西九州新幹線N700S「かもめ」を使用した車両走行試験がスタートし、5月10日の新大村駅、諫早駅、長崎駅に続き、5月11日は嬉野温泉駅、武雄温泉駅へ「かもめ」が初入線した。両駅とも各自治体による歓迎セレモニーが開催された。
車両走行試験は整備主体の鉄道・運輸機構と営業主体のJR九州が共同で実施。土木構造物・軌道・電車線・信号設備の機能確認を目的に、営業用の新幹線車両を使用して走行試験を行う。5月10・11日は線路や架線の状態を確認する入線・架線試験を実施し、速度45km/h(駅構内は30km/h)で走行。5月10日の試験では、駅間での停止等も行いつつ、往路の新大村~諫早間を1時間以上、復路の長崎駅から諫早駅まで2時間以上かけて走るなど、入念に試験が行われた様子だった。
2日目となった5月11日の試験はおおむね順調に進んだようで、武雄温泉駅では当初の予定通り、11時15分頃、「かもめ」が新幹線上りホーム(11番のりば)に入線した。これに合わせ、新幹線下りホーム(12番のりば)で武雄市による歓迎セレモニーを開催。武雄市長の小松政氏が、「(西九州新幹線の)開業まであと135日。みんなで盛り上げていきましょう」と呼びかけた。地元園児らが歓迎セレモニーに参加し、入線する「かもめ」を歓迎。園児から運転士へ花束贈呈も行われた。
「かもめ」は武雄温泉駅で約20分間停車した後、いったんホームを離れたが、歓迎セレモニーの終了後、再び新幹線上りホームに戻ってきた。武雄温泉駅での試験は午後まで行われたという。「かもめ」を使用した車両走行試験は6月16日まで行われ、列車走行はのべ15日程度、武雄温泉~長崎間で1日1~3往復の走行を予定している。走行速度は30km/hから260km/hとされ、低速度から段階的に速度を上げて設備の確認を行うとしている。
西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)は9月23日に開業予定。「対面乗換方式」で運行され、武雄温泉駅にて「リレーかもめ」など博多方面からの在来線特急列車と西九州新幹線「かもめ」の乗換えを行う。新幹線ホームは2面2線で、新幹線上りホーム(11番のりば)と在来線特急列車の停車ホーム(10番のりば)を同一ホームとすることにより、スムーズな乗換えが可能な構造としている。
在来線ホーム側の駅名標は次の停車駅の駅名を隠していたが、新幹線上りホーム側の駅名標を見ると、次の停車駅として「うれしのおんせん」(嬉野温泉駅)に加え、在来線特急列車の停車駅である「こうほく」(江北駅。西九州新幹線の開業に合わせ、肥前山口駅から改称予定)の駅名も。一方、新幹線下りホーム(12番のりば)の駅名標は「うれしのおんせん」のみ記していた。