お茶は日本人にとって身近な飲み物であり、縁起物として贈り物にされることもあります。そのお茶に関する言い伝えとして特に有名なのが、「茶柱が立つと縁起がいい」というものです。
そこで今回は、茶柱についてくわしくご紹介。茶柱とは何なのか、なんで立つのか、茶柱が立つとなぜ縁起がいいとされるのかなどについて解説します。
茶柱の意味とは
茶柱は「ちゃばしら」と読みます。意味は、お茶をついだときに茶碗の中に縦になって浮く、お茶の茎のことです。
お茶の原料が「お茶の葉」であることは多くの方がご存知でしょう。特に日本茶ではお茶の葉っぱの部分を中心として使用します。しかし、希に茎の部分が一緒に入ってしまうことがあるのです。茶柱とは、その茎の部分のことを指します。形状がまるで柱のように見えることから茶柱と呼ばれるようになりました。
高級なお茶の場合、しっかりと葉の部分のみを選別することからあまり茶柱が混じってしまうことはありません。しかし、番茶のように安価なお茶の場合、茎が混入してしまうことがあります。
「茶柱が立つ」の意味とは
茶柱はそれだけでお茶に茎が浮いている状態を指しますが、一般的には「茶柱が立つ」と表現されます。
茶柱が立つと縁起がいいとするのは、日本で古くから伝わる伝承のひとつです。くわしくは後ほど紹介しますが、茶柱が立つというのはごく限られた条件下でしか起こらない現象なので、縁起がいいといわれるようになりました。
ここではまず、茶柱がなんで立つのかという理由をみていきます。
茶柱はなぜ立つの?
お茶にただ茎の部分が混じってしまっただけでは、立った状態で浮く、つまり茶柱が立つわけではありません。お茶の茎が茶柱となるには、茎が水分を吸収するスピードが関係すると考えられています。
茶葉に含まれた茎は、乾燥して内部に空気のあなが無数に空いています。茶葉にお湯を注ぎ、そして湯飲みに注ぐと、この空気のあなに水分が浸透し始めます。茎は両端から水分が浸透しますが、両端でそのスピードが異なり、どちらか一方だけが水分を多く吸収して重くなると、お茶の中で立ったようになるのです。
このように、茎が吸収する水分バランスが片寄ったときに、茶柱が立ちます。そのため、茎全体が水分を吸収するにつれて茶柱は沈んでいき、やがて湯飲みの底に倒れます。
茶柱が立つとなぜ縁起がいいの?
茶柱が立つと縁起がいいとされる理由には諸説がありますが、もっとも有力なのは「滅多に起こることがないから」だとされています。
茶柱が立つためには、まず茶葉に茎が混じっている必要があります。そしてお茶を淹れる際に、その茎が茶こしをすり抜けて湯飲みの中に入らなければなりません。その上で、茎の両端のどちらか一方が水を含んで重くならなければ、立つことはないのです。
つまり、茶柱が立つためにはクリアしなければならない条件が多く、滅多に起こらない現象とされているのです。そのため縁起がいい、幸運の予兆などとされるようになったと考えられます。
茶柱をわざと立たせるには
茶柱はさまざまな条件が重なってはじめて立つものです。では、茶柱は意図的に立たせることはできるのでしょうか。
茶柱を立てるコツとは
茶こしは目の細かいものが多く、そこをすり抜けて湯飲みの中に茎が入ることは滅多にありません。そのため、まずは茎を見つけてお茶に混ぜておく必要があります。番茶などであれば茶柱を見つけることはそれほど難しくはないでしょう。
しかし、単に茎を入れたからといって、お茶の中で立つとは限りません。どちらか一方が水を含んで重く、もう一方が軽い状態を作る必要があります。そこで、茶葉に混ぜる前に茶柱の一方を軽く潰して水を含みやすい状態にします。そうすれば湯飲みに注いだとき、茶柱が立ちやすくなるかもしれません。
茶柱が立ちやすいお茶とは
繰り返しになりますが、煎茶に比べて茎が混ざりやすい番茶のほうが、茶柱が立つ確率は高くなります。番茶は煎茶より品質が劣るとはされますが、より甘みや香りを感じやすいともいわれます。ぜひ試してみてください。
茶柱以外に幸運のジンクスとされるのは
茶柱が立つ以外にも、幸運のジンクスとされるものは存在します。特に有名なものをご紹介しましょう。
四つ葉のクローバー
四つ葉のクローバーを見つけると幸運が訪れるというジンクスは、広く知られています。四つ葉のクローバーは三つ葉のものと比較すると見つかりにくいこともあって、茶柱と同様に「滅多に見つけることができないもの」として幸運の象徴とされています。
また、四つ葉のクローバーは葉っぱの1枚1枚が富、名誉、健康、愛情を表すといわれており、幸せを表すシンボル、モチーフとされているのです。
ツバメが巣を作る
家にツバメが巣を作ると幸運が訪れる、というジンクスも聞いたことがあるでしょう。ツバメは巣作りにはできるだけいい環境を選ぶため、ツバメに選ばれた場所は災いが起こりにくいとされています。
縁起がいいとされる生き物
遭遇すると幸運が訪れるとされる生き物もいます。例えば、蛇に遭遇することは、人生の重要な人物との出会いを予兆するといわれています。その他にも、ヤモリが家にいると悪いことが起こらないというジンクスもあります。
茶柱が立つのは、縁起がいいこと
茶柱が立つためには、茶葉に茎が混じっていること、その茎が茶こしをすり抜けて湯飲みへ入ること、茎に含まれる水分量が両端で片寄っていること、などの条件をクリアしなければなりません。
なかなか起こらない現象であることから、縁起がいいこととして捉えられてきました。茶柱が立つ可能性は、煎茶より安価に手に入る番茶のほうが高くなります。お茶をいれる際の楽しみにしてみてください。