昨年10月期に放送された小栗旬主演のTBS系日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』が、「第30回橋田賞」で橋田賞に選出され10日、都内で行われた授賞式に東仲恵吾プロデューサーが出席した。

  • 東仲恵吾プロデューサーと脚本家の橋本裕志氏

脚本家・橋田壽賀子さんが理事を務めていた橋田文化財団が主催し、日本人の心や人と人とのふれあいを温かくとりあげてきた番組と人に贈られる同賞。『日本沈没―希望のひと―』は「日本人の温かさを感じさせるドラマ。日曜劇場らしい手堅い俳優陣に「地球温暖化」など昨今のエッセンスを加え、見ごたえのある内容だった。49年前の原作をタイムリーな企画として蘇らせることに成功した」として受賞した。

東仲プロデューサーは「小松左京先生が描いた不朽の名作を約50年ぶりによみがえらせるということで、どのようなことを描くか、かなり議論しながら制作してきました。原作にもありました環境問題を主軸としまして、今の時代だから描ける環境を描きつつも、沈んでいくという困難な状況の中でどのようにしてみんなで立ち向かっていくかという人間ドラマ、特に困難な状況でも諦めないで立ち向かっていく主人公の姿や、人々の絆を深く描きたいと思いました」と説明。

「脚本の橋本さんや、小栗旬さんをはじめとしたキャストの皆様、監督をはじめとしたスタッフの皆さんが、作品に対して一つ一つ魂を込めてくださり、このような作品になったと思っています。大変感謝申し上げたいと思います」と感謝し、「映像になっていったときに、こんなにもどんどん世界が広がって人間ドラマとして描けるんだなということを深く痛感した作品でありました。このような賞をいただけて光栄に思っていますし感無量でございます。ありがとうございました」と語った。

脚本を手掛けた橋本裕志氏も、本作と『エアガール』(テレビ朝日)が評価され橋田賞を受賞。スピーチで「両作品とも困難の中で希望を未来につないでいくお話でした。たくさんのスタッフ、キャストの方々がさまざまな困難を乗り越えてくださったおかげで完成した作品です。改めて皆様への感謝の思いがこみ上げます。ありがとうございました」と挨拶した。

1973年に刊行された小松左京氏による不朽の名作『日本沈没』を原作にしたこのドラマは、主人公を含め登場人物をオリジナルキャラクターにし、2023年の東京を舞台に展開、原作でも描かれていた環境問題を現代版にアレンジし、沈没という目に見えない危機が迫る中で見出していく希望をテーマに描いた。

「第30回橋田賞」受賞一覧

■橋田賞大賞
該当なし

■橋田賞
『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』(NHK)
『日本沈没-希望のひと-』(TBS)
橋本裕志(脚本家)
東山紀之(俳優)
中田喜子(俳優)
仲野太賀(俳優)
井上貴博(アナウンサー)

■橋田賞新人賞
杉咲花(俳優)
吉沢亮(俳優)

撮影:加藤千雅