1年を通じて、料理に青々とした色味を添えてくれる小松菜。さっと湯通しすれば茎はシャキシャキ、葉はしっとり。ほうれん草などその他の葉物野菜に比べてクセが少なくあっさりと食べられます。
小松菜の主な栄養素はカリウムや鉄分、β-カロテン、ビタミンC、食物繊維など。小松菜とほうれん草ではどちらに栄養がある?と疑問に思う方もいるでしょう。本記事では小松菜の栄養素と効能について詳しく解説。ほうれん草との栄養素の違いや調理法、保存方法などもご紹介します。
小松菜とは
小松菜は、アブラナ科アブラナ属の緑黄色野菜です。その昔、東京の小松川(現在の江戸川区)の周辺で多く栽培されていたことから、小松菜と名付けられたといわれています。今でも、関東の雑煮には欠かせない具材となっています。
小松菜の種類には、寒さで葉が縮まったちぢみ小松菜、春先に出回る鶯菜(うぐいすな)、やわらかくサラダ向きのサラダ小松菜などがあります。
小松菜の旬とは
葉物野菜らしく、旬は冬。11~翌3月ごろとされ、寒い時季の野菜のため、冬菜・雪菜とも呼ばれます。寒さに強く、霜が降りるほど寒い頃のほうが甘みが増して葉もやわらかいとされています。主な産地は埼玉や東京といった関東地方。全国の生産量の半分以上を関東地方が占めるほどといわれています。
小松菜の栄養素と効能
小松菜に含まれる栄養素と、どのような効能があるのかをご紹介します。
<小松菜の栄養素>※生、可食部100グラム当たり
エネルギー: 13kcal
・水分: 94.1g
・食物繊維: 1.9g
・カリウム: 500mg
・カルシウム: 170mg
・マグネシウム: 12mg
・リン: 45mg
・鉄: 2.8mg
・β-カロテン: 3100μg
・ビタミンE: 1.0mg
・ビタミンK: 210μg
・葉酸: 110μg
・ビタミンC: 39mg
β-カロテン
小松菜の栄養素で代表的なものは、やはりβ-カロテンです。β-カロテンの主な効能は、抗酸化作用。これは、体の老化の原因ともなる活性酸素の生成を抑えたり、除去したりすることをいいます。
また、β-カロテンは体内でビタミンAとなります。ビタミンAは皮膚や粘膜を健やかに保つことで免疫力向上につなげたり、目の状態をサポートしたりするという効能があります。
ビタミンC
ビタミンCもまた、抗酸化作用のある栄養素です。シミやそばかすを防いだり、免疫力向上につなげたりする効能があります。また、コラーゲンの生成に必要な栄養素のため、潤いや張りのある美肌に導きます。
カリウム
小松菜にはカリウムも多く含まれています。カリウムは体の余分なナトリウムを排出したり、水分バランスを調整したりする効能があり、高血圧やむくみなどの症状を防止するのに役立つ栄養素です。
カルシウムや鉄などのミネラル
小松菜には、カルシウムや鉄といった、日常生活で不足しがちな栄養素も豊富です。カルシウムは骨や歯を丈夫にする、精神を安定させるなどの効能があり、鉄は疲労や貧血の症状を防ぐとされる栄養素です。ただし、小松菜などの野菜に含まれるカルシウムは、ビタミンDと一緒だと吸収率がアップするとされています。ビタミンDはしらすや鮭などの魚類や、きのこ類に多く含まれています。
小松菜とほうれん草、どちらが栄養がある?
小松菜の栄養素を見てきましたが、ほうれん草との違いが気になる方もいるでしょう。ここでは、上記で紹介した栄養別に、小松菜とほうれん草の違いを紹介します。※生、可食部100g当たり
・β-カロテン
小松菜: 3100μg
ほうれん草: 4200μg
・ビタミンC
小松菜: 39㎎
ほうれん草: 35㎎
・カリウム
小松菜: 500㎎
ほうれん草: 690㎎
・カルシウム
小松菜: 170㎎
ほうれん草: 49㎎
・鉄
小松菜: 2.8mg
ほうれん草: 2.0㎎
・食物繊維
小松菜: 1.9g
ほうれん草: 2.8g
小松菜には鉄とカルシウムが多い
上記の数値を比較すると、小松菜は鉄とカルシウムがほうれん草よりも目立って多いことが分かります。しかしβ-カロテンやカリウムも、ほうれん草には劣るものの、野菜全般の中では豊富です。
小松菜の栄養を効率よくとる食べ方
小松菜に含まれるビタミンCやカリウムは水に流れ出す性質があります。長時間、水にさらしたりゆでたりするとせっかくの栄養素がとれなくなってしまう可能性も。ゆでずに電子レンジで加熱する、などの工夫をしてみましょう。
小松菜の栄養は炒めると吸収率アップ!
小松菜に多く含まれるβ-カロテンは脂溶性。油との相性がよく、一緒にとることで吸収率がアップします。油を加えて炒め物にすれば、緑色もぐんと鮮やかになって見栄えもよく仕上がります。
また、カルシウムはビタミンDを含む食材と一緒にとることで、吸収率も上がります。ビタミンDを含む食材とは魚類やきのこ類など。オイル添加タイプのツナ缶と合わせたメニューなら、カルシウムやβ-カロテンが効率よく摂取できるのでおすすめです。
小松菜の選び方
小松菜は葉の緑色が濃く鮮やかなもの、茎は薄い緑色をしているものを選びましょう。黄緑色っぽく変色しているのは、収穫から時間が経っているものなので避けるほうが無難です。
葉はみずみずしく張りのあるものがよいですが、大ぶりなものや葉脈が太くはっきりとしたものは、食感が悪い可能性があります。やわらかそうなものを選びましょう。
小松菜の洗い方
小松菜は根元の部分に土がたまってしまいがち。ボウルなどに水を張ったら根元を入れ、茎を押し広げるようにして土を洗い流しましょう。根元の方から包丁で十字を入れると、茎が広がって洗いやすくなるともいわれます。
小松菜の保存方法
小松菜は傷みやすいのですぐに使うことが理想ですが、そうでない場合はキッチンペーパーや新聞紙などで包み、冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。また、小松菜は生のまま冷凍することができます。根元まできれいに洗い、好みのサイズにカットしたら水気をよくふきとって冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。
もちろん、ゆでてから冷凍することも可能です。ゆでてからカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。その場合も、水気をしっかりふきとることを忘れないようにしましょう。冷凍した小松菜は、凍ったまま調理に使うことができます。
小松菜の栄養は冷凍するとどうなる?
小松菜に限らず食品の栄養素は、一般的に冷凍しても損失は少ないとされています。ただし、ゆでてから冷凍した場合、ゆでる際に水に流れ出る栄養素もあります。小松菜はできれば生のまま冷凍し、汁物や炒め物に使うのがおすすめです。
小松菜は栄養たっぷりの野菜
小松菜は栄養豊富な緑黄色野菜のひとつ。β-カロテン、ビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄などの栄養素が多く含まれています。とくに小松菜とほうれん草では、小松菜のほうが鉄とカルシウムが多くなります。
小松菜の栄養素の中には、水に流れ出してしまうものもあります。ゆでるのではなく電子レンジ加熱をする、汁物は栄養素が溶け出た汁ごといただくなどの工夫をするとよいでしょう。また、β-カロテンの吸収率を上げるため、油で炒めるのもおすすめです。