼ってあるポスターをごらん。
一応、もう少しズームしようか。
「大人のためのお子様ランチ」ーー誰だコレ考えたの? 天才か!!
ということで、店の前を素通りなどできるはずもなく、吸い込まれるように入店。さっそくその全容をレポートしよう。
こういう大人向けのお子様ランチを待っていた!
大人のためのお子様ランチ=「大人様ランチ」(759円)は、トンカツ・カツ丼チェーンの「かつや」が5月12日に販売を開始した期間限定メニューだ。
発売の告知がなされた時点でネットは大いにザワつき、「見てるだけでワクワクする」「神メニュー! 」「こんなの待ってた! 」「夢叶った!ありがとう~! 」と大賑わい。
うん、確かにこれは強く心が惹かれる。ファミレスのメニューでお子様ランチを目にするたびに、ちょっと食べたいなって思う自分がいたもの。でも大人はオーダーできなかったりするし、もしできても、さすがにちょっとお子様ランチを注文するのは憚られるというか……量的にも大人の胃袋には足りないだろうし。だからこそ、まさにこういう大人のお子様ランチの登場を待っていたのだ!
ということで、店頭のポスターに目が釘付けになったまま脇目もふらずに入店。もう着席しても、「大人様ランチ」にしか目が行かない。ああ、もう完全に心を奪われてやがるぜ……。
内容は「オムカレー」「海老フライ」「タルタルチキンカツ」「ウインナー」。う~ん、いいメンツだ。特にウインナーからはかつやの並々ならぬ遊び心が感じられる。
メニューを開くまでもなく、すぐさま店員さんにオーダー。実際に卓に届いたのがコチラ。
お、おお……
す、すげぇ! 実際に「大人様ランチ」を目の当たりにすると、結構なインパクトである。絵力が強いというか、情報量が多いというか。でも確かに、子どもの頃に食べたお子様ランチって、こういうゴージャスさというか、全部が揃っているスペシャル感みたいなものがすっごく嬉しかったんだよなぁ~(遠い目)。
さぁ、どこから手を付けるか……まぁでもここはやっぱり海老フライでしょ!
う~ん、サクサクしててうんまい! 海老の身がギッシリ詰まっている……とまでは言わないが、揚げたてでアツアツの衣に海老のプリプリした食感がたまらない。クリーミーでミルキーなタルタルソースもめちゃくちゃ合う。やはり海老フライはお子様ランチの主砲だ。これは絶対ないとダメ!
さて、続いてはウインナーさんに行ってみよう。メニューを見ただけではわからなかったけど、しっかりフライにされているあたり、かつやの矜持を感じるではないか。ガブッと食べてみると……
ふっ……めっちゃ好き(笑)。あまりの懐かしさに、思わず笑みがこぼれてしまう。めちゃくちゃ久しぶりに食べたけど、これはこれでものすごく美味い! そうそう、こういう味だったわ~、赤いウインナーって。そこに薄めの衣が食感的な魅力をプラス。こういうさりげない心遣いが「大人のためのお子様ランチ」っていう感じがするなぁ。
そろそろ炭水化物がほしいな。ということでオムカレーをパクッ。
“オム”の部分うまっ! ふわっふわで、卵の火加減、完璧! カレーはもうビックリするくらい辛みゼロ!(笑)。いや、なんだろう。ちゃんとスパイスというか、カレーの味はするんだけど、徹底的に唐辛子由来の辛みが省かれているというか。これはきっと意図的だろう。
「大人のためとはいえ、『お子様ランチ』を謳っている以上は辛みがないことが正義ではないでしょうか! 」
ーーという声が商品開発中の会議で上がり、その意見が多数決で採用されたものと推察する。正しい。圧倒的に正しい! 辛さなんて全然必要ない! だって、辛かったらお子様じゃなくなっちゃうもの……!
当然、チキンカツも安定のうまさである。柔らかくてジューシー。衣の量も完璧だし、タルタルソースも最高。「大人のためのお子様ランチ」であることを考えると、トンカツじゃなくて、チキンカツっていうところもミソな気がするなぁ。トンカツだとちょっと強すぎるというか。我々が求めているのは、あくまでメンツは“お子様ランチのメンツ”で、クオリティが大人仕様ってことなのよ。かつやさんはそのへんをよくわかっていらっしゃる。
ちなみにこの「大人様ランチ」、どの揚げ物もオムカレーとめちゃくちゃ合う! というか、オムカレーと揚げ物を一緒に食べると、めちゃくちゃワンパクな味になるのだ。
それはまるで、子どもが思う「贅沢」の価値観をそのまま大人用にスライドさせたかのような、「美味しいものと美味しいものを足したら超美味しいに決まっているでしょ! 」と言わんばかりの冒険的なチャレンジがハートのド真ん中を射抜いてくる。
ううっ、カロリー的にはドロドロなんだろうけど、なんだか心が洗われていくようだ。うまい。うまいよっ!
ちなみに、店内にいたお客さんの半分くらいがこの「大人様ランチ」をオーダーしていたのも印象的だった。やっぱりみんな食べたいんだなぁ。
ひとつ注意点としては、揚げ物と一緒にオムカレーをバクバク食べていると、カレーソースが不足することは覚えておいてほしい。おかずで埋め尽くされているからわかりにくいが、実はご飯がかなり多いので、海老フライと一緒にオムカレー、ウインナーと一緒にオムカレー……と調子に乗って食べ進めていると、最後にライスだけ余ることになる。ときおり海老フライとライス、ウインナーとライスと食べておけば、最後まで幸せが均等化されるはずだ。
超高級食材とは正反対のところに位置するようなメニューだが、これはこれでひとつのご馳走のカタチである。「お子様ランチ」という言葉に心がウズウズする大人は必食だ!
ちなみにテイクアウト用の「大人様ランチ弁当」(745円)もあるのでこちらも要チェック。