前局に続いての入玉、今度は里見が捕まえる
里見香奈女流王位に西山朋佳白玲・女王が挑戦する第33期女流王位戦五番勝負(主催:新聞三社連合)の第2局が5月11日に北海道札幌市「京王プラザホテル札幌」で行われました。結果は161手で里見女流王位が勝ち、五番勝負の成績を1勝1敗としました。
本局は里見女流王位の先手番から、里見女流王位が中飛車、西山白玲・女王が三間飛車に振りました。手番こそ異なりますが相振り飛車となったのは前局と同様です。こちらも第1局同様、長い中盤が続きました。前局は239手という長手数でしたが、本局も100手を超えた時点でも、本格的な戦いが起こる気配がありません。ただ結果として、西山白玲・女王はこの辺りでは不本意な手を多く指してしまったと振り返っています。
一つのポイントが124手目の局面で、西山白玲・女王は△4三歩と銀取りに打ちました。▲同銀不成と銀の位置を変えてから△8五歩と飛車取りに歩を伸ばします。ですがここで飛車取りに構わない▲1三角成が英断の一着で、△同香は▲3六飛とさばく味が絶品です。こうなると後手は飛車の成り込みが受かりません。実戦は▲1三角成に△8六歩と飛車の方を取りましたが、▲3五馬と攻防に利く位置に馬を据え、里見女流王位がリードしました。
局後の検討では△4三歩に代えて、△4六角▲同飛△8七角という順が示されました。結果的にはそちらのほうがよかったようですが、△4六角▲同飛の形は次の▲3六飛を相当に防ぎにくいので、実戦的には選ぶのが困難とも言えそうです。
以下、西山白玲・女王は第1局と同様に入玉を目指して頑張りますが、今度は里見女流王位が入玉した玉を捕まえて、161手の熱戦に終止符を打ちました。西山白玲・女王の女流王位戦における無敗記録は10連勝でストップしました。
両者は女流王位戦と並行して、マイナビ女子オープンでも五番勝負を争っている最中ですが、いずれの星取りも1勝1敗の五分となりました。最後にどちらが抜け出すのか、全く予想がつきません。女流棋界の頂上決戦に要注目です。
相崎修司(将棋情報局)