映画『劇場版ラジエーションハウス』(4月29日公開)に出演する女優・若月佑美。同作は『グランドジャンプ』(集英社)で連載中の同名漫画の実写化作品で、2019年と2021年にドラマ化された人気シリーズだ。放射線科・通称ラジエーションハウスを舞台に、五十嵐唯織(窪田正孝)ら放射線技師と、甘春杏(本田翼)ら放射線科医の活躍を描いている。妊娠中に交通事故に遭ってしまう高橋夏希役の若月を取材し、撮影秘話や女優業との向き合い方、そして自身の今後について聞いた。
■浅野和之が引き入れてくれたラジハチーム
――ドラマから映画化された今作。すでに関係性が出来上がっているキャスト・スタッフのチームに参加されたと思いますが、現場はいかがでしたか?
最初は緊張していました。続編ということもですが、医療ドラマなので現場も緊張感あるのかなと思っていて。でも皆さんが優しくて温かかったです。完成披露でもすごく仲の良さが伝わったと思うんですけど、本当に仲良し(笑)。しかも私を含め、ゲストもどんどんその輪に入れてくれるんです。クランクインは旦那さん役の山崎育三郎さんと2人のシーンだったんですが、病院のシーンでは皆さんとご一緒させていただいて、たくさんお話させていただきましたし、楽しかったです。
――本田翼さんの生配信でも仲の良さが話題でしたね。撮影中、特に印象的だったエピソードはありますか?
撮影の時期がちょうど私の誕生日に近くて、しかも私と本田翼さんが同じ誕生日で、遠藤憲一さんが1日違いなんです。本田さんは離島にいる役で私との共演シーンはなかったんですけど、遠藤さんは「誕生日近いねぇ!」と声かけてくださったり、現場でも皆さんにお祝いしていただきました。
浅野和之さんとは以前舞台『恋のヴェネチア狂騒曲』でご一緒させていただいたことがありました。そのときにすごくよくして頂いて、今回また共演させていただけるということですごく楽しみにしていました! 浅野さんが覚えて下さっているか少し不安でしたが、現場入りしたら一番に声をかけてくださって、チームの皆さんの輪に引き入れていただいて本当に嬉しかったですね……。
■医療テーマで新たな経験「すごく貴重でした」
――浅野さんが橋渡し役をしてくださったおかげで、チームにも馴染めたんですね。若月さんが演じた夏希は、妊娠中に交通事故に遭ってしまい、病院に搬送されてしまう役。横になっているシーンが多く、普段の演技と違った点もあったと思いますが、苦労はありましたか?
ありましたね~(笑)。身体的に、ずっと横になっているって大変なことなんだなって思いました。ある撮影日では1日中ずっとベッドの上で、横になっているシーンの撮影だったんです。そのときは共演者の皆さんから「今、膝曲げときな!」とか「床ずれになってない? 大丈夫?」とか励ましてもらって(笑)。それこそ浅野さんからも「これ、そのうち寝ちゃうよ(笑)、寝ないようにね!」と声かけてもらいました。
あとは、手術台に乗ったり、ストレッチャーやMRIなど普段経験しないことばかりだったので、そこでの自然な姿勢は難しかったです。ただ、医療監修のお医者さんが隣で指導してくださったので、アドバイスをもらいながらなんとかやり切ることができました。重症患者の夏希は自分で呼吸ができず人工呼吸器を使っているので、「普通の人とは呼吸の仕方が違う。無理やり空気が入ってきているとこういう呼吸になるんです」と教えていただいたり。自分の経験とか引き出しではどうにもできない領域だったので、すごく貴重でしたし、勉強になりました。
――医療ドラマならではの演じ方が求められるんですね。また、夏希は結婚していて妊婦さんという、今まで若月さんが演じてきた役とは異なるライフステージの印象を受けますが、演じるにあたって意識したことはありますか?
年齢的に私の同年代の友人もお子さんが生まれてお母さんになっている子もいて、妊婦さんになると顔つきがお母さんになるなぁという印象を持っていたので、そこは意識して演じました。旦那さんがいて恋をしている顔というよりは、子供を温かく尊く思う表情に見えるように意識して。山崎さん演じる夫・圭介との過去のシーンがあるんですが、そことの違いを感じてもらえたら嬉しいです。
■夫役・山崎育三郎と初共演「深いお話ができました」
――そこも注目して観ていただきたいですね。先ほどからお話にも出ました夏希の夫・圭介役の山崎育三郎さんとは初共演ですが、どんな方でしたか?
とっても優しい気遣いをしてくださる方ですね。撮影が夏だったんですが、山崎さんが「一緒に食べよう!」とアイスを買ってきてくださって。私自身、自分から積極的に話しかけに行けるタイプではないのですごく嬉しかったですし、そこをきっかけに役の話はもちろんですけど、俳優業についてなど深いお話ができました。山崎さんはもともとミュージカルや舞台から映像でも大活躍されている方なので、映像のお芝居の世界に踏み込む難しさとか、不安みたいなことを相談して経験談を聞かせてもらいました。