起業したくても、資金も経営の知識も乏しいとなると、自分で一から始めるのはハードルが高いですよね。それなら、「フランチャイズ」を選択肢に入れるのはどうでしょうか。比較的少ない資金で、しかも、経営ノウハウも与えられる環境で開業できるからです。
この記事では、起業を検討している人に向け、フランチャイズでの開業の仕方やフランチャイズのメリット、デメリットを解説します。
■フランチャイズでの開業の仕方
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部(フランチャイザー)と契約を結ぶことで、本部の確立した商品、サービスを使用する権利が得られる仕組みです。
フランチャイズに参加する加盟店は「フランチャイジー」と呼ばれ、売上から一定のロイヤリティを本部に支払います。その代わり、本部の持つ経営ノウハウやブランド力、知名度などを活用しながら店舗を運営できるのです。
では、フランチャイズで開業するまでには、どのような過程があるのでしょうか。簡単な流れをご紹介します。
1.参入を検討する業種をいくつか選ぶ
2.1つの業種につき複数の企業から資料請求する
3.説明会や相談会に参加する
4.加盟するフランチャイズを決定する
5.契約内容をよく確認し、フランチャイズ契約を結ぶ
6.準備期間を経て、開業する
フランチャイズで開業するには、まず、参入を検討する業種をいくつかピックアップしてみましょう。特に、今の時代に合っていて、ニーズの多い業種を選ぶと、初心者でも安定して利益を得やすいです。
次に、選んだ業種の中で気になる企業があれば、資料請求をしてみましょう。条件を比較するため、同じ業種でも複数の企業から請求するのがポイントです。また、企業が開催するフランチャイズの説明会、相談会に参加すると、さらに詳しい話を聞くことができます。
加盟するフランチャイズを決定したら、面談を経て契約です。契約までに書面をよく読み、内容を確認しておきましょう。
その後、店舗選びや研修など準備期間を経て、開業となります。なお、加盟から開業までの期間は、3カ月前後~1年が目安です。
■フランチャイズのメリット
では、フランチャイズには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを5つまとめました。
1.未経験の業種でも成功しやすい
フランチャイズは、未経験の業種でも成功しやすいというメリットがあります。それは、ロイヤリティの支払いにより、フランチャイズ本部が蓄積してきた経営ノウハウを一気に手にすることができるからです。
フランチャイズに加盟したほうが、自分で一から起業するより数倍早くビジネスを軌道に乗せられ、また、成功する確率も高くなるでしょう。
2.開業資金のハードルが下がる
一般的に、事業を始める際に店舗や設備を取得して改装まで行うと、高額な費用がかかるケースが多いです。しかし、フランチャイズに加盟していると、店舗が通常よりも安く手に入る、フランチャイズが大手なら銀行の融資が通りやすくなるなど、開業資金のハードルを下げるのに役立ちます。
なお、店舗や在庫が不要な事業なら、100万円以下など非常に低コストで始めることも可能です。
3.本部のブランド力、知名度を活用できる
フランチャイズ本部にはすでにブランド力、知名度がありますので、それらを活用し、開業初日から集客することが可能です。
また、テレビCMや大規模なカラーチラシの配布など、大々的な宣伝も日頃から本部がやってくれます。個人では難しいこれらの宣伝を任せられ、広告宣伝の費用を大幅に抑えることができるでしょう。
4.本部に任せられる仕事が多く、運営に専念できる
集客や宣伝のほかに、商品開発や仕入れの確保なども本部に任せられます。フランチャイズによっては、従業員の採用まで行ってもらえる場合も。
これらの業務を本部がやってくれるため、加盟店オーナーは店舗の運営に集中できるのです。
5.本部から継続的にサポートが受けられる
開業まではもちろん、開業後も、本部から継続してアドバイスやサポートが受けられます。
本部の担当者である「スーパーバイザー(SV)」が各店舗を定期的に巡回して本部の意思を伝え、加盟店オーナーの相談に乗ったり、指導を行ったりもしています。
■フランチャイズのデメリット
フランチャイズには多くのメリットがありますが、デメリットについても知っておきましょう。フランチャイズのデメリットを5つ挙げました。
1.売上の一部からロイヤリティを支払う
加盟店は本部に対し、売上から一定のロイヤリティを支払います。思うような売上が出ない月でもロイヤリティを支払うため、予想外に売上が落ち込んだ場合、ロイヤリティが重い負担となるでしょう。
ただし、中には「赤字補てん制度」が用意されているフランチャイズも存在します。
2.マニュアル通りに経営しなければならない
フランチャイズでは、本部によってサービス方針、キャンペーンの実施などのマニュアルが決められており、加盟店は、そのマニュアル通りに経営することが求められます。
そのため、「自分のやり方で経営したい」という人には向かないビジネスでしょう。
3.売上が外部要因に影響されやすい
店舗の近くにライバル店が出店するなど、外部要因によって売上が落ちることもあります。自分で始めた店なら、店舗を移動する、業態を変えるなどして対応できますが、フランチャイズの場合、契約終了までそうした行動を取ることが許されません。
自分の店に落ち度がなくても売上が低迷することがある点、また、そのための対策を簡単には講じられない点はデメリットと言えます。
4.ブランドが毀損した時にリスクがある
本部や他の加盟店が不祥事、不良品などのトラブルを起こすと、フランチャイズのブランドに傷が付きます。その影響は加盟店全体に及ぶため、自分の店舗も巻き込まれ、売上が下がるリスクがあります。
3の外部要因と同じく、自分の店舗以外の影響を受けやすい点は、フランチャイズのデメリットでしょう。
5.契約終了後、同業種で開業できない場合がある
フランチャイズには、本部の経営ノウハウ流出を防ぐため、契約終了後の一定期間、同業種や類似の業種での出店を認めていないところがあります。
「フランチャイズでノウハウを身に付け、将来は自分の店を出そう」と考えている人は、加盟するフランチャイズの契約内容をよく確認しておきましょう。
■まずは業種選びからやってみよう
フランチャイズは、「できるだけ早く、スムーズに開業したい」という人には非常に有効なビジネスです。一方で、必ず成功するとは限らず、デメリットもあらかじめ心得ておく必要があります。
フランチャイズは種類が豊富ですので、自分の興味関心や時代のニーズなどを踏まえ、まずは業種選びから取り掛かってみましょう。