女優の江口のりこが、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、8日に放送される『ワケあり人生と部屋探し ~無理とは言わない不動産屋~』。ワケありな人生を抱える客たちの部屋探しに奔走する不動産屋・齋藤瞳さん(43)に密着した作品だ。
客のほとんどは、生活保護や心の病を抱え、「部屋を借りたい」と申し入れてもなかなか難しい人たち。それでも「無理」と言わず、いつも笑顔で諦めない齋藤さんの姿に、何を感じたのか――。
■お客さんを集めた交流会も…「計り知れない情熱」
収録を終えて、「めちゃくちゃ面白いドキュメンタリーでした。家ってすごく大事じゃないですか、そこに暮らしがあるわけですから。出てくる人たちも皆さんすごく印象的で、齋藤さんの明るさに救われている方がたくさんいるんだなと思いました」と振り返る江口。
特に印象に残ったのは、齋藤さんに住まいだけでなく、働く場まで用意してもらった小川さん(82)。「すごくお家の中をきれいにされてたんです。だから、家があって仕事があって、そういったことに感謝している人っていうのは、きれいに丁寧に暮らされてるんだなと思いました」と感じた。
不動産屋は、契約を結んで仲介手数料を支払えば、ほとんどの人はそこで関係性が終了するだろう。しかし、齋藤さんは引っ越し後の部屋を訪ねて様子を確認し、それどころかお客さんたちを集めた交流会まで開催してしまう。
その姿に、「自分の時間を削られていくわけですから、すごいですよね。どういうモチベーションで仕事をしているのかというのは、もちろん好きだからというのもあるでしょうけど、あれだけのことをやれるというのは、それ以上の何かがあるはずで。その突き動かされる情熱というのは、ちょっと他人には計り知れないですし、その人に聞いても言葉で言えないようなものだったりすると思うんです」と感服。
一方、その活動を応援してくれている夫との関係性を見て、「齋藤さんはみんなのこと救ってて、齋藤さん自身は旦那さんに救われてるんだなと思いました。『嫌になったら辞めたと言える環境。それが私の保険になっている』と話されていましたが、だからあんなに頑張れるというのもあるでしょうね」と想像した。
■「お貸しできません」と言われたときのつらさ
かつての自身は、「お父さん・お母さんに簡単に保証人になってもらえる状況じゃなかったし、『親戚のおじさんに言うのもなあ…』とか思ったし。なかなかお金の絡むことって頼みにくいじゃないですか。だから、家探しって探してるときは楽しいんですけど、いざ契約ってなるとなかなか面倒で、心が重たくなったりするんですよね」と苦労を回想。
実はまさに今、引っ越しを考えて家探しをしているそうで、「だから、今回はものすごいタイムリーでした。『お貸しできません』って言われちゃうと、なんかすごくどんよりした気分になるんですよね。住むところがないってことですから。そんなところに、あの齋藤さんの明るさでずっと気にかけてもらえるのは、だいぶ救われるだろうなと思いましたね」と強く共感した。
番組の中で登場する齋藤さんの言葉に、「一番成し遂げたいのは、隣の家に住む人が気にかけてくれるような関係を作りたい。それぞれが生きるのが、ちょっと楽にならないかな」というものがある。
江口は今の住まいで、「挨拶する人はいますけど、隣にどんな人が住んでるか、分からないですね。洗濯物を干したときにちょっと覗いて、たぶん男性1人で住んでるのかな…と思うくらい」という関係性だというが、「コミュニケーションは絶対にあったほうがいいですよね。何かあったときに助けてくれるのは人ですから」と、改めて認識したようだ。
●江口のりこ
1980生まれ、兵庫県出身。00年に劇団東京乾電池に入団し、02年に三池崇史監督『金融破滅ニッポン 桃源郷の人々』で映画デビュー。04年、タナダユキ監督『月とチェリー』で本編初主演を務め、注目を集める。その後、ドラマ『時効警察』シリーズ(テレビ朝日)や、『わたし、定時で帰ります。』『半沢直樹』(TBS)、『SUPER RICH』(フジテレビ)、『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京)、『その女、ジルバ』(東海テレビ)、『モモウメ』(Hulu)などのドラマ、『砂の影』『事故物件 恐い間取り』などの映画に出演。現在放送中のドラマ『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ)、『ソロ活女子のススメ2』(テレビ東京)、公開中の映画『ツユクサ』に出演するほか、舞台『お勢、断行』(5月11日~)、『夜の女たち』(9月3日~)の上演も控える。