新たな土地での生活を気持ち良く始めるために、引っ越し日は縁起が良い日取りを選びたいところ。六曜(ろくよう)は縁起を考えるときによく用いられますが、六曜の中でも引っ越しに適さないといわれるのが「赤口(しゃっこう)」です。
本記事では六曜や赤口の意味を踏まえつつ、引っ越しとの関係性を解説します。引っ越しが赤口でも縁起UPできる対策法や、赤口以外で引っ越しを避けるべき縁起の悪い日、逆に引っ越しに適した縁起の良い日などを説明します。
赤口に引っ越しするのは避けた方がいい?
詳しくは後述しますが、赤口は24時間のうち2時間しか縁起の良いとされる時間帯がない日です。また、火の元と刃物にも注意とされています。赤口に引っ越しを予定するのは問題ないのでしょうか?
赤口に引っ越すのは、縁起を気にするなら避けた方が無難
赤口は日常生活において火と刃物に注意を払うべき、と考えられている日です。住宅にとって火事は一番避けたい災害の一つ。「引っ越しの段階から縁起の悪いことをしたくない」との思いから、赤口以外に引っ越しの日取りを決める人も多くいます。
赤口は引っ越し料金が安い場合も
赤口の引っ越しは縁起を担ぐ意味で避けられがちです。一方で引っ越しの予定を赤口にすると、引っ越し業者の費用を安く抑えられるかもしれないというメリットもあります。
引っ越し料金が安くなる可能性があるのは、特に午後の時間帯。午前中の作業の遅れが原因で、午後からのスケジュールが後ろ倒しになるのを避けたい人が多いことが理由としてあげられます。時間に余裕があり、縁起を気にしないならば、赤口の午後に引っ越しを予定するのも一つの手といえるでしょう。
そもそも赤口(しゃっこう・しゃっく)とは
赤口の意味について、もう少し詳しく見ていきましょう。
赤口は縁起を左右する六曜の一つ
赤口は、毎日の吉凶を表す指標である六曜の一つです。六曜の由来には諸説ありますが、中国で生まれ、14世紀ごろに日本へと伝来、江戸時代の終わりごろから世間一般に広く知られるようになったといわれています。
六曜には、先勝(せんしょう)・友引(ともびき)・先負(せんぶ)・仏滅(ぶつめつ)・大安(たいあん)・赤口の6種類があり、基本的に先勝から順番で、一日ごとに巡ります。
赤口の由来
赤口は陰陽道(おんみょうどう)の凶日の一つです。太歳神(たいさいじん)の王都にある東門の番神である赤口神は、8体の鬼を使役していたといいます。そのうちの1体が人間も生き物もすべてを悩ませるため、その鬼の当番日を赤口日としていたことが由来とされています。
赤口は暦上、縁起が悪いとされる日
陰陽道を由来とする赤口は、六曜において仏滅に次いで縁起が悪い日と考えられています。特に赤口の「赤」から火あるいは血をイメージしやすいといわれることも。そのため火の元と刃物の取り扱いは慎重かつ注意すべきとされており、お祝いごとに適さない日でもあります。
お昼どきは吉の時間帯
赤口は一日のうち大半が凶の時間帯ですが、午(うま)の刻と呼ばれる午前11時から午後1時あたりまでは吉とされます。どうしても避けられない予定を入れる場合は、お昼前後に予定を入れるといいでしょう。
引っ越しが赤口でも縁起UPできる対策法
縁起が良い日に引っ越ししたいと思っても、空きがなく赤口しか指定できないこともありますね。有効な対処法を覚えておけば、赤口の引っ越しを余儀なくされたときに不安を少しでも払拭(ふっしょく)できますよ。
時間帯は午前11時から午後1時まで
縁起が悪いとされる赤口でも、午前11時から午後1時あたりまでは縁起が良いとされる時間帯です。吉となる時間帯のうちに家財道具の搬入・搬出などの作業を終えることで、縁起を担いで引っ越しできるでしょう。ただし、道路の混雑状況などで多少時間が前後することも考えられますので、余裕を持った時間設定をするのがおすすめです。
縁起の良い日にちに、小さい荷物を運び入れておく
作業前から引っ越し先に入れるようなら、あらかじめ自分で荷物を運び込んでおくといいでしょう。縁起の良しあしを決めるのは引っ越しを終えた日ではなく、最初に荷物を搬入した日だという考え方があるからです。その後で赤口の日に引っ越し業者を使って引っ越しする場合でも、縁起の悪さを軽減できます。
事前に引っ越し先へ運び込むものとしては、毎日使用する食器類が好ましいといわれています。
引っ越し先に縁起物を配置
引っ越し予定日の前に縁起が良い道具を運び込むと、赤口がもたらす悪い運気を緩和できるとされています。代表的な縁起物は観葉植物や神棚などです。
お供え物
古くから日本では、神様へのお供え物としてお酒が用いられてきました。引っ越し先にも事前にお酒を運んでおくことで、無理なく縁起が担げます。
事前に荷物を搬入できないケースでは、玄関に塩を盛っておくとお供え物を持参したときと同等の効果が得られるでしょう。
一足早く引っ越し先で過ごす
引っ越し先に泊まった日も、正式な引っ越し日と考えることができます。赤口の日の引っ越し前に、新居で一晩過ごすといいでしょう。
神社を参拝
引っ越し先に近い神社を訪れ、氏神様にごあいさつしておくと縁起の悪さが軽減されるといわれています。氏神様は土地の守り神のこと。敬意を払って参拝してください。
また、赤口の引っ越しに対する不安を払しょくしたいなら、神社でお祓い(おはらい)やご祈祷してもらうのも手です。授かったお札は引っ越し先に貼り、ご利益を得ましょう。
赤口以外で引っ越しに不向きな日取り
引っ越しに適さないとされるのは赤口だけではありません。赤口だけに気を取られるあまり「実は縁起が良くない日だった…」とならないよう注意することが大切です。
先負(せんぶ・せんまけ・さきまけ)
六曜の先負は、平穏にゆっくり過ごすのが吉とされる日。避けたほうがいいとされるのは勝負事と急用で、引っ越しにもあまり向いていないとされています。
ただし先負でも午後の時間帯は吉とされるため、引っ越しの予定をずらせないときは午後を選ぶようにしましょう。午後は引っ越し料金が比較的安いので、お得に作業を済ませられるかもしれません。
仏滅(ぶつめつ)
同じく六曜の仏滅は終日縁起が悪いとされる凶日で、おめでたい行事には適さないとされています。新生活のスタートである引っ越しなので、仏滅はあまり人気が無いようです。そのため、業者によっては引っ越し料金を安く設定していることがあるので、縁起と料金との兼ね合いを考慮して判断しましょう。
一方で、仏滅はかつて「物滅」と表記されていたこともあり「古いものが滅び、新しく物事が始まる」というとらえ方をされることもあります。引っ越しは新しい暮らしの始まりであるため、仏滅にするのがいいと考える人もいるようです。
不成就日(ふじょうじゅび)
「成就せざる日」と書くように、不成就日は「すべての物事が成就しない、かなわない日」のこと。新しいことを始めてもうまくいかないと考えられており、引っ越しにも不向きとされます。
三隣亡(さんりんぼう)
三隣亡は「家を建てると、三軒隣までの範囲を滅ぼす」との意味を持つ日。特に建築業界では以前から大凶日とされ、上棟式など建築関連の作業が敬遠されてきました。引っ越しも住宅に関係する作業であるため、三隣亡の引っ越しは避けたほうが無難です。
土用の日(どようのひ)
土用の日は「土に流れる気が変化する」といわれており、土いじりや木を抜くことはNGとされてきました。土用の日に避けるべき物事には住宅の改築や引っ越しも含まれています。
なお土用の日は一日のみではなく、年に4回、それぞれ約18日間訪れる期間を指します。ただその期間中に、土を動かしても大丈夫な日として「間日」が設けられています。土用の期間中に引っ越しを予定していて、縁起を気にするなら間日を狙うのもいいかもしれません。
縁起の良い引っ越しの日取り
縁起が良い日に引っ越しできれば、気分よく新生活を送れるはず。引っ越しの吉日を確認して日取り決めの参考にしてください。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび・いちりゅうまんばいにち)
一粒万倍日の意味は「一粒のもみが育ち、一万倍もの実りとなる」こと。あらゆる物事を行うのにいい日とされています。
また後述する天赦日や大安と重なると、さらに強運な日になるといわれています。
一粒万倍日/天赦日/大安吉日/寅の日が重なる日は? 2023年最強開運日カレンダー
天赦日(てんしゃにち・てんしゃび)
「すべての罪を天が赦(ゆる)す日」との意味があり、一年に数日しかない貴重な吉日。何をするにしても縁起が良い日とされており、引っ越しのタイミングとしてもぴったりでしょう。
大安(たいあん)
大安は六曜の中で一番縁起が良い日とされており、お祝いごとの日取りとして人気があります。凶の時間帯は存在せず、24時間すべてが吉の時間帯。引っ越しも新生活がスタートする大事な出来事なので、大安にすると縁起が良いでしょう。
友引(ともびき・ゆういん)
友引は、六曜の中で大安に次いで縁起が良い日と考えられています。お昼を除くすべての時間帯で縁起が良く、凶にあたるのはお昼のみ。引っ越しは午前と午後にわけて作業し、昼は休憩を長めにとるなど工夫すると吉です。
先勝(せんしょう・せんかち・さきがち)
六曜の先勝の意味は「先んずれば、すなわち勝つ」。急いで物事を行うのがいいとされる日で、午前中は吉の時間帯にあたります。午前のうちに作業を終えるよう、早いうちから作業に取りかかるといいでしょう。
天恩日(てんおんにち)
天恩日はお祝い事に適しており、引っ越し日としても好ましい日といえるでしょう。
大明日(だいみょうにち)
大明日は「太陽の光によって隅々まで広く照らされる」とされる日。先の生活を見通せると考えられることから、引っ越しなど未来につながることに適しています。
月徳日(つきとくにち・がっとくにち)
月徳日は「該当月の福徳を得られる」とされる吉日。月平均で2~4日ほどが月徳日にあたります。
赤口に引っ越しをする場合でも、過度に気にしないように
赤口は六曜の中で2番目に縁起が悪く、火と刃物は注意して扱う必要があるとされる日。一日のほとんどの時間が凶にあたるため、赤口を避けて引っ越しする人が多いようです。
やむなく赤口に引っ越しするなら、験(げん)を担ぐ方法として新居に盛り塩や観葉植物を置きましょう。また前日までに持ち物をある程度運び込んでおけば、正式な引っ越しの日を前倒しすることができます。氏神様にお参りしてあいさつするのもよいでしょう。
ですが、六曜の役割は占い的なものであり、絶対的なものではありません。あまり縁起だけを気にし過ぎずに、さまざまな角度から検討して、自分の納得できる日を引っ越し日に選ぶといいでしょう。